音で感じる「つながり」〜音読のススメ〜
香竜館学習塾では、授業初めに古典の音読を必ずやることにしています。
国語に限らずどの教科でも、学習前にやることで、
姿勢が整い、丹田(人の体の中心と言われる、おへその下の部分)が鍛えられ、
そして声を出すことで、やらない時よりずっと頭が働くようになります。
特徴的なのは、普通に読むのではなく、
一音一音を区切って、口を目一杯開けて、声を響かせながら読むことです。
日本最古の書物と言われる「古事記」、
これは日本の神々の物語と、それに続く天皇家のお話ですが、
これが成立した時代以前から、文字はすべて声に出して発せられるものでした。
読み方のリズムや速さは時代の流れで変わっても、
この「声に出す」ということで得られる、
言葉では表しにくいけど、
でも実際にあると感じる不思議な効果が、今も変わらずあると確信します。
事実、この読み方を続けた生徒たちが、
黙読ではわからなかった国語の問題が、
音読をした途端にわかるという場面が何度もありました。
また、これは日本語に限らず、英語にも応用できることがわかりました。
中学2年生の生徒と、英語の古典にチャレンジしています。
イギリスの古典劇、シェイクスピアの「ハムレット」を少しずつ読み進めています。
ただ聞いただけででは、スピード、単語の難しさ、
そして内容の深さに圧倒されるばかりですが、
試しに単語を一語一語区切って、ゆっくりと、
aやtheも疎かにしないで発音してみたところ、
生徒たちの音読が格段に上達し、
元のスピードでもスラスラと読めるようになったことに驚きました。
日本語と英語、言語が違っても、
言葉は音から始まったという点で共通しているのだと感じます。
同様に、一見無関係に見えることが、
実はつながっているという発見をして面白いと思うことがあります。
生徒との学習の場面では、
生徒の日常との「つながり」を見つけながら、
対話を進めていくことを大切にしています。
「多様性」の社会と言われます。
お互いの違いを尊重しながらも、
そこに共通点を見つけること、それが大切だと感じています。
生徒にこちらの想いが伝わった、と感じた時、
無関係だと思っていたものが実は自分や身の回りに関係していると気づいてくれた時、
この仕事をやっていて良かったと心から思います。
これからもたくさんの「つながり」を見つけられるよう、
私も生徒と一緒に精進して参ります。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
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