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産後2~3日目母乳育児のコツ

「赤ちゃんが生まれたら、母乳が勝手に出て、赤ちゃんも上手に飲んでくれるのかと思っていたのに」
と、涙するママに沢山お会いしてきました。多くは、産後3日目を「頑張って」「必死に」過ごされて、しんどくなってしまっていると感じます。
 赤ちゃんの育児において、産後3日目はふんばり時です。なぜなら、ママのおっぱいは産後4日目から分泌が増えてくることが多く、3日目までは赤ちゃんが頻繁に欲しがるのに、母乳はタラリとしか出ない状況が続くからです。
 ここでは、そんな産後3日目を乗り越えるコツをお伝えします。

①産後3日目のママの状況

 産後3日目のママは、お産の時の興奮が少しおさまり、気持ちが落ち着いた頃です。後陣痛(お産後の子宮が戻る時の痛み)はまだ残っています。帝王切開の傷や、会陰切開の傷の痛みは、当日~2日目よりは落ち着いてきますが、まだ続く方が多いです。
 産後のホルモンバランスの変化や、お産の時の出血などの水分量の変化から、足や手がむくむこともあります。
 初産婦さんだと、頻繁に泣く赤ちゃんのお世話に戸惑いながらも、少しずつオムツ交換や抱っこに慣れてくる頃です。

②産後3日目の赤ちゃんの状況

 産後3日目の赤ちゃんは「生理的体重減少」が起こります。これは、生後2日目までは、母乳やミルクを飲む量に比べて、便や尿や汗などで身体から出る水分量の方が多いために起こります。
 時には体重の10%程も減りますが、赤ちゃんは「お弁当と水筒を持って生まれてくる」と言われていて、しばらくは、体重が減っても大丈夫なように、皮下脂肪を蓄えて、少し浮腫んだ状態で生まれてきます。

 また、「新生児黄疸」といって皮膚が黄色くなります。これは、血液中の「ビリルビン」という物質の濃度が高くなるために起こります。血液中のビリルビンが少し多くても、体に害ははありませんが、多すぎるときは治療が必要になります。産院では、毎日赤ちゃんの黄疸の程度を測定して、治療が必要かどうかをチェックしています。

③産後3日目のおっぱいの状況

 産後当日~2日目まで、おっぱいを頻回に吸わせていた場合、3日目くらいから「おっぱいが張ってくる」ようになります。おっぱいに熱が帯びて、皮膚もパツンと張りがある状態になります。触ったり、押したりすると、軽く痛む場合もあります。
 ママの全身がむくんでいる時は、乳首もむくみがでることがあります。
 おっぱいの張る感じも、乳首のむくみも、その痛みも、個人差がとても大きいです。疲れていたり、お産の時に出血が多く貧血気味の場合などは、おっぱいが張ったり熱を持ったりするのが遅れることもあります。

④産後3日目を乗り越えるコツ

1.ママがリラックスして、体も心も休める

 母乳がスムーズに出るために、むくみを減らして、全身の血液の流れを良くすることが大切です。
・足浴をして温める
・スマホなど目を使いすぎない
・気を遣う人の面会は断る
・首回り、足首のストレッチやマッサージをする
・肩・首回り、お腹、足首を冷やさない
などの対策があります。

2.負担のかからない授乳姿勢で、頻回に授乳する

 おっぱいに熱を持って、張ってきたら、母乳がどんどん作られ始めます。赤ちゃんもママも快適な姿勢になるように意識して、頻繁に授乳をしてみてください。乳首の先には、おっぱいの出口(乳口)がありますが、赤ちゃんに吸って貰うことで、その出口から母乳がスムーズに出るようになります。
 負担がかかる姿勢で授乳をすると、乳首の先だけを引っ張るように吸ってしまい、乳首の傷の原因になります。産院のスタッフに見てもらいながら、痛くならないように練習してみてください。

3.赤ちゃんやママの状況で、ミルクを足すこともあります

 赤ちゃんは「お弁当と水筒を持って生まれてくる」のですが、体重の減りが大きい場合や、低血糖の可能性がある場合、また、黄疸が酷くなりそうな時には、ミルクが必要なこともあります。
 また、ママがとっても疲れていて、授乳よりも休息を優先した方が良いこともあります。そんな時には、産院のスタッフと相談して、一時的に必要な量のミルクで補うことも大切です。
 少し休憩をしてみたり、ホッと肩の力が抜けると、うまく授乳できるようになることが多いです。

⑤子育ては長期戦。肩の力を抜いて。

  母乳育児も、子育ても、長期戦です。自分自身の「こうしたい」という希望と、自分の心身や赤ちゃんの状況をしっかりと見て、その時々に最善を尽くしていくことが大切なのかな、と感じます。
 「こんなことを聞いてもいいのかな?」などと思わず、小さなことも助産師にご相談くださいね。色々な人の助けを借りながら、少しでもゆったりとした気持ちでお過ごしください。


助産師hana*癒やされるお産・満たされる育児

心地よい妊娠・出産・子育てで、自分自身が癒やされて満たされる方法を、講座やコミュニティでお伝えしています。

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