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マジックに憧れて

きっかけはYouTubeだったと思う。
6歳の息子が、親指が消える手遊びの動画を真似し始めた。手品というほどのクオリティでもないが、本人は面白そうに披露してくれる。

そんな時に偶然見つけたのが、マジック教室のチラシ。地域のカルチャーセンターで行われる単発のイベントだった。よく見ると、講師のマジシャンが知り合いだ。そんなタイミングもあり、息子に「マジックを習いに行ってみる?」と聞いてみると、目を輝かせながら「うん!」という返事だった。

マジック教室の当日。
教室は息子を含めて6人の受講者がいた。その中で6歳は最年少。周りは若くても中学生くらいの子が1人。他は50代〜60代の女性達だった。
事前に配られているテキストも、パラパラと見る限り6歳には難しそうなマジックが並んでいる。

あら…。息子には、ちょっとまだ早かったかな。

こちらが少し不安になる中で、マジック教室がスタートした。
最初はマジシャンの方のお手本のマジックから。
トランプのカードやボックスを使ったクロースアップ・マジックと呼ばれる近距離でのマジックが披露された。

もうこの段階で、受講者はマジックの虜。
「何がどうなってこうなるの?」と、みんなの頭に「?」が浮かんでいたり、「えーっ!」と驚きの声をあげたり。息子もその1人だった。目の前では披露されるマジックの全てが新鮮だったようだ。

そして、いよいよマジックの実践。
マジシャンの方が用意してくれた道具を使ってひとつひとつマジックにチャレンジしていく。
配られていたテキストを見ると難しそうに思えたが、講師の方の教え方が上手く6歳でも何とか形になりそうなものばかりだった。

「あらー、上手にできてるわね」
「上手いわ!」

周りのマダムからもおだてられ、嬉しそうな息子。
もちろん、ちゃんとは出来ていないのだが、それでも形になっているのが嬉しいようだった。

気が付けば1時間30分の講座が、あっという間に終わっていた。ゲームとYouTube以外で、こんなに長く集中できた息子を見たことはない。

教室で使った道具はそのまま持って帰ってオッケーだったので、家に帰ると家族への披露会が始まった。

サッカーやってみる?
スイミング行ってみる?
英会話とかどう?

これまでに家族が息子に聞いてみた習い事の類は、
全部「No」だった。
だから息子の「マジックやったみたい」は、親としては嬉しかった。

息子が得意げに披露するカードマジックを見ながら、習わせてあげたいなぁとぼんやり思った。


(note更新239日目)


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