イライラしてしまったことに反省
久しぶりに母親と二人で食事に行った。
場所は街中から少し離れた場所にあるステーキハウス。母親が前から気になっていた店らしかった。
お店はオシャレで若い人や家族層向けのように感じた。メニューを見ながら店員に注文する。
「えーっとね、コレください」
母親が指差したのは、ハンバーグとステーキのセットだった。その周りには同じようなセットがたくさんあり、店員さんが母側からメニューを覗き込みながら確認していた。
「ちゃんとメニューの名前言わないと分からんよ」
母親にそう言いながら少しイラッとしてしまった。さらに、ご飯とのセットを頼むと言っていたのに、セットが4種類くらいあるのを知るとそこで「うーん…」と、時間をかけて悩み始めた。
「さっき、これって言ってたじゃん」
店員さんを待たせてしまうことに申し訳なさを感じて、またイラッとしてしまう。
思わず「はぁ」とため息が出てしまう。
でも、一通り注文が終わったあとにふと思った。
俺、なんでイライラしてしまったんだろう?
色々と考えてみた結果、思いあたることはひとつだった。
母親が年老いていることを感じるのが嫌なのだ。
僕が子どもの頃、母親は家族の中でリーダーのような存在だった。場をチャキチャキと仕切り、みんなを引っ張っていくような人だった。
だから、さっきのようにマゴついたり判断が遅かったりすると、見ていられない気持ちになるのだ。
「今、何歳だっけ?」
運ばれてきたステーキを食べながら聞いてみると「64歳」と答えが返ってきた。
そっか、もう64か。
だって、自分が今年で38だもんな。
そりゃそうだよな。
人はいつまでも若いわけじゃない。
イライラしてしまったことに反省した。
「あ、ここは俺が払うよ」
食べ終わって席を立つ時に言うと「いいよ、私が払うよ」と、母親がそのまま伝票を持ってレジの方へ向かっていった。
「お支払いは?」
レジで店員さんが聞く。
「PayPayで」
母親が答える。
64歳でPayPay使うの?
思わず2度見した。
驚いた…というか、見くびっていた。
口には出さなかったが、そこについても少し反省した。
(note更新250日目)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?