見出し画像

「趣味:落ち込むこと」だった

この記事は「創作大賞2023」の「オールカテゴリ部門」に応募しているイラストエッセイの一部です。
応募している全文はこちらから読めます▼


「趣味:落ち込むこと」だった

イラスト:nui

落ち込んで泣いてそれが解決に繋がっただろうか?
私は落ち込んだらとことん落ち込むタイプで、それが一旦気持ちをリセットする役割も果たしていた。今思えば、落ちるところまで落ちればあとは上がるしかないからそうしたんだろう。
それを数えきれないくらい繰り返して、今度は自分に嫌気が差してきた。

もしかして落ち込んでる自分に酔ってるのだろうか?
落ち込んで苦しんで、でもそこに気持ちをもっていってるのは誰でもない自分。無意識に奈落の底へのレールを敷いている。そうして解決したことが今まであっただろうか?

ダンジョンで「落ち込む」選択肢ばかりを選んでいるなんて人生のRPG下手すぎる。物語が進まなくて当然だった。ハッピーエンドルートじゃないなら、別の選択肢を選ばないと。私は自分に聞いてみた。「本気で自分を幸せにする努力、してる?」してないよな。そう思ってからは落ち込むのをやめた。

どうしたら元気になれるだろう?
手始めに元気で社交的で仕事もできる職場の人を観察しはじめた。(私の得意分野で、自分の行動に自信がないから新しいことを始めるときはいつも人の真似をしていた。行動観察と完璧な模倣だけは得意だった。)
観察して気づいたことは、「物事の捉え方が違う」こと。私が大袈裟に傷ついて捉えたことも、その人にはノーダメージ。私だったらこう言われたら「やっぱ私はダメだ…」と思うことも、その人はそこまで捉えない。
自分の考え方が極端だと気づいた。間違いを指摘されたら人格を否定されたと思う。少し失敗したら私はやっぱりダメだと思う。
傷つかないように自分発信で何かをすることもなく他力本願だった。人から声をかけてもらうのを待ち、「あの人がこう言ってて…」と人の発言を引用し、声が小さいから少し聞き返されただけで「間違ったこと言ったかな」と狼狽える。
聞き取ってほしい。こう捉えてほしい。こう言ってほしい。同情して慰めてほしい。そんな人任せで受身な自分に気づいて嫌悪した。

捉え方を改めて、自分で人生を選ぶ。
幸福になる努力を自分でしろ!

攻略すべきダンジョンは人よりいっぱいあって、しかもだいぶ初歩的なところで止まっているのもわかっていたから、人と比べるのもやめた。同じエリアで出会ったキャラも、一緒に進んでるように見えて実は私が見たこともないようなエリアをすでに攻略している。私がまだ持っていないアイテムも揃えているからそもそもステータスが違う。レベルアップもしてないのに一緒にラスボスを倒しになんていけない。そんな土俵の違う他人と自分を比べるのはやめた。
昨日より今日、先週より今週。先月より今月、去年より今年。できたことを紙に書き出した。過去の自分と比べるとちょっと嬉しくなる。だって絶対何か一つ成長しているから。

「夜眠れるようになる。朝起きれるようになる」

「1日1回、職場の人に話しかけて談笑する」

「雑談感覚で仕事の相談ができるようになる」

「家事は導線を決めてルーティーン化する」

「仕事と家事をルーティーンでできるようにして、疲れにくくする」

「そうやってできた時間で趣味に没頭する」

「趣味を続けてマネタイズする」

「なりたい自分に近づくために、スキルアップする」

そうやって一つひとつダンジョンを進んできて今ここにいる。

「落ち込む」選択肢を選ばないようにしたら、RPGはサクサク進んだ。
今まで「落ち込む」ことだけをこねくり回していたんだ…!

気持ちが落ちることはあっても、もう落ちることだけに時間を使わない。「解決できること」「解決できないこと」を見極めて「解決できないこと」は早々に諦める。ゲーム世界の画面最果ての森だと気づいたら開拓を諦めて違うエリアに行くし、直面するモンスターが倒せるなら向かっていくし、倒せなさそうならレベルアップのアイテムを探しに引き返す。
「趣味:落ち込むこと」をやめたら、リアルなダンジョンも行けるところまで行ける可能性が大いにある。

▶︎落ち込む
▶︎挑戦する
▶︎一旦引き返してレベルアップする

一番上の選択肢だけは、もう選ばない。




この記事は「創作大賞2023」の「オールカテゴリ部門」に応募しているエッセイの一部です。
いいね🌷での応援、励みになります🐶
応募している全文はこちらから読めます▼


Instagram▼


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?