2020年を振り返る
2020年は新型コロナウイルスに怯え、戦い、共存していくという、多くの人類にとって未知の経験を重ねる一年となりました。多くの方と同じく、去年の冬の段階では、こんな状況になるなんて想像もできませんでした。
私自身は風邪一つひかず過ごすことができましたが、小説家としてできること、すべきことを考え抜く日々が続くました。
今年も備忘録を残しますので、お時間ある方はおつきあいください。
(2019年の記録⇒こちら 2018年の記録⇒こちら)
1月 英語圏デビュー
オンライン文芸誌Elephants Neverに『After Retirement』が掲載されたのを皮切りに、2020年だけで8作品が英訳され、発表されました。特にオンライン文芸誌Samovarに掲載された『Hummingbird』は、海外で多くの方に読まれ、SF誌Locus Magazineに書評まで載り、逆輸入の形で(?)小説すばるでも紹介されました。
英訳してくださったのはToshiya Kameiさんで、今後も一緒に仕事に取り組んでいく予定です。ちなみに、Toshiya Kameiさんは他にも多くの小説家の作品を手がけられていて、その仕事量とその質は驚嘆に値します。本当にすごい方だな、と思います。
2月~4月 朗読企画
コロナの脅威が日に日に増していく中、新刊の校正とさらに次の発表作品を書き続けていました。私は兼業小説家で、日中は別の仕事をしているので、そちらもコロナによってさまざま影響を受け、毎日をなんとか乗り切っていくので精いっぱいでもありました。
緊急事態宣言により外出自粛が続き、気持ちが内向きになる方が多くいる中、何かできないかと考え、自作『ハミングバード』を朗読し、無料公開する企画を立ち上げました。多くの方に賛同いただき、結果、マツダモエコさん・水無月うららさん・ばんかおりさんが朗読をしてくださいました。三者三様、素敵な朗読です。お名前にリンクを貼りましたので、クリックしてぜひお聴きください!
5月 『ハンナのいない10月は』刊行
コロナの影響で発売日がずれたり、十分な営業活動ができなかったり、と悔いが残る部分はありますが、それでもこの作品を世に出せたことが嬉しいですし、誇りに思います。河出書房新社、そして温かい言葉をかけ続けてくださった編集者さんには感謝しかありません。
コロナ禍で多くの人の心がささくれ立ってしまっている今、ぜひこの物語を読んでほしいな、と思っています。
6月 トークイベント
新刊刊行を記念して、フリーアナウンサーでライターの北村浩子さんとトークイベントを行いました。
会場での対面開催は実現困難なため、初のオンラインイベントとなりました。参加していただいた方の表情や声を見聞きすることができないので不安でしたが、みなさんに楽しんでいただけたようで嬉しかったです。
とにかく北村さんのトークが上手で、おすすめ本の紹介場面では、自分が登壇者であることを忘れて聞き入ってしまいました。
参加者特典として書き下ろしたハンナのスピンオフ『午後の散歩』も喜んでいただけたようです。個人的にも気に入っている作品なので、いつかどこかで発表できたらいいな。
あと、書肆侃侃房の冊子「ほんのひとさじ」vol.14に『五月の理容店』という掌編を寄稿しました。「ほんのひとさじ」は毎回共通テーマが決まっていて、それに沿って小説家や歌人などが短い文章を書きます。vol.14のテーマは「みちる」でした。
もう一つ。「小説すばる」6・7月合併号にエッセイを寄稿もしました。「一期一衣」という衣類にまつわるコラムで、私は〈山高帽〉について書きました。エッセイの依頼がいただけて嬉しかったな。
7月
Samovarに『Hummingbird』が掲載されたのは前出のとおりです。
確率は低いかもしれないけど、海外の大きな賞にノミネートされる可能性もあるようで、来年春くらいまではわくわくし続けられそうです。その他にも『Hummingbird』は今後さらなる動きがありそうです。こうご期待!
8月~11月
プロットを書き、原稿を書き、プロットを書き、原稿を書き、の4か月間でした。これまでの人生で最も多くプロットを書いたんじゃないかな。苦しい日々ではあったけれど、来年の発表に向けて、気持ちを切らさずに書き続けました。まあ、20歳頃から小説を書き始めて、ずっと日が当たらずにきたので、もともと、ちょっとやそっとの苦労ではめげないメンタルは身につけています(笑)
この期間に積み上げたプロットが来年以降花開くことを私自身楽しみにしています。
12月
来年1月17日発売の「小説すばる」2月号に短編『さかさまの洗面器』が掲載されることが発表されました!
過去の掲載作や、現在の連載作家陣を見るだけで身震いするほどです。その中に名前を加えていただけるのが嬉しいですし、多く読者に楽しんでいただきたいと思っています。こちらも、さらなる展開があると思いますので、続報を楽しみにお待ちください。
デビューする前に目標としていたこと、叶えたかったことが、ここ数年でどんどん現実になっていき、「諦めず頑張ってきてよかったなぁ」としみじみ喜びを噛みしめています。
2021年は他にも多くの作品が発表できるはずです。コロナに怯えなくてよい日が一日も早く来ることを願いつつ、これからも物語づくりに邁進します。来年もどうぞよろしくお願いいたします。
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