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東京と松本市の2拠点生活やめて、これからは松本市【街】と松本市【山】の近距離2拠点をはじめようと思う

都内の会社を辞めて独立し、長野県で暮らしはじめてもうすぐ丸3年が経とうとしている。

住まいは長野でもひよっこフリーランスの収入を支えてくれたのは、東京の仕事だった。月3回ほど、打ち合わせのために松本と新宿を結ぶ特急あずさに乗り込む。東京で友人とのシェアハウスしている家に泊まり、数日間でオンとオフそれぞれの予定をコンプリートしながら過ごす、東京と長野の2拠点生活をおくっていた。

田舎か都会か、ではなく、田舎も都会も、という欲張りなスタイルは、交通費や体力の面で大変なこともあったが、それを上回る充実感があった。…2020年のはじめまでは。

マイクロツーリズムで得た出会い

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あれから大変なこともいっぱいあったけれど、その代わり得たものもあった。よかったことのひとつに、長野県のまだ知らない魅力にたくさん気づけたことがある。

信濃町、富士見町、山ノ内町、伊那市、上田市、小諸市、軽井沢町…
遠出の旅行をするかわりに、住まいから1時間~1時間半くらいの場所をさまざま訪れた。すいている平日に仕事を持ち込んで滞在してたので、流行りのワーケーションってやつでもある。

そのなかでも衝撃的な出会いとなったのが、松本市乗鞍である。

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乗鞍は松本駅からクルマで約1時間の距離にある、山間地。かつては安曇村であったが、2005年に平成の大合併で、松本市に編入した。岐阜・富山との県境にあり、夏は避暑、夏から秋にかけては登山、冬はスキーを目当てに観光客が多く訪れる地域だ。

白骨温泉や上高地からもほど近い、とお伝えすればピンとくる方もいらっしゃると思う。まちなかにはスキーブーム・ペンションブームがかつてあったことを垣間見ることができ、すなわちやや寂れた印象も残っている地域でもある。


「乗鞍いいかも…」と思ったのは、2020年6月、まだまだ混沌としていた世の中だったが、市内や周辺市町村で停滞した経済を回していこうという流れのなかで、「ゲストハウス雷鳥」を訪れたことがはじまりだ。

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実はこの乗鞍地域、父方の先祖一族が代々住んでいて、私にとってもルーツのひとつだ。幼少期には父の実家を訪れるついでに、いろいろレジャーに連れて行ってもらった思い出もあるけれど、クルマで1時間という距離にあるため、近年はもっぱら家と家の往復が主。

そのうえ、祖母は私が5歳のころに亡くなり、祖父は山の男らしく寡黙だったのであまり言葉を交わすこともなく。乗鞍には高校がないから父も15歳で地元を離れてしまってつながりも希薄で。お盆か法事くらいでしか乗鞍との接点をもたずに過ごしてきた。
(子どものころは退屈すぎて通過するトンネルの数をかぞえていた記憶が大方を占めている)

そんな私だったけれど、乗鞍の魅力にようやく気づくことができ、ここ最近気づけば毎月通うようになった。


私が乗鞍に惚れた3つの理由

・アクティブとスロウを行き来することで、張り詰めていた自分が解かれていく
乗鞍には整備されすぎていない、ありのままで美しい自然がたくさん残されている。私は登山とか全然やったことないペーペーだけど、ハイキングや散歩程度の山歩きでもすっごく発見がある。ツアーを申し込めば、上高地や乗鞍岳まで足をのばしてスノーシューやクロスカントリーが初心者でも楽しめる。

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そして身体を動かしたあとは、温泉!
真っ白な硫黄泉にぷかぷかと浸かっていると、余計な思考が流されていくような気がする。凝り固まったカラダも、動かして張ってしまったカラダもすべて包み込んで、軽くなる。
サウナも大好きだけど、のんびりとした心持ちで心身をゆるめてくれるのは、やっぱり温泉だ。DNAに刻まれし、温泉への愛…ともいうべきか。

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そんな乗鞍で、アクティブとスロウな時間を繰り返し過ごしていると、知らず知らずストレスが溜まっていたことに気付かされる。自然のど真ん中にいると、パソコンやスマホとにらめっこしている本当に自分の存在がちっぽけに思えて、張り詰めていた自分をログオフ状態にすることができる。


・ノイズが少ないゆっくりと静かな時間
乗鞍にはコンビニがない、あとATMもJAバンクしかない。お腹すいたからコンビニ行こうとか、サッと現金おろそうとかできない。
ゆえに、ないものはない。あるものでなんとかするというマインドになってくる。

圧倒的に不便なんだけど、余計な情報が少ないかわりに、上質な自然が目に飛び込み、耳をすませば小鳥のさえずりが聞こえてくる。


喧騒から距離を置き、乗鞍の豊かな自然に囲まれた静かな時間を過ごしていると、「~しなきゃ」とか「他の人はこうだから」という気持ちがゆるんできて、ネガティブな思考から「足るを知る」という穏やかな決心がわいてくる。

そして、人生に必要なのはお金ではなく、こうした自然にかえる時間なのだなと確信する。

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・住んでいる方々がめちゃめちゃパワフルでナイス
結局ここに行き着くのだけど、イベント企画や産業を通して、これからの乗鞍をつくろうとしている人がたくさんいらっしゃるのだ。それは移住者だけにかぎらず、ずっと住んでいる地元の方にもその気概がある。

たとえば、
◉もともとあった温泉旅館をリノベーションして、いまやワーケーション拠点として大人気な「ゲストハウス雷鳥」、さらにはリユースカップや地元産をつかったサスティナブルなカフェ「GiFT NORiKURA」を営む藤江さん
インタビュー:https://www.abn-tv.co.jp/sugodikara/backnumber/2020-02-08/

◉アメリカから移住し、フェアトレードなコーヒーの焙煎や撮影、リーダーシップ人材の育成、DIYまで、さまざまな分野で活躍されている、セツ・マカリスターさん
インタビュー:https://www.hokurikushinkansen-navi.jp/pc/news/article.php?id=NEWS0000021935

◉野外でのびのびとした保育が受けられる「のりくら自然保育木のこ」や、ペンションをリノベーションして「コリビングハウス&スペース 乗鞍すもも荘」などにたずさわる蕗子さん
インタビュー:https://satoyama-e.com/2020/11/20/%E8%87%AA%E7%84%B6%E3%81%AE%E3%81%AA%E3%81%8B%E3%81%A7%E3%81%AE%E5%AD%90%E4%BE%9B%E3%81%AE%E5%B1%85%E5%A0%B4%E6%89%80%E3%82%92%E3%81%A4%E3%81%8F%E3%82%8B/

ほかにも、プロジェクトとしては
・地域を横断し、一体となって課題に取り組む地域DMOの「アルプス山岳郷
・スキー場の跡地で昔から愛されてきたヤギミルクを特産品化した「ばんどこメリーランド
・国内初のゼロ・カーボンパークに選ばれた「国立公園

などなど…
これからの時代に沿った、さまざまな活動をしているかたがたくさんいて応援したくなる。


🗻   🗻   🗻


知っているはずなのに、知らないことがたくさんある。
自然は四季折々の姿をみせてくれるから、何度通っても同じ景色はないからわくわくする。

カラダを動かしたらお腹が空いて。温泉入ってポカポカになったらやすむ。
自然のリズムってそういうことなのだろうと思う。
街にいてもやろうと思えばできるのだろうけど、この場所でそうして過ごしたい。

東京にもこの2年で1回しか行っていないし、長野県での仕事も増えてきた今日このごろ。
…というわけで、東京との2拠点生活を標榜するのをやめて、乗鞍との2拠点生活をこれから実践しようとわたしは思っている…というお話でした。

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