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少子化対策と財務省

高校生の子供がいる世帯への扶養控除の廃止案にたいし、子育て世帯から反発がきている。

①子供は家庭だけで育てるか、社会全体で育てるかという育児思想の違いが根底にあるようにも見受けられる。

本当は子育てはもっぱら家庭で行うべきだが、特別な配慮によって育児支援するという立場なら、子育て世帯にあまり有利な施策は行われない。保守は、こういう立場であろう。従って、所得制限の撤廃に消極的であった。

所得制限は撤廃される方向となったが、社会全体で育児を支援するという立場(リベラルはこちら)に立っても、その社会には子育て世帯も含まれるわけだから、子育て世帯も費用を負担することになる。具体的には扶養控除の廃止というわけである。

②だが、こうした育児思想とは別の事情もある。

子育て世帯は、今や20%台しかないわけだから、選挙目当ての政治家が、子育て世帯だけ痛みがない政策を採用することは難しい。また、今までの財務省のやり口を見ていれば、税収を増大させるために扶養控除廃止の話が出ることは、想定の範囲内だろう。

「岸田政権は、子育て世帯の味方だ」とまで言っていた人がいたが、彼らには政治家や財務省が、どんな人達から構成されているのか、洞察する力が欠けていると言わざるを得ない。

財務省は、扶養控除の廃止を正当化するために、政治家に対して、政策の一貫性を主張しているかもしれない。中学生までは児童手当が支給される代わりに扶養控除がない。高校生のいる家庭に児童手当を支給するなら、扶養控除を廃止しないと政策の一貫性が保てないなどと言っている可能性がある。

財務省は配偶者控除も廃止するつもりでおり、控除は出来るだけなくしてしまいたいという意向のようだ。政治家だけでなく、財務省も問題なのだが、子育て世帯の怒りは財務省には向いていないようで、財務官僚が政治家のかげに隠れて、ほくそ笑む光景が目に浮かぶ。

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