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ジョージアと葡萄畑

今日は、昔別のブログに書いた記事を掘り起こし、このnoteのプラットフォームに生き返らせたいと思います。以下、2020年8月13日に執筆した文章です。

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最近、うっすらこっそりグルジア語(ジョージア語)を勉強している私だが、その一環でジョージア映画🇬🇪を観てみようと思い立った。

今回観たのは、Amazon Primeで見つけた「葡萄畑に帰ろう」(英語題 The Chair)である。

レンタル500円。

さて、Amazon Primeで無料で視聴できる他の数少ないジョージア映画を差し置いて、500円を払ってまで「葡萄畑に帰ろう」という映画を観たのにはささやかな理由がある。

葡萄畑というタイトルに惹かれたからだ。
これを説明するには、多少ジョージアという国の背景について述べる必要があるだろう。

ジョージアというのは北はロシア、南はトルコとアルメニア、東はアゼルバイジャンに接している、コーカサス地方の国である。


つまり、西洋と東洋、ヨーロッパとアジアが交差する地に位置する国だ。

国民の多数がジョージア正教を信仰しており、このことはキリスト教文化圏に属することを意味している。

Google photoやYoutubeや映画に映るジョージアは、アジアよりはヨーロッパ色が強い印象を受けるが、その主要因の1つは、おそらくこの宗教事情にあると思われる。

ところで、そのジョージアはまた、ワイン発祥の地としても知られる。
(この製法がまた大変興味深い!)

出典:徹底解説!ワイン発祥の地ジョージア(グルジア)のワイン | エノテカ - ワインの読み物

ところでワインといえば、キリスト教文化において重要な飲み物だ。

というのも、ワインはキリストの血のシンボルだからである。
イエス=キリストはかつてこう述べたらしい。「パンは我が肉、ワインは我が血」

このようなワインとキリスト教の繋がりは、ジョージアにおける深いヨーロッパ的伝統を理解する鍵の1つではないかと私は睨んでいる。

その上、ジョージアのナショナル・アイデンティティは言語、宗教及びワインだとどこかで読んだ。

それが本当であれば、フランスにおけるワインよりもはるかに深い国民感情に根差している可能性がある。

(フランス人にとってワインはとっても重要だけど、アイデンティティの1つにまでは昇華されていないと私は思う。だってフランス人をフランス人たらしめる象徴はワイン以外にもごろごろあるもの。)

前置きが大変長くなったが、こんなわけで、ジョージアにとってのワインー葡萄畑ーというのは、抜き差しならぬメッセージが隠されている可能性が高い。

「葡萄畑に帰ろう」というのは、おそらく登場人物の個人的な故郷や実家を指すだけではない。

葡萄畑に帰ろうということには、国民的な故郷や国民的原点に帰ろうよという、そういった含意があるのではないか・・・?

これが、タイトルをみて私が直感したことだった。
以上が「観よう♪♪」と思うに至った私の頭の中のぐるぐるである。

ジョージアに行ったこともないし、ネットで漁って得たジョージア知識をつぎはぎして自己の中に統合したジョージア観だけで、よくもまあここまで深読みできるものだよね。

果たして私の読みはただの深読みなのか・・・?

長くなってきたので、レビュー本文は次回!(おい)

(未完のままこれで終わり)

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今だから言えるけど、実は2020年8月当時、まだ婚約したてだった今の夫に、ジョージアに赴任する話が出ていた。

それで私たちは、連日連夜のようにジョージアの情報を集めていた。夫と二人でジョージアの首都トビリシのことを調べ、日本人がYouTubeにアップしたジョージア関連の動画をことごとく視聴した。

おかげで、私たちはトビリシの主要観光名所をほぼ押さえてしまい、すでに行った気分になっている。

さらに私は新しい土地に行く時、歴史や言語から入る性癖があるので、グルジア語の文字をノートに書き写したり、どの本で歴史や文化を勉強しようかとネットで調べたりしていた。確か首都大学東京(昔の都立大)に日本でほとんど唯一のジョージア研究者がいることを突き止めたと記憶している。

結局、ジョージアに行く話は諸事情あって白紙に戻してしまったけれど、もし行くことになっていれば、私は3月いっぱいで今の職場を退職し、来週あたりにでも夫を追って日本を出国していたことだろう。

先週久しぶりに、夫と一緒にジョージアの動画を観た。

夫は、「いつか旅行でトビリシには行こうね」とふと言った。私はちょっと嬉しくなった。いつか本当に行けたらいいな。

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