father

画像1 ひとつだけ父との良い思い出がある。小学校の夏休み。台風が直撃して雨戸を閉じて眠っていた。「台風の目に入った」。父が私を起こした。生き物の目を想って外に出る。雨も風も止んでいた。夜明けの生温い大気。線路の向こうに白いアーチが光っていた。分厚い雲に縁取られた、巨大な分度器のような空。