はじめて住んだ家とねじまき鳥クロニクル
大学院を卒業した年の秋、はじめて一人暮らしをした。
当時の私は出版社でアルバイトをしながら、先の見えない未来をきちんと見つめなくてはともがいたり、見ないフリしながら暮らしていた。
実家が東京だったため、一人暮らしをする特別な理由があったわけではなく、母の「お母さんの仕事部屋が欲しいから、(私か弟と)どっちが部屋を借りない?今なら初期費用出してあげる」という提案にのっただけだ。
フリーターで払えるギリギリの家賃で見つけた家は、浜田山の1K。高級マンションに埋もれるようにたた