キタハラ「早番にまわしとけ 書店員の覚醒」を読んだ

業務に追われる書店早番のもとへ、本に恋愛に一切無関心!の店長が現れ!?

朝から大量配本、レジに発注で夕方には燃え尽きる。それが書店の早番だ。とある書店・さかえブックスへ本社から由佳子が店長としてやってきた。本に恋愛に一切興味なし!そんな店長を前に、早番どうする!?
Amazonより

 Amazonの説明とは異なる印象をうけた。読む前は早番の書店員が主人公で、鉄の女的な新店長が一波乱起こすのかなと思っていた。

 実際は店長の由佳子が主人公だった。不本意な異動で書店の店長になった由佳子が、アクの強い書店員たちとぶつかり合い、励まし合いながら絆を深め、成長していく物語だった。

 時事ネタ(藤井風とか、ちいかわとか、店長がバカすぎてとか)が豊富なので、同時代の人の話だ!と感情移入しやすい。個人的に1番笑ったのが、タクシー!と怒鳴ってタクシーを呼ぶ人にサラジェシカパーカーかよとツッコむシーン。



 読後感が爽やかで、人ともっと関わりたくなる。前向きな気持ちなれる作品だった。読んでよかった。
  登場人物のキャラが立っている、物語の起伏がある、最後は感動する、これは実写化映えする。実写化したら書店員という職種の人気が高まりそう。私もなりたくなった。


 自論だが、本好きは本選びにあまり迷わない。彼らは、ひとまず興味を持った本を読み始め、面白くても面白くなくても読み切る。本に関してのフットワークが軽い。なので本好きの人におすすめの本を聞かれてもあまり構えずに直近読んだ面白い本を答えられる。しかし、本を読む習慣がない人に対しては難しい。彼らにとって本選びは重要な作業だ。せっかく時間をかけて読むのだから絶対に後悔したくない、という気持ちを持っているように思う。
 その点、この本は大手を振って誰にでもおすすめできる。誰も読んだことを後悔しないのではないかと思う。


 由佳子の知人の小説家先生のビジュアルは売れる前の又吉直樹で想像しました。

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