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限界看護学生ヌイちゃんが人権を取り戻して人間になる話⑥


【初めての実習編】

初めての実習は夏休みに行われた。実習と行っても病院で看護師の仕事を学ぶ「見学実習」というやつ。


このときは運がよく病院は家からチャリで30分ほどの場所で行きやすく通う面ではすごく楽だった。だが実習ガチャに対してはハズレで自分を含めて5人のグループの中、3人の陽キャグループとなぜか避けてくる子といった組み合わせに加え先生も今ではトラウマ級に怖い先生に当たるという地獄でしかなかった…。実習はガチャで外してるからいい思い出なんてないのだ。

実習は始まった。最初はオリエンテーションや病院内の施設、備品、各それぞれの病棟や検査室などの見学をして、終わった後はカンファレンスにて自分の感想や意見を述べるといったことで1日が終了した。


レポートも全て手書きでしんどかったけど自分の感想を書くだけということもありそれほどしんどいと思うこともなかった。


2日目以降からは一人一人、担当の看護師のシャドーイングをすることになった。自分の名前はなぜかいつも他の子とセットにされていて凄く嫌だったし、何ならリハビリ見学に行くことになったときも他の子たちもついてきたときは仲がいいもの同士でしゃべっていて邪魔だったし、ずっと帰ってほしいて思ってしまうくらい嫌だった。



そんな中でもなんとかして乗り越えたが一番しんどかったのはカンファレンスだった。カンファレンスはみんなの前で意見や学んだことの感想をみんなと話しあうものなんだが上がり症で緊張しやすい上に過去のいじめなどのトラウマから否定されるではと怖くなって発言することができず、みんなに迷惑をかけてしまった。


マイペースながらも発言はできたのだが、その日の実習終了後に先生から「ヌイさんだけ残ってください。」と言われる。「これ絶対カンファのことやん!!」と思いながら残って個人面談を受けることになった。


~会話~
先生「カンファレンスでのあの態度はなんですか。みんな困っていたことをわかっていますか?」

ヌイ「はい。発言したくてもみんなと被ったことを言ったらだめっておもってしまったのと緊張で中々声が出なくて辛かったです。」

先生「そんなこと言ったってね、看護師になるため、いや他の仕事をするにもコミュニケーションを取ることが一番大事なのよ。そんなことでなれると思っているのですか。」

ヌイ「…。(泣)」




のちの他の実習でも同じ先生から何度も「あなたは看護師に向いていない」と連呼されて本当に向いていないと思って病むことだって何度もあった。トラウマ持ちの上がり症やコンプレックスでもがきながらも自分で考えて生きてきているのに平気でそんなことを言われるとしんどくて苦しくて自分なんて生きる価値ないなんて思ったりもした。


最終的に看護の教授をしているのに、「人の心に寄り添うことを大事」と言っているのにまずが人の個性を知って成長できるように指導したり支援していくのが教育していく立場なのにただただメンタルをつぶされて放置されるのは違うと思うこともある。でもこれで学べたことは人の理解をすることは難しいということだ。


人のことを全て知ることなんてできないし、その人ではない限り他人の人生も歩むこともないから価値観も人それぞれである。だからこそ通じない相手と遭遇したら「この人には何を言っても無駄」というスタンスを持つことも必要。



だからこの実習で無駄だったことはなかったのかな。

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