フェミニズムと性的マイノリティー
性的マイノリティーというと、LGBTやその後に、アルファベットの文字列が並ぶものばかりが取り上げられるが、かつてはそうではなかった。
①1990年代に活躍した社会学者の宮台真司は、特殊性的嗜好者として、フェティシズムやSM趣味の人を取り上げている。
変わったフェティシズムの人もいて、奥歯フェチなどというものもあるようである。最近は、新型コロナでマスクフェチの人も増えているらしい。コロナ以前に、東京都内には2000人ほどのマスクフェチの人がいるという記述を見たことがあるが、マスクが標準装備になってからは、もっと増えているかもしれない。
ところで、フェミニストはフェティシズムが嫌いである。
フェミニストの2次元攻撃は、しばしばアニメやマンガのオタクに対する嫌悪感として説明されており、それは正しくはあるのだが、そもそもフェミニストは、フェティシズムそのものが嫌いなのではないかというのが、私の考えである。(『宇崎ちゃんは遊びたい!』は、胸のフェティシズムの作品という解釈も可能であろう。)
②
フェミニストはSMも敵視している。
SMの愛好家は、必ずしもオタクや弱者男性ではないと思われる。(もっともフェミニストがそう考えているかどうかは分からない。)
③フェティシズムやSMを排除すると、宮台真司が取り上げて、ある程度、一般世間にも認知された以前の状況(1990年代以前の状況)に回帰することになるが、1989年で昭和が終わったことを考えると、それは昭和への回帰を意味する。
④性的マイノリティーには、これ以外にも人形愛がある。人形愛という言葉は澁澤龍彦が初めて使った。
フェミニストは小児性愛者向けのドールの販売を非難した。これは人形愛の問題でもあった。
もっとも、澁澤龍彦が人形愛について語ったのは昭和の頃である。ただ人形愛が、フィギュアという形で大衆化したのは平成になってからで、人形愛を規制することになると、これも昭和への回帰を志向していることになる。
⑤フェミニストの主張には、平成に行なわれた、さまざまな試みへの反動と見られるものがあるが、彼らはそのことに無自覚のようである。
⑥先頃亡くなった立花隆氏には、『アメリカ性革命報告』という著書があり、1970年代の米国で日本の1990年代と同様のこと(フェティシズムやSMの大衆化)が起きたことが書かれており、日本特有の現象ではなかったことが解る。
⑦フェミニストは、自身が好まない性的マイノリティーを容認しない、日本固有の現象ではないのに、日本の問題として批判するという傾向があり、想像力の欠如やご都合主義は相変わらずである。
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