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異常遠征狂記(24)〜春旅2022❸〜

前回の狂記はこちら

ライプツィヒで英気を養った後は、再びフェスに参戦です。

4 Ragnarök festival

ドイツのLichtenfelsで行われている、フォーク・ヴァイキングメタル、ブラックメタルがメインのフェスです。ステージは屋内に2つ隣合って並んでいて、野外にフードエリアやキャンピングエリアなどがあります。会場まではLichtenfels駅から徒歩10分くらいのため、アクセスもまあまあいい方かと思います。

宿泊に関しては街のホテルが駅前にありますが、勿論大半の人はキャンプです。また、ステージになっている建物と隣接した建物が有料の宿泊場所として用意されており、フェスのチケットとは別に「Schlaftticket」というものを購入すると、その宿泊場所を利用することができます。

ラインナップがいいなと思いつつも、移動距離やら宿問題やらで元々は全然行く予定の無かったこのフェス。
風向きが変わったのは、3月半ばに公開されたポスターです。
そこにはなんと我が最推しDark Fortressのロゴがあるではないですか。聞いてないんだが。

ポスター

元々羨ましいと思っていたメンツに推し参戦とあれば容易に決定打になりうるでしょう、ということで日程的にもギリいけそうだったのでねじ込むことにします。
※良い子のみんなは真似をせず、体力やトラブルを考慮し余裕を持った旅行計画を立てましょう。

が、まず最初にチケットの問題が浮上。
元々2020年に行く予定でフェスチケットを買ってはいましたが、こちらはeチケットだったため自動的に払い戻しされており、参戦するにはまず新しくチケットを購入する必要がありました。
しかしサイトを見たら紙のハードチケットしか売っていないようで少々困った事態に。この時点で既に出国まで3週間程になっていたため、輸送が必要なチケットを買うのはかなりハイリスクです。

さてどうしたもんかなと頭をめぐらせた時に思い出したのが、先述した「Schlaftticket」の存在。
フェスチケットと合わせて2020年に購入しましたが、こちらはハードチケットしか取り扱いが無かったためドイツ在住の友人の住所に送り、保管しておいてもらっていました。友人は既に今年参加することが決まっており、フェスのハードチケットをそちらの住所に送れないか聞いたところ快諾してくれたので、とりあえず祈りながらハードチケットを購入。数日後に届いたとの連絡ももらって、チケット問題は解決しました。

もうひとつの問題は寝具です。
Schlaftticketで宿泊場所を使えはするのですが、テント貸出サービス等とは異なり、場所の提供のみで寝具は用意されていないため、寝袋などは自分で用意する必要があります。
しかしスーツケースにそこまでの余裕はないしな...と思っていたところ、件の友人が「そういえば、来るにしても寝袋持ってくるの大変でしょ」と一式貸してくれるというので、好意に甘えさせていただくことにします。本当にありがたかったです。

ほぼ友人のおかげで問題は解決したはずの状態で、いざ会場へ。

ライプツィヒからいつも通り遅延しているDBを乗り継いで、2時間程でLichtenfels駅に到着。駅を出たところで会場までの道のりをGoogleマップで確認していたら、お兄さんに声をかけられました。もしかしてRagnarökか?とのことで目的地が同じだと判明、こっちだよと道案内をしてくれました。メタルヘッズ優しい。

ところが、会場に着いたところで更に問題が発生。なんとチケットを持っているその友人が渋滞に巻き込まれており、到着が15時を過ぎるとのこと。現時刻がお昼なのでまだ3時間程あります。
会場前にボーッと突っ立ってる訳にもいかずどうしたもんかと思っていましたが、とりあえずスタッフに事情を説明してみてと言われたので、リストバンド交換所で事の顛末を説明。証明として購入確認メールを見せたところ、あっさりリストバンドを着けてくれました。Schlaftticketもその場で再度購入できこれで一安心、対応してくださったスタッフの皆様に感謝です。

さて、チケットも交換できたし大型スーツケース等の荷物を持ったままでは動けないし、この時点ではバキバキのすっぴんだったので、ひとまず宿泊場所へ。
中はだだっ広い空間で、みんなそれぞれ適当に自分の場所を確保してだべっています。要するに雑魚寝です。既にむさ苦しい。

プライバシーもクソもないのでちょっと怖くなったし色々心配になりましたが、もうどうしようも無いのでオタクも巨大スーツケースで場所取り。
顔面塗装など支度を済ませたあたりで友人から到着の連絡をもらったので、寝袋やマットレスを借りに行きました。元気そうな姿を見てちょっとホッとします。
全く知らない地で、いざと言う時に頼れそうな人がひとりでもいるのはやはり心強いですね。

準備もできたところで早速タイムテーブルを確認しておきます。

みっちり

2ステージ制で交互に演奏するので被りはなく、ステージもラウパのように同じ空間で横並びのため、ステージ間の移動をほぼせずに沢山のバンドを観られるのが好きです。
2階部分には座席スペースがあり、ベンチに座ってライブが観られるのも楽ちんポイント。
フェスにありがちな後方死体置き場よろしく、時々酔っぱらいが潰れてベンチに寝そべっているのは難点ですが...

体育館もといステージエリア

さて、中に入って初日のお目当てはLivløsThe SpiritKanonenfieberKargDark Fortressです。

まずはInfernoでも観て超楽しかったデンマーク産メロデスLivløs。
1番手ですがグイグイ煽る、WODも煽る。
オタクムーブにも磨きがかかっていました。

Livløs
Livløs

元気いっぱいでした。

Livløs後にうろうろしてたら、唐突に声をかけられてびっくり。なんか見覚えあるなと思ったらInfernoでDark Fortress最前で観てた子でした。不思議な縁もあるものですね...

Lucifer's Childで1年分のルシファーを浴びた後は、ライブ初体験のドイツ産銀河系ブラックメタル、The Spiritです。
正式なメンバーはギターボーカルとドラムの2人のためサポートが誰になるのか気になっていましたが、めちゃくちゃ見覚えのある人達でした。ベースには元ObscuraでAlkaloidやObsidiousでも知られるLinus、ギターにはThe CircleやAsenblutのStanleyことStanちゃん。

The Spirit

フロントが美ロン毛の集まり。寒々しくも星々の輝きを秘めた美しい音楽を堪能しました。
翌年あんなことになるとはまだ思いもしなかったのであった...

既に悶絶メロディで話題になっており、数日前にGrozaの代替で急遽の出演となった、戦争をテーマにした悲哀漂うメロブラKanonenfieberは、軍服姿で麻袋に有刺鉄線まで持ち込む徹底ぶり。
演奏のクオリティも高く、エンターテインメントでした。

Kanonenfieber


Kanonenfieberが終わったあたりで肌寒くなってきたので、上着を取りに宿泊場所に戻ろうとしたら、ちょうど到着したらしく大きな車の周りで何かしているDark Fortress御一行とばったり遭遇。ヒェ...
こちらに気づいた途端「ハイ〜〜〜〜〜!!」とめっちゃ笑顔のMorean。本当に元気だねこの人は...
作業を終えて、また後でね!と言いつつ運転席に戻っていったのはさんとぅーら様で、ああなんかやっぱり、と思いました。

再びステージエリアに戻ってからは、オーストリアのポストブラックKargにスコットランドのアトモスブラックSaorと、激しくも淡く儚く美しい旋律で癒しの時間を過ごします。

Karg

Kargのライブは浮遊感もあって夢心地になりますね、いつまでも浸っていられます。

そ し て 大本命Dark Fortress。
最前からステージまでに間があるので距離は遠めでしたが、おかげでステージの全体が観やすく首の痛みはそこまでありませんでした。

セトリはInfernoと同じで、激しく刺さる氷の刃のようなThe Silver Gateから始まり、邪悪なBaphometで"come with me"を大合唱して終わりました。

Dark Fortress
Dark Fortressもとい最推し

青い光に照らされる推しは尊い。盛り上がりとしてはInfernoよりこちらの方が熱かったような気がします。まあ地元だしな...

最推しのステージ終了後、Dark Fortressの同志と会話しているうちに隣のステージでDark Tranquilllityが始まったので遠目に鑑賞します。
ミカエルスタンネさんの声と瑞々しいメロデスはいつ聴いてもいいものですね。

DT(遠目)

個人的にはアモット弟がいなかったのがちょっと寂しかったです。

その後はだいぶ脚がしんどくなってきたので、上からVreidやEnsiferumを観つつのんびりしました。
VreidのPaint It Blackはカッコよすぎるな。

トリのGod Dethronedも強く冷たく貫禄のある音で、最後まで楽しみました。

11時間ほど大量のブラックメタルを浴びて、ふらふらと宿泊所に戻り寝袋に潜り込んで1時間。

全然寝れない。

そもそも知らない人の気配があると気を張ってしまうで、緊張する一方です。無理やり目を瞑っているうちに寝落ちできましたがあんまり寝た気はしませんでした。

朝起きたらとりあえずパンを食べて、シャワー(冷水)を浴びます。
洗面台の方はお湯が出る謎仕様でした。

行水で目が冴えたのでメイクをしていたら、隣で寝ていたお兄さんが話しかけてきて挙動不審になるオタク。わりと近場に住んでるので毎年参戦してるらしい。羨ましい。

結局この日は隣のお兄さんと2人のDark Fortress最前厨(ワイとInfernoで会った子)の3人で行動することが多かったです。単独で行動してないのはかなり珍しいなあと今になって思いました。

そんな2日目はチェロ奏者を擁するアトモスブラックFerndalを観るところからスタート。

ステージにチェロがあるとなんか嬉しい。

この日の個人的お目当ては、SkiltronAnomalieNecrophobicでした。

ハイテンションバグパイプメタルSkiltronは、ボーカルが代わり乳首(=上裸)が2人に。実に暑苦しい

Skiltron
Skiltron

今回の出演者の中で最も熱くテンションが高い音楽だと思います。Highland Bloodでにやけないオタクはいないでしょう。

余韻冷めやらぬ中、間髪入れずに次のお目当てAnomalieを観に急いで隣のステージへ行きます。

Anomalie

儚さを秘めつつ儀式的雰囲気も併せ持つ、現世を超えた神秘のポストブラックに飲み込まれました。トリプルギター美味しい。
ただ直前の熱々バグパイプとの差がすごいのよ。

Afskyを後方から眺めた後は、ゴシックブラックAgathodaimonを前方で鑑賞しました。

闇堕ちしたヤニス(Beast In Black)にしか見えなくなってしまったAgathodaimonのベース

ここら辺でお腹がすいてきたのでフェスと言えばこれ、フライドポテトことPommesの時間にします。

今回はケチャップ

塩気が効いててお手軽に食べられて、どこのフェスでもPommesは大きなハズレに出会ったことがないのでおすすめです。

お腹もいっぱいになったところでまずGehennaを浴び、次のスウェーデン産メロブラッケンドデスNecrophobicがこの日の大本命。

まずサウンドチェック中にボーカルのAndersさんがみんなに声をかけたり水を配ったりと、甲斐甲斐しくお世話をしている様を見てほっこり。バンドのおかんでした。

Necrophobic開始直前
Necrophobic(青)

直近2作から「Tsar Bomba」に「Mirror Black」などお気に入り曲も聴け、締めは「The Nocturnal Silence」という邪悪で流麗なステージでした。
あとNecrophobicみんなめっちゃ見てくれるしリアクションくれるしファンサがすごい。ブラックメタルはえてして近寄り難い雰囲気を醸し出してることも多いですが、彼らは観客との距離が近いように感じました。

大本命を観られて満足したので、その後はベンチでまったりして2日間終了です。
疲労が限界点を突破していたらしく2日目の夜はめちゃくちゃ眠れました。

Ragnarökの動画集はこちらからどうぞ。

次の目的地はフランクフルトです。

青い


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