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Ver.6 玉ねぎ入れたコンソメスープって美味しいよね。(Research Onionについて)

※執筆中です。

やっと分かってきたResearch Onion

特にヨーロッパの方の論文はResearch Onionというモデルに沿って論文の骨子を作るのが慣習になっているようです。これがなかなか抽象度が高くて難しい。(解説は次の見出しです)

自分も分かっているつもりだったんですが、論文執筆に行き詰まってはじめてこのモデルが言わんとしていることが見えてきました。

情報の海に溺れてみないとResearch Onionは分からない
これが最近の気づきです。

科目学習時代にある講師から抽象と具体の両方で理解する大切さを説明されました。抽象的な理論やフレームワークだけ知っていても、具体的なケースや事例だけ知っていても理解したとは言えないと。抽象的な理論やフレームワークと、具体的な事象・事例が結びついて抽象具体の往復ができるようになってはじめて「理解した」といえる。そんな話でした。

自分がResearch Onionを分かっているつもりになっていた、というのは、抽象的な理論理屈だけを知っている、という状態だったんだと思います。

いろんな資料を調べてみる、論文のドラフトを書いてみる、そして迷子になる。これが情報の海に溺れるということであり、具体的な事象・事例にあたるということ

情報の海に溺れて方向を見失い、改めてResearch Onion(と研究の目的・目標・リサーチクエスチョン)を練り直そうとしたことによって、抽象と具体が結びついて「分かってきた」という手応えを得られたんだと思います。

Research Onionとはなんぞや

これです。
※ここからは英単語が多くなりますがご了承ください。適切な訳語を知らないためです。

引用元:「Understanding the Research Onion」
https://15writers.com/research-onion/

ポイントは、上位Layerは下位Layerを規定するということだと思います。そして、なぜ・どのように規定するのかを腑に落とすのが重要だと思います。

Layer 1: Research Philosophies

ここでは「世界もしくは世界で起きる現象をどのように捉えるのか、捉えられるのか」を議論します。世界とは何か、みたいな哲学議論に近くなります。

Research Philosophiesは以下3つの要素に分解できます。
Ontology(存在論):世界や存在は「どのように」存在しているのか?
Epistemology(認識論):その「存在している」ものを、人間はどのようにして認識できるのか?
Axiology(価値論):べき/べきでない、善い/悪いとはどういうことか?

こういった議論は日本人よりもはるかに抽象的思考が得意そうな欧米人(涙)※1 でもさすがに難しいらしく、いくつかのパッケージが用意されていてそれを適切に選ぶ、という形で執筆するのが一般的なようです。

(※1 欧米人が頭がいいというよりも、戦後から続く「絶対的な正解が用意されていてそれを覚える」という学校教育のせいで日本人の頭が弱くなった、という方が正確かもしれません涙)

Ontology(存在論)のパッケージとしては以下2つがあります。※2
①基礎づけ主義:客観的な真理・真実は存在し、適切な方法に従えば誰もが同じようにそれを認識できる。
②反基礎づけ主義:客観的な真理・真実は存在せず、真理・真実のように見えるものは個々人の解釈によって影響され、作り出されている。

それらのOntology(存在論)に対応して、Epistemology(認識論)には3つのパッケージがあります。※2
a) 客観主義:①基礎づけ主義に対応して「客観的に」研究対象を認識しようとする。多くは統計や数式を使った定量的な分析をすることになる。
b) 批判的実在論:①基礎づけ主義に対応しているが②反基礎づけ主義側にも寄っている。真実は存在すると考えるが、その真実には統計データなどの目に見える事象の観察によっては辿り着けず、背後の構造やメカニズムを探求すべきと考える。
c) 解釈主義:②反基礎づけ主義に対応して研究対象者の主観や解釈を浮き彫りにしようとする。定性的な資料を深く読み込むことで主観や解釈に迫っていくイメージ。

※2 参考:『社会科学の考え方―認識論、リサーチ・デザイン、手法―』

こういった議論をまるっとひっくるめたパッケージが用意されてます。
Positivism:「①基礎づけ主義+a) 客観主義」に近しいResearch Philosophy
Post-positivism:とはいえ研究者の主観も入るよねと、PositivismなんだけどPositivismの欠点も考慮したResearch Philosophy
Critical Realism:「①基礎づけ主義+b) 批判的実在論」に近しいResearch Philosophy
Interpretivism:「②反基礎づけ主義+c) 解釈主義」に近しいResearch Philosophy

Layer 2: Research Approaches

大きく2つのことを決めます。
Deductive(演繹法)なアプローチとInductive(帰納法)なアプローチのどちらを取るか、もしくは組み合わせるか
Quantitative(定量的)なアプローチかQualitative(定性的)なアプローチか、もしくは組み合わせるか

①について、
Deductive(演繹法)は抽象→具体、Inductive(帰納法)は具体→抽象の順で対象に迫ってくイメージです。もう少し詳しくいうと、

Deductive(演繹法)は既に存在する仮説(≒因果関係に関する推論)を具体的な事例に当てはめてみて、その仮説が正しいかどうか検証する

Inductive(帰納法)は具体的な事例を分析することを通して新たな仮説を導き出す、もしくは新たな仮説を生み出すための足がかりとなる洞察を提供する

そのため実用的には、先行研究と理論が多く存在する領域ではDeductive(演繹法)ニッチだったり新しかったりする領域ではInductive(帰納法)を選ぶのがおすすめだそうです。※3

※3 引用元動画

②について、
なぜ定量と定性がここで出てくるかというと、数字そして数学は客観化・抽象化を突き詰めた果ての言語だから、だと考えています。

「世界には真実・真理があり、それは誰でも正しい方法を踏めば認識できる」という存在論に立つと、誰でも同じように認識できる方法を求めることになります。そしてその方法とは人によって捉え方が変わるような表現や記述方法を排除するものになるので、客観化・抽象化を突き詰めた数字や数学と相性が良いのだろうと思っています。

そして抽象化が進んだ世界では理論やモデル(数学の公式も理論・モデルの一種といえますね)が多く存在するので、既に出来上がったモデルを事例に当てはめるというDeductive(演繹法)とも相性が良くなります。

Layer 3: Research Strategies

執筆中。

Layer 4: Research Choices

執筆中。

Layer 5: Time-horizon

執筆中。

Layer 6: Techniques & Procedures

執筆中。

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