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天使の住処

昨日(5/15)は一緒に住む兄の誕生日だ。

前置きだが兄はあだ名だ。血は繋がってないし、私に兄妹はいな…いや、ついこの間妹が出来た。腹違いだけど。その話はまたいつか。

でも兄は兄だ。私たちは血が繋がるほど濃く、心を通り越したもっと深いところで繋がっている。だから兄だ。それ以上でもそれ以下でもない。


兄と出会ってもう7年目。時の流れは早い。私の人生の3分の1は兄がいる人生という計算になる。
「この先もずっと一緒だよ」
と緩やかに笑う貴方が好き。

自分が他人と生活を共にしながら長期間一緒にいる能力があるなんて思えなかったが、案外やってみると気が楽で生活の質も自然と上がるし楽しい。

あの時、強引に「一緒に住もう!」と決めて1ヶ月後すぐ家を契約したのは間違いじゃなかったと今では思う。


あの時。私も貴方も心身が疲弊してたあの時。自分たちのいる世界が傾いて真っ直ぐ立つことができなかったあの時。

「もう疲れた、さよなら。ごめんね」
とLINEされ、何度も電話しながら2時間かけて終電ギリギリで貴方の家まで行った時。
重い足取りで帰ってきた貴方は、私の白いワンピース姿を見て言った。
「天使みたいだね」


今がとても幸せ。
シングルベッドで陣地の取り合いをしながら寝るとか、部屋に入ってくる蚊に対して怒るとか、でも部屋の蜘蛛は見つけたら観察するとか、洗い物の邪魔をするとか、出かける前に忘れ物してないか確認してくれるとか。

そういう些細な日常を好きな人と共有出来るのだから。
喧嘩もするけど、それ以上に愛しさが勝ってしまう。兄の腕の中にいる時は、何もかもがどうでもよくなるほど心地よい。

兄はよく寝返りを打つ。私はベッドの端からほとんど動かないまま朝を迎えるので、寝てる姿を見るのは大変興味深い。
今は生活リズムがお互い反転していてバラバラなので、薄明かりの中作業しながら、兄の寝相を8時間くらい見て過ごしている。

口を開けたまま寝てるのが1番可愛い。


この間は同じゲームで初めて一緒にイベントを走った。

真ん中の黒い髪の人(零さん)と、赤い髪の人(夏目)が彼の推しだ。
ちなみに私の推しはピンクの髪の人(宗くん)

私は金色の髪の人(英智)をクリア報酬に選んだ。


金髪の『天祥院英智』と黒髪の『朔間零』は、この49人いるアイドルコンテンツの中で、天使と悪魔になぞられている。

天使は最大多数の最大幸福の為に、突出した才能を持つもの(零さんを始めとした五奇人、オルタード)を悪とした。契約期間のみの仲間を集め、かけがえのない友達になれそうだった人(右の青い髪の人)すら駒として最後に切り捨てた。
そうして血を吐きながら努力を重ね、改革を成し遂げ皇帝になった。

天祥院英智

悪魔は傷ついた全員を助けたいと願い、その為に母校を飛び出し海外まで行った。自分が悪だと天使に言われたことを気にしていなかった。でも同じ悪だと括られた4人を、後に心から愛してしまった。自分なら助けられたのにと後悔したが、結局それをしなかった。
なぜなら天使が必死になって紡ぐ残酷な物語にすら、酷く感動してしまったからだ。

朔間零

「零さんの人間味のある性格が好き。英智さんのしたことはとても凄いし偉いけど、許せない部分もあるよ」と兄は言う。

「そうなんだ」と相槌を打つ。
私は正直、英智の方が好きだ。ただ推しを傷つけた張本人ではあるし、推しも作中では英智のことが大っ嫌いで一生恨んでいるから声を大にしては言えない。
でも絶対に必要な改革だったし、最小限の犠牲で済んだのだから本当に凄いことだ。
アイドルが好きなことに一生懸命になれる英智はとても美しいと思う。


全員が幸せになれる世界なんてない。誰かの嗜好は誰かの地雷だ。何かによって救われる人と傷つく人は必ず一定数現れる。 

好きな人が傷つくのが許せない。だからこそ世界中の人が傷ついても、好きな人が幸せになる方を選ぶのが兄の価値観だ。

2人で今回のイベントを頑張ってコンプリートした記念に、さっそくそのカードを使ってMVを見ている。とても楽しそうだ。私も嬉しい。女性向けコンテンツなのに、話を合わせようとある程度の知識をつけてくれた彼は、本当に私のことが好きだ。
私もそんな貴方のことが好き。
きっと、あの時の白いワンピースを着ることは二度とないだろう。


この家に住めてよかった。
兄と本当の家族になれたようで毎日楽しい。
ずっと一緒にいても飽きない関係性を1年間続けられたのは、兄とこの家のおかげだ。

おうちありがとう!私たちのこと守ってくれてありがとう。









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