馬場拓也

神奈川県の愛甲郡愛川町で酪農家の家に生まれました。大学卒業後アパレル企業に就職し、34…

馬場拓也

神奈川県の愛甲郡愛川町で酪農家の家に生まれました。大学卒業後アパレル企業に就職し、34才で社会福祉法人愛川舜寿会(アイカワシュンジュカイ)に。現在、ミノワホーム | カミヤト凸凹保育園 | 春日台センターセンター | 洗濯文化研究所などの事業を運営。

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母を看取る息子たちの話し

102歳のシオさん(仮名)が亡くなった。息子さんたち(長男次男70代)もまだまだ長生きしてほしいと願いながらも、草花が枯れていくような自然な最期を望んだ。病院からここに戻り、看取りケア* をはじめて2ヶ月。幾度となく誰もが「いよいよ」と思う瞬間があったが、今日まで立派に生き切った。 ”最期の時”までのプロセス これは決してすべての人に当てはまる全例ではないが、死の間際にある人は血圧が低下した後、胸郭を使った呼吸が下顎を使った呼吸に変わり、呼吸回数が減少する。その後、心拍数が

    • 笑あり涙ありで見送る看取り介護の話

      うちが運営する特別養護老人ホームミノワホームでは年間数十人のお看取りをする。積極的な医療ではなく自然な最期を迎えるための、ターミナルケアである。 昨日、入居者であり、現在ターミナルケアをしている島田育男さん(仮名86才)が永眠した。奥さんは3か月前に他界したばかり。これまで育男さんのご長男さん夫妻が育男さんと奥さんを自宅で看てきた。育男さんは先週あたりから、もういつ逝ってもおかしくない状態が続いていた。 これまで毎日の様に面会に来ていたのは同居していた長男のお嫁さん。 入

      • 寛容な子どもの居場所の話。

        80年代〜ここは学習塾、ピアノ、習字など子供達が集う、近所の小さな寺子屋。僕は小1から小6まで毎週土曜日、ここで習字をならっていた。習字の先生はいつも着物を着て綺麗に髪を結っていたおばあちゃん。その先生は僕らのことをたったの1度も叱らなかった。『拓ちゃんの字は力強い』『〇〇ちゃんの字は伸びやか』『〇〇ちゃんの字は個性的で先生大好き!』どんな字でも手放しで褒めてくれた。みんなそれが嬉しかった。それぞれが好きな時間に来て、習字を書き終えると先生が用意してくれたお菓子を『1人1個』

        • 爺ちゃんの話

          2010年に僕は約20年離れていた地元に戻り、社会福祉法人の二代目経営者としての一歩を踏み出した。新規事業立上げてバリバリやってやると息巻いてた。 僕の爺ちゃんは70才で永眠した。馬場舜治(ばばしゅんじ)という。僕が中2の夏だった。当時70前後の爺ちゃん婆ちゃんたちはあれから20年経っても90前後。介護の現場に出てみると、まだ爺ちゃんの同級生や昔の友人達がみんな生きていたことに驚いた。後継ぎの僕を「若旦那」「若様」「若社長」などと声をかけてくれていた爺ちゃん婆ちゃんたち

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          ポジティブに諦める話

          政府は新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言を延長しました。僕は政府の批判は「あまり」しません。なぜなら皆、今の立場でそれぞれのベストを尽くしていると「信じている」から。 僕は、信じています。信じなきゃやってらんない。そしてそれは、信じることを出発点にしないと、自分が辛いからです。これは、ある種自己防衛なのかもしれません。自分以外の他者を疑うことは無限にできますから。でも、それもこれも自分がそのコントロールをできるわけですから。 それならばと、信じるという

          ポジティブに諦める話

          「知らない」と「知ってる」が大きな違いを生む話

          1980年代、障害のある子供を受け入れた幼稚園や保育所の保育方法は手探り状態でした。初等教育に行っても「特別支援学級(学校)」に分けられてしまうような状態が「当たり前」でした。そこから40年が経ち、今ではダイバーシティやインクルーシブなどの言葉は、社会的意識の高い系の人でなくとも、誰しもが耳にする時代になりました。 振り返ってみれば、僕が中学校の頃は同級生には自閉症スペクトラムのタツロー、耳が聞こえないユキちゃん、ダウン症のチエちゃん(すべて仮名)、今思えばその他にも多くの

          「知らない」と「知ってる」が大きな違いを生む話

          記憶のストックの話し

          ふと、noteをはじめてみようと思いました。facebookでもTwitterでもインスタでもSNSは、それぞれを使い分ける時代だって誰かが言ってたので。どこにアウトプットするかの違いだけでアウトプットの総量は変わらないから。深く考えずにはじめてみようという考えです。 小学校の頃、ノートと鉛筆で「文字」を書く時に悩みがありました。 その悩みとは、下敷きを敷くと硬くてうまく文字が書けないということでした。逆に敷かない方が上手く書けるのだけど、そうなると困ったもんで、後ろ5ペー

          記憶のストックの話し