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北欧旅行記 ⑥帰国編


◯初めてのタイ航空と空港

空港に着いてラウンジで簡単なお昼を食べた後は、いよいよ帰国の途へ。
バンコクまではタイ航空。初体験の航空会社。
タイってこれまた文字は全然読めないし、馴染みなさすぎてどうしよう…と思っていたら、座席モニターは日本語や日本のコンテンツも選べてホッ。
何か音楽でも聴こうかな〜とザッピングしていたら、BLACKPINKのリサちゃんのソロ曲があった。そういえばタイ出身だったなぁ。
ちょっと異国情緒を感じる曲調で、ちょうど機内食のタイご飯の良い匂いもしてきて、一気に気分は北欧モードからタイモードに切り替わった。


タイ風の鶏そぼろ


2食目。とりあえず機内食写真を撮る飛行機あるある。
タイのコカコーラ

酸っぱいものや辛すぎるものが苦手かつパクチー系とかもダメなので、「機内食、東南アジア系のご飯がでるかな〜大丈夫かな〜」と心配していたのだけど、「ビーフorチキン?」でチキンを選択したら、ピリ辛の鶏そぼろご飯と激甘のデザートの組み合わせで大変美味しかった。

飛行機ってなぜかすごくお腹がすく。だからおやつを持っていく。
何にするか、楽しみになるものがいいなーと悩むのも楽しい。
帰国便では、スウェーデンのスーパーで買ったチョコレートボールと、アーモンド風味のマジパン?の組み合わせをチョイス。
このおやつ、あらゆるところで見かけて気になっていたのだけど、これのセットが空港でも「スウェーデンフィーカセット」として売られていて「おっ!」となる。
再びタイモードから北欧モードに戻り、最後の最後までフィーカを楽しむことができた。

順調に飛行していた…と思いきや、なんだか雲行きが怪しくなる。
隣のおっさんがやけに酒を飲むのだ。
だんだんCAさんへの態度も荒くなり、なにやら喧嘩しているもよう。どうやら、「飲み過ぎだからもうCAを呼び出しての酒の提供はできない。飲みたければ自分でバックヤードにとりにくるように」と言われて怒っているらしい。

そこでその酔っぱらいのおっさんは、「それなら俺は15分に一度酒を取りに行く」宣言。
しかし3列のシートで、おっさんが窓側で我々が通路側2席を使っている。そんなことされたら全く眠れやしない。
航空会社も変に譲歩しないで「もう酒は出せません」ってすりゃいいのに…。他にも酔っ払いが多発していて、他の客に絡んだりしているのを見かけた。なんなのこの便。
夫は「次は絶対ビジネスにする…」とかぶつぶついっていた。


巻き込まれるのはごめんなのでCAさんに言って、我々は席を移動させてもらった。そこまではまあ良かったのだが…

しばらく寝てたら、別のCAにたたき起こされる。
ここは座っちゃいけない席だけど?!と、なかなかの剣幕で言ってるのだけど、寝起きに捲し立てられてもとっさに反応できない。

かろうじて出てきた言葉は
「ヒー(おっさんの方指差す)メニー ドリンク…」

自分が出川すぎるのがおかしくて、なんかニヤニヤしてしまう。そして余計に怪しまれる。

助けを求めて頼りの夫も見るも、こちらも寝ボケてカタコト。
「キャビンアテンダント セイド チェンジ オッケー」
もはや出川が2人状態。
なんとか分かってくれたけど、勘弁してくれー!と思った。

やれやれ。ノスタルジックな東南アジアの朝日でもみて落ち着こうか。


しかし一難去ってまた一難。トラブルは続く。
空港に着いたはいいけど、飛行機到着が結構遅れていて乗り継ぎの時間がヤバい。

この予約していた成田行きの便を逃したらどうなってしまうのかと慌てて降りたところで、我々の名前の書いたプラカードをもった職員が待ち構えていた。

「お前らか?よし行こう」みたいな、カモン!みたいな顔されたので案内についていく。

走る職員に引き離されないように必死で進む。チラチラこちらを振り返りながらも足は止めない職員。 RPGのチュートリアルかよ。こっちはもう、冒険の旅は終えて家に帰るとこなんすけど…。

タイの空港の雰囲気は、なんというかカオス。
ぼよよよーんというなんか仏教的な鐘?のような音が響き、いかにもな塔やら原色派手派手で描き込みがこまか〜い模様やらの壁画やらがお出迎え。
あと神秘的な象や黄金の像やら。寝不足や疲労とあいまって、なんだか悪夢を見ているようだった。

動く歩道を空港職員に連れられて走る中、かろうじて撮った写真。


話は変わるけど、昔からこういう東南アジアの雰囲気が苦手なんだよね。
なぜか分からないけど心がザワザワしちゃって。
子供の時は、よくあるちびまる子ちゃんのマンガの合間の扉絵(わかる?)みたいな雰囲気が、すごく心が落ち着かないというか、奇妙に感じてた。

なんでだろう。ヨーロッパはとても落ち着くというかしっくりくるけど、日本的なものは特になんとも思わない。
前世とかに関係あったりして。いつかタイを旅してみたら分かるだろうか。

なんて頭で考えてながらも、必死で足を動かしていたら手荷物検査場にやってきた。ここでは全員、靴も脱いで通すシステムのようだ。

「飛行機いっちゃうよ〜」と、検査のあと焦って靴を忘れて、リアルで裸足でかけてく夫。
サザエさんの歌を地で行く人を現実で初めて見た。

「裸足で慌ててかけてく人は、自分が裸足だと気づいてさらに慌てて戻ってくるのだなぁ」という真理に辿り着く。

そうこうして(走行して)いるうちに、
「俺が案内できるのはここまでだ。あとは自分たちで行きな」的な感じで、職員はどこかへ消えていった。

おかげで空港ダンジョンを攻略して、飛行機閉まる5分前に滑り込むことができた。無事クリアといったところか。
突然発生するタイムアッタク系イベントは心臓ドキドキでまじでライフ削られるから嫌だ。

「スワンナプーム空港だけに一度も座らず走って通り過ぎただけだったなぁ…座んなプーム…」「しょーもな」

なんてくだらないことを口走りつつ、つかれてしばらく放心していたのだった。

◯お家に帰るまでが旅行です

安定のANAそうめん

成田着。
機内で「あずけた荷物の方は無事乗り換えできたのかな」「できてたら奇跡だな…」と話していたのだけど、ベルトコンベアから何食わぬ顔で荷物がでてきてすげぇー!ってなった。
この旅で一番、2人そろって感動した場面かもしれない。(過言)

そして東京駅を経由して無事にお家へ帰りました。
夕飯は機内食のパンとか、手持ちの食料、あとは久々の納豆ご飯にして、翌日から仕事だったのでさっさと寝た。
帰りは色々ありすぎてほぼ寝れてなかったから、10時間くらい寝たよ。


◯北欧に行った意味

準備編で、「たまたまとはいえ今回北欧に行くことになったのは、個人的に何か意味があるはずだ…」と言っていたのだけど、帰国した今まさにその意味がわかった気がする。

本に関する仕事をし始めたタイミングだったので、本をお供に旅をしながら4個所の図書館といくつもの書店を見て回れたのは、単に「本が好きだから幸せ」というだけでなく、今後のためになる知見が得られたと感じる。

また趣味である創作活動に関しても、長年あたためていた(というか、いまいち輪郭が掘り出せずにいた)企画に踏み出すことのできる、パズルのピースがこの旅でようやく揃ったと確信した。この旅行記の次はそちらに着手したい。

とにかく今ここで必要なイベントだったと感じる。
人生もまた、1冊の小説のように上手くできているんだなと思った。きちんと、ふさわしい流れで必要なことが起きるようになっている不思議。

◯あとがき…思いを出しつくしたから「思い出」なんだ


なにかを思っても、表現しなくちゃいつの間にか忘れてなかったことになってしまう。今まで、たくさんのことを思っては忘れて失ってきたと感じる。
人生には忘れた方がいいこともあるし、記憶には残ってなくても自分を構成するなんらかの成分として、魂に残り続けてるものもあるとは思う。

だけど、やっぱり忘れちゃってもったいない…と悔やむこともある。
というのも最近、楽しい旅の記録はもちろん、苦しかった日々のこと、なんでも書いて残しておけばよかった!と思うことが増えたのだ。なぜだろう、年齢のせいかな。
例えば「苦しんで入院手術して回復するまでの道のり」とか、「失恋してから立ち直って新たな出会いまで」の物語とか、過去の旅の数々も、学生時代の何でもない毎日のこと。今となっては読みたくてたまらない。でも、読みたくても読めない。書いてなかったり、書いても消したりしてしまったから。

だから今回は、旅行でのできごとや感じた思いを、些末なこともくだらないことも、これでもかと書いて外に出してみた。
そうして必死で思いのたけを出しつくしたら、目の前に「思い出」が残っていた。それがこの旅行記だ。

私はやっぱり、書くことが好き。文も絵も。これからは、今までできなかった分も、たくさん書いて思い出を残す人生にしよう。改めてそう思えた。

「書くことで、心を癒し解放しながら生きていく」という、自分の人生の目的に気付いた後も、なかなかはじめの一歩が踏み出せないでいたけれど、この作品で0を1にできた気がする。出来不出来はさておき、とりあえず始めることはできた。
立ち会ってくれたみなさん、まだまだ荒削りで実力も足りず、決して読みやすいとは言えないものを、ここまで読んでくださり感謝します。

ここまで読んでくださり…というか、遠い北欧まで(心は)着いてきてくれてありがとう。
そして、私が一つ心のハードルを乗り越えるまでを見届けてくれて、ありがとうございました。


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