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「いや~根深い」トランスジェンダー問題


「LだとかGとか、いちいち名前なんて必要なくなる社会。」

そんな社会を目指していますが、

「色んな人がいるんですよ。」

ということを、分かりやすく・より詳しく・より多くの人に理解してもらう為に、カテゴライズして名前をつけて定義を定めた方が効率的というメリットもあります。

なので私も以下のように、以前インターセックス(現在はDSD:性分化疾患とすることが一般的)についてのみの記事を執筆致しました。

そして、本日はLGBTQIA+の ”T”に特化して 、
トランスジェンダーの「知られざる、かなり根深い問題」
についてお話させて頂こうと思います☆

私でも知らなかった、当事者だからこそ知っているお話となりますので是非ご一読下さい☆

共に活動しているトランスジェンダーの小川弦之介君の協力の元、作成いたしました☆


一括りにして良いの!?という位話が違う”T”と”I"

まずは、なぜ私がTとIに特化した記事を個別に書いたのかという理由をお伝えする為に、LGBTQIA+をとても簡潔に!まとめてみます。

L・G・Bは、「どの性別の人を好きになるか」と言う性的指向のお話。

Aは、そもそも魅力を抱くか抱かないかというお話。
 Asexual(アセクシャル) :他人に対して性的魅力を抱かない。
 Aromantic(アロマンティック):他人に対して恋愛感情を抱かない。

Tは「自分の認識する性別が身体と一致しない/違和感を感じる」という性自認のお話。

Iは性的指向でも性自認のお話でもありません。性分化/性の発達のプロセスが典型的に進まない状態のお話。(Iについて詳しくは上記記事)

そして更にもっと大きく分けてみると、L•G•BとAは、「誰を好きになるか、ならないか。」のお話にまとめる事が出来ます。

一方TとIは、好きになるorならないのお話は全くしていない事がお分かり頂けるかと思います。

全く違うのですね。

混同されがちだったり、そもそも何?という事も多いので、個別記事に書かせて頂きました。

では、以下から「トランスジェンダーの知られざる根深い問題」について、お話させて頂きます!

知られざる根深い問題 ①解決法が見当たらない、非当事者とのお風呂


<全員にとってハッピーな解決法がない!!for公共風呂>

こちらは、私も弦之介君も、どうすれば解決するのかと頭を悩ませていることなのですが、

公共風呂(銭湯など)の使用に関して、どのような制度やシステムがあれば、もしくはどのような考え方をお伝えすれば、当事者も非当事者も両方がハッピーに楽しめるのかという事です。

性別適合手術をして完璧に見た目を自認する性別にすることはとても難しいです。(詳しくは後述)

よって、その人の見た目が、その人が自認する性別にどれだけ近いかという程度に差があります。

例:)
自認は女性でも男性に見える方
自認は男性でも女性に見える方

トランスジェンダー方の気持ちを考えれば、是非とも自認する性別のお風呂にもちろん入って頂きたいです。入る権利もあるはずです。

しかし私がいつも言っていることなのですが、
「多様性を求めるのであれば、理解出来ない人も多様性の一つ。」
非当事者の気持ちや立場も考えなければなりません。

そこで非当事者の方(トランスジェンダーではない方)の気持ちを考えれば、全裸になるお風呂という場所に、自分とは違う性の身体的特徴を持った人がいたら、まず驚くのは確かです。

「トランスジェンダー女性/男性です。」という事を入浴している人やどんどん入ってくる入浴者全員に説明して回ることも出来ません。

これは非常に難しい問題であり、多くのトランスジェンダーの方も困っています。お風呂好きの私と致しましても、本当に皆がお風呂を楽しめる何か方法を見つけていきたいと思っています!


知られざる根深い問題 ➁当事者間の火花


<当事者間での意見割れ。話が平行線。>

A「多数派の人々が少数派に配慮すべき。私達少数派が多数派に配慮すべきではない。」と、自分の求めるものばかりを主張して、非当事者への配慮は無し。少し過激気味な意見。

B「私達少数派も、多数派に対してある程度の配慮は必要だ。なんでもかんでも差別されたと言うべきではない。」
と、自分の求めるものを主張しつつも、比較的バランスを取ろうとする意見。


Bとしては、Aのような過激な意見はやめて欲しいと思っています。

なぜなら当事者が求める問題に対して、非当事者も納得出来るような形で穏便には解決できず、解決出来たとしても力づくでクレーマーのような解決法になってしまいかねないからです。
また、強い口調や態度そのものも、良いイメージとはならないからです。

しかし、両者なかなか交わりません。平行線です。

そして悲しいのが、「だからこの界隈はめんどくさい。だからもう当事者とは関わりません。」というB派のトランスジェンダー当事者の方が結構いらっしゃるという事です。


<「トランスジェンダーだと名乗るな。」>

例えば以下のような理由により、他のトランスジェンダーから「トランスジェンダーと名乗るな。」と言われる事があるそうです。

・Xジェンダー(性自認がどちらでもない/どちらでもある/中間)かもしれないという状態の場合。

・治療の段階を、「ここまで」としている場合。
 例:ホルモンまで、胸まで、など。
 (身体的/金銭的など諸事情により、できないorあえてやらない選択肢をとっている場合もあるのに。)

・異性だけじゃなくて同性も好きかも。
(どの性別を好きになるかは性自認の問題と関係ないのに。FtMでゲイやバイセクシュアル、MtFでレズビアンやバイセクシュアルもいる。)

・戸籍の名前や性別を変えない場合。
(家庭の事情や手術段階の事情で変えられない・変えない選択肢をとった場合もあるのに。)


特にSNS上において、このような問題が起こりやすいようです。
例えば、

「トランスジェンダーだと思います」と告白。

トランスジェンダーだとカミングアウトを始める。

しばらくしてから、「やっぱりちがうかも。」と投稿。

「そんなフワフワした状態でトランスジェンダーとか言うな。」
「トランスジェンダーのイメージが軽くなるでしょ。」
「私はそんな軽い気持ちではない。色んな困難を乗り越えて治療もしてきたのよ。」
と叩かれる。




▼「あなたは元が良かったからでしょ」

(※相手がMTFの場合)

「もともとが女性らしい外見だから得してるんでしょ。」

「自分は苦労して手に入れた。」
もしくは
「自分はあなたよりも見た目が劣るから、あなたよりも苦労している。」というような事を、その人の元の姿を知らなくても言ってしまう。

たとえ本当に元々女性らしい外見だったとしても、言われた側が良い気分にならないのは確かではないでしょうか。


▼「FTM/MTFの手術は簡単でいいよね」


どちらも身体に大きなメスを入れる、大手術です。
比べるべきものではないですし、これも言われた側が良い気分にならないのは確かでしょう。

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皆最初は自分が抱く違和感が一体何なのか分からず、誰にも言えず、自分の指定された性と性自認が違うことに悩む辛い想いは経験してきているはず。

たとえ悪気がないとしても、他者が言った言葉の痛みの強さや、人と比べられる辛さも知っているはず。

完璧に見た目を変えるのにはかなりのお金も労力がかかるのも知っているはず。

なのに、昔の自分と同じように悩んでいる人に対してそんなことを言ってしまう。
これも、各々が持つ「トランスジェンダーとは」という定義があるからこそ、それに当てはまる/当てはまらないでこのような「お前は名乗るな」問題が起きてしまうからではないでしょうか?

他にも、心理的な要素がとても多くありそうです。

何しろ、当事者間だからこそ簡単に解決出来るものではない、本当に根深い問題だということは明白です。



知られざる根深い問題 ③情報・制度・技術が全っ然足りない!


<手術の情報&制度が全く足りない>

実は、小川弦之介君も性別適合手術を受けに、もうすぐタイに行きます!!

ですが、何しろ情報が少なすぎて、

一体どこで?
どうやって?
いくらで?
期間は?
などの正しい情報を集めるがとても大変だったようです。

私もこの記事を書くにあたってリサーチしたのですが、本当に少なすぎてびっくりしました!!

そもそも、日本で性別適合手術が安全に出来ると学会に認定され、保険の適用が出来る病院はたったの4病院。(2019年段階)
まずその病院の近くに住んでいない限りは物理的に厳しいです。話を聞きにいくだけでも、仕事を休んだり交通費がかさんだりと、ハードルが上がります。

また、実際にはほぼ使う事が出来ない保険制度の為、実費となり高額です。

全く使えない保険制度:混合診療
混合診療とは、1つの病気やケガの治療において、健康保険が使える「保険診療」と健康保険が使えない「自由診療」を両方受けることです。日本ではこれが認められておらず、一つでも自由診療をすると、保険診療も含めて全て自費になってしまう制度があるのです。

しかしそもそも性別適合手術をする要件に、ホルモン治療の経歴が必要ですので、実質誰も保険を使えません。
例外は数件あるのですが、どれも高齢でホルモン注射の必要が無かった方のみだったそうです。


身体への負担もとても大きいです。

最悪の場合命にも関わる。
皮膚細胞の壊死、異常出血、感染症、せっかく作った膣が閉じてしまう、尿道が狭くなってしまう、延長した尿道の閉塞などのリスクがあります。


これらの理由から、完璧に見た目を自認する性にすることは、とても難しいのです。

方法を見つけるだけではなく、金銭的にも、身体的にも。


ということで、弦之介君が今後性別適合手術をする人の参考になればと、情報を記事にてまとめ中です!
情報の調べ方や、タイでの手術に必要なビザや取得方法など、最新の情報が盛りだくさんですので、完成いたしましたら私からもシェアさせて頂きます!


<更衣室・トイレ・制服などの対応不足>

こちらは先述の公共風呂とは違い、性別を指定しない「どなたでもどうぞ」個室トイレ・更衣室・制服が多くなれば、(*)大きく解決するとは思います。

しかし多大な予算がかかる為、そうしたくてもすぐには出来ない企業も多いでしょう。

残念ながら、まだまだ追いついていないのが実態です。

ー「(*)大きく」と書いたのは、完全には解決出来ないから。ー
「個室の使用を求められること自体、そもそも差別。私は女性なんだから女性トイレ(or男性なんだから男性トイレ)を使いたいのです。」
というご意見もございます。

こちらに関しましては先述のお風呂と同様に、どうすれば解決するのかとても難しい問題になります。
ですので、「大きく」と書かせて頂きました。



そもそもトランスジェンダーと性同一性障害は違う!?

そうなんです。単なる英訳/和訳でなかったのですね。

トランスジェンダーとは、「自分の認識する性別が身体的な性別と一致しない/違和感を感じる」人々全体を総称する幅広い表現です。
そのような人々のこと。

ですので、
•下記の性同一性障害と診断される人も、
•「戸籍の性別がしっくりこない。」と感じる人も、
•「全く違う。」と強く感じる人も、
•実は「どちらでもない/どちらでもある/中間。」と感じる人(*)も、
かなり広く含まれます。

(*)「どちらでもない/どちらでもある/中間。」と感じる人は一般的にはトランスジェンダーと区別され、”Xジェンダー”と日本では呼ばれます。しかし大きな大きな傘の意味で考えると、Xジェンダーもトランスジェンダーの中に入るとされています。


性同一性障害とは、「自分の認識する性別が身体的な性別と一致しない/違和感を感じる」状態と専門の医師から診断を受ける診断名、医学用語です。
そのような状態のこと。

まとめ

性別適合手術をするには、上記の”性同一性障害”という診断書が必要です。

しかし、自分の認識する性別が身体的な性別と一致しない人全員が性別適合手術をするわけではありません。(望まない人もいれば、したくても色々事情があってしない選択を取る人もいます。)

したがって、「性同一性障害」という診断を誰もが受ける訳ではありません。なので「トランスジェンダー=性同一性障害」ではないのです。

「トランスジェンダーという大きな傘の中に、性同一性障害という診断を受けた人がいる。」

ということですね。



終わりに


いかがでしたでしょうか。

当事者間での問題に関しては、私も弦之介君から聞くまで知らないことばかりでした。

私もLGBTQIA+のL当事者ではありますが、Tに関しては非当事者です。

私達にとっては当たり前の事をするのにも、トランスジェンダーの方々は考えなければならない/向き合わなければならないことがたくさんあります。

皆が本来の自分として生活出来るように、社会としてできることは何なのか、皆さんと一緒に日々考えていきたいと思います。

なので常に「自分とは違う人がいる」「全く新しいタイプの人がまだまだいる。」「というか皆それぞれ違う。」ということを忘れず、

自分をアップデートする事も忘れず、

一人でも多くの人がより生きやすい社会にする為に精進して参りたいと思います!

今後とも、よろしくお願い致します!

Aika.


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