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滅びの前のシャングリラ を読んで

記録のための感想文。ネタバレあり。










初めの章ではいじめられているデブの恵那くん目線のお話。
心優しいのにどうしようもなくいじめられていて死にたいと考えている恵那くんは不憫でならない。
いじめも割ときついのでちょっと読み進めるのに躊躇った。
しかし、恵那くんの母が好きだったので持ち堪えた。
恵那くんと違って言葉使いが荒くておかあちゃんという感じのどっしりした母。

最初は読み始めたことを少し後悔してしまった。
なぜなら思ってた雰囲気と全く違ったから。
今まで凪良ゆうさんの作品は日常の中で育む思いとか感情を描いていたイメージだった。しかし今回は地球滅亡という今までと違うニュアンスに加え、いじめや殺しなど人間の弱くて醜い部分を描いていて驚いた。

恵那くんは地球滅亡という追い込まれた状況により、高嶺の花である藤森さんを守ると誓う。

滅亡するとパニックになったことで、無法地帯となり、盗みや殺人が横行し、道のあちこちに事故車や死体が転がっている。
想像しただけでゾッとするが、その状況下で恵那くんはすんごい成長を遂げる。

この作品は、地球滅亡までの状況を通して現代人の心の闇を上手く書き出している。
もうどうせ死ぬのだからとか今までやってきたことが無駄になるからという状況になった時に、人は変わる。

誰かを殺してでも自分の欲を満たしたい人、今を生きる為に誰かのために頑張りたい人、どうなるかはその人次第だが、この作品の軸になる人たちはみんな良い方向に行き、清々しい気持ちで最期の日を迎えるので読後は重い気持ちにならない。
滅亡するからこそ、前向き?な考え方というか何かを諦め何かを得ること、その選択に納得できるようきなる。

主人公たちは章ごとに変わるが、みんな繋がっているので、誰がどうなっているのかはずっと追える。

こういう作風のものはこの作者だけでなく初めてだったのでびっくりした。
もし本当に現実に地球滅亡へのカウントダウンが始まったら、この本のように世界は無法地帯となり、サバイバル生活が待っているのだろうな🔥

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