読了記録15「ネクロポリス 上下」恩田陸

 ネクロポリスを読み終わった。独特な雰囲気を持った作品だった。分類としてはSFに当たるのだろう。あまりに世界観の説明がなくて色々わからないことも多かった。別に知らなくても理解には問題がない。気になるだけである。

 死者が実存を以て現世に干渉できる島が舞台だが、そこで起きた殺人から始まる一連の島の変遷を描いている。そう、変遷である。物語は始まりから問題を超えて元の場所に戻るという手法が多いが、これは戻らない。むしろ、大きな変化を迎え、みなもそれを歓迎するのだ。
 題名にあるがこれは「ネクロポリス」の話だと理解したほうが納得できると思う。主人公の面をしているジュンやハナなどがいるが、彼らは舞台装置に近いと思っている。島の迎えるべき変化を迎えるべき時期にやってきた「お客さん」である。これは「お客さん」の話ではなく、「ネクロポリス」の物語であるのだ。

 読み終わったときに、終わり方に愕然としたが、要するにこれが「ネクロポリス」が主人公であれば納得できた。


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