life is in my bookshelf.
うちの本棚には『ノルウェイの森』が4冊ある。
文庫では上下巻なので、2冊ある人は多いと思うが、4冊はなかなかいないだろう。
どういうことかというと、上下巻それぞれ2冊ずつあるというだけで、要するに別々の場所に住んでいた2人が一緒に暮らすようになったとき、それぞれが上下巻持ってきたということ。
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蔵書とこれから増えるだろう本を見込んで作ってもらった新しい本棚は、全部の本を並べてもまだ余裕がある。
今までのように2段に並べ、隙間に敷き詰める必要もないから、蔵書がずらっと見える風景は壮観で、気持ちが良い。
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ビールを飲みながら本棚を整理していたら、気分が良くなってきたので、私を作る3冊を。
『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(村上春樹)
修士論文でとりあげた本。
ボロボロになっているのは、何回も何回も何回も何回も読み込んで、“僕”と“私”の冒険を追って、分析して、想像したから。
このボロボロにはいろんな思いがつまっているから『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』は本当に私だけの物語。
表紙デザインはやっぱりこっちの方が好き。
読み返すとそこらじゅうにあるドッグイヤーとメモに出会って、より一層ハードボイルドになってしまっている。
『ジャンプ』(佐藤正午)
小学生のときから本は好きだったけど、なんとなく読んでいただけだった。
中3の春休み持て余した時間で、家にある母の本棚から引っ張り出してきて読んだ1冊。
たしか、りんごの表紙がかわいいと思って。
「ああ、小説っておもしろいんだ」「日常のように見える世界にも物語はあるのかもしれない」と気づかせてくれた本です。
アブジンスキーを飲んでみたいと思って、早く大人になりたいとも思った。
一度だけ、アブジンスキーを飲んだけど、薬草みたいでビリビリして飲めたもんじゃなかったけど。
『おおきな木』(シルヴァスタイン)
人生で指折りの迷走期間大学4年生の頃に改めて読んで「こんな建築を作りたい」と思った1冊(そして、さらに迷走した)。
たぶんあのときは「人の人生を変えるようなものじゃなくていい、いつか思い出してジワジワとなにか心に残っているようなものが作れたらな」と思っていたんだと思う。
それは今もあんまり変わっていないかな。
20年以上も本棚に大切にとっておいて、ときおり引っ張り出して読んでるくらいだから、この本は私にとって間違いなく「ジワジワとなにか心に残して」いる。
ちなみに村上春樹訳もあるけど、ほんだきんいちろう訳版。『ハードボイルド・ワンダーランド』の世界に迷い込んでいたとき春樹版が出たけど、そこはほんだきんいちろう版のままにしておいた。
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ちなみに人の家の本棚を見るのが結構好きです。
なんかそこに“人生”がある気がして。
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