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【研究】とりあえず手段を考えてませんか?もうジャストアイデアと言わせない! たった一つのフレームワークを駆使して論理的にアイデアを考える方法

「これは中々イケてるアイデアだ!」と胸を張って提案した内容が、上司から「それ、ジャストアイデアじゃない?」と一蹴された経験はありませんか?私もそうでした。提案が次々と「ジャストアイデア」として却下され、正直、その度に心が折れそうになりました。「ジャストアイデア」とは、その場の閃きに過ぎず、目的に対して短絡的に解決策を考えたものを指します。例えば、与えられた問題に対して解決を試みようとするときに、自分の経験と勘に頼って、解決策を考えるとジャストアイデアになります。

この記事では、論理的に、そして説得力を持ってアイデアを構築するフレームワークを解説します。ここで紹介するのは、What→Why→Howの順に沿って考えるフレームワークです。正しいプロセスを身につければ、単なる思いつきではない、実質的な提案が可能になります。上司を納得させるだけでなく、自分自身のアイデアに対する信頼も深まるでしょう。今後は「ジャストアイデア」のレッテルを貼られることなく、自信を持って提案できるようになります。

1. ジャストアイデアの研究の進め方だとどうなるか

 ジャストアイデアで研究を進めていると以下のようなデメリットがあります。

・自分の経験や考えの枠組みを超えたアイデアが出せない
・アイデアを論理的に考えていないので、他人に説明できない
・他人が理解できないアイデアなので、協力が得られにくい
・自分の枠組みの中に留まるため、新しいスキルや技術を習得する機会が減る

もちろん、熟練した研究者ならアイデアを感覚的に思いついて、すんなり課題を解決してしまうことが多々あります。ここは、経験と天性の才によるところが大きいと思います。しかし、私のような若輩者で凡人の研究者であれば、通用しないことが多いのが現実です…

そこで、思考プロセスを勉強しました。この転換点となったのが、What→Why→Howフレームワークの活用です。このアプローチにより、アイデア生成から質の向上まで、アイデアをシステマティックに洗練させることができるようになりました。

2. What: 問題を正しく理解する

問題解決の第一歩は、「何が起きているか」を正確に把握することが重要です。しかし、多くの人は、何が問題なのかを十分に理解せずに進めてしまっていることが少なくありません。

例えば、目標とする性能を達成するために新しいシステムを構築する場面を想像してみてください。初めてシステムを構築して実験したところ、目標に達しなかったとします。この状況で、あなたならどのように対応しますか?

過去の私であれば、すぐに新しいアイデアに飛びつき、システムを再構築するかもしれません。しかし、ここで大切なのは、実験が正確に行われたか、再現性があるかどうかを検証し、真の問題点を見極めることです。

このプロセスでは、可視化や数値化を通じて、対象となる現象を客観的に理解する方法が不可欠です。品質工学を学ぶことがおすすめです。体系的にデータの可視化が可能になり、本質的な現状把握が可能になります。

3. Why: 問題が発生しているメカニズムを深掘り

正しい問題の理解が「What」のプロセスで得られたら、次に重要なのはその現象が「なぜ」起きているのかを深く掘り下げることです。このステップを踏むことで、本質的な解決策へと進む道が開かれます。一般に、現象は単一の原因から生じるわけではなく、多くの要因が複雑に絡み合って発生します。

たとえば、「なぜ」を5回繰り返す手法や機能系統図を用いることで、問題の根本原因を明らかにすることができます。場合によっては、新しい解析手法や追加の実験が必要になることもあります。このプロセスが重要なのは、すぐに解決策(How)に飛びつくことなく、以前は考えもしなかったような仮説を立てられるようになるからです。このアプローチは、個人の経験や直感に頼らない核心となります。

深掘りを行うことで、単に表面的な症状にとどまらず、問題の根本に焦点を合わせることが可能になります。このプロセスは、真の問題解決に向けた確固たる一歩となるでしょう。

4. How: メカニズムをベースにアイデアを量産する

問題の根本原因を把握した後、ここで初めて解決策、つまり手段を考える段階に入ります。このプロセスでキーとなるのは、可能な限り多くのアイデアを生み出すことです。

特に、私がアイデア発想において重視しているのは、「デフォルトモード・ネットワーク」の活用です。デフォルトモード・ネットワークとは、何にも意識を向けていない時に活性化する脳の活動で、創造性やアイデア生成に密接に関連しています。アイデア生成はしばしば、既存の技術や知識の新たな組み合わせによって生まれます。日常の雑念が消え去った時、例えばお風呂に浸かっている時や電車を待っている時などに、私たちの頭は自然と色々な要素を掛け合わせ、予期せぬ新しいアイデアを生み出すことがあります。

このようにして、デフォルトモード・ネットワークをうまく利用することで、私たちは根本原因に対する有効な手段を考える際に、より豊かなアイデアを生み出すことが可能になります。デフォルトモード・ネットワークとアイデア発想の関係性については、以下の本で詳しく説明されています。

5. まとめ

What→Why→Howフレームワークを用いることで、あなたも場当たり的なアイデアではなく、質の高い、実践的で本質的な解決策を生み出すことができるようになります。このプロセスを通じて、研究や問題解決におけるアプローチを根本から変え、継続的に価値のあるアイデアを創出できるようになりましょう!


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