死後の世界➀
この著書が執筆される動機となったフランス人の『死後の世界』という本があるのだが、それについては別の機会に書く。
渡辺氏は仏教の研究者だったが、この本は、その立場から書かれていない。今回は、この本の重要な点だけを短く書いておきたい。
ポイント➀
太古の人々は、人が死ぬのが不可思議だった。文明以後の人々のように、病死や寿命という概念はなかった。そのため、死を説明するのに超自然的な理由を用いた。すなわち別の世界から何らかの力が働いたというのが、彼らの死因の説明だった。宗教は、こうして発生したので、死に対する不安から死後の生を望むという形で始まったわけではない。
ポイント②
すべての人が死後も存続するとは考えられていなかった。仏教のある宗派のように、人はすべて極楽か地獄に行くというのではなく、族長や家長しか死後の生はないと思われていた。従って、子供は死ぬと単に消滅するだけだった。(子供の墓は造られなかった。)
キリスト教や仏教の一部の宗派のように、万人が天国か極楽か地獄に行けるという思想は、死後の世界の民主化ということができる。
ポイント③
死後も存続するとされた族長や家長の場合でも、死後の生は期間限定だった。3代の世代を経ると、墓は倒された。そのくらいの期間が経つと、死後の魂が消滅すると思われたらしい。
我々の宗教観は、仏教やキリスト教のような世界宗教の影響により構築されているので、こうした発想は違和感があるが、太古の信仰の方が、世界宗教よりも遥かに長期に渡って人々を支配したのである。
続きは別の日に。
またね!
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