1人目デザイナーがフルリモート環境でデザイン組織を立ち上げる際に気をつけたこと
こんにちは、AI inside デザインチームの保坂です。
(この場でのご報告で恐縮ですが、2021年4月1日より Chief Experience Officer に就任いたしました。より良いエクスペリエンスを恒常的に提供すべく、邁進して参ります。)
前回のはじめましての記事で簡単にご紹介しましたが、AI inside のデザイン組織は2020年5月に発足し、約1年後の2021年6月現在では 9名(業務委託1名、派遣社員1名含む)のチームにまで拡大しました。
私がAI inside に正式にジョインしたのは、2019年の秋頃。1人目デザイナーとして入社し、約半年ほど1人でデザイン業務を回していました。たださすがに1人だけでは手が回らなかったためメンバーを募集し、2020年5月から(待望の!)新メンバーが3名同時に入社することになりました。
しかし2020年5月といえば、新型コロナウィルスによる1回目の緊急事態宣言の真っ只中。AI inside もリモートワークに移行しており、チームの立ち上げもリモートで行うことになりました。
そこでこの記事は、コロナ禍のフルリモート状況でデザイン組織をゼロから立ち上げるにあたり、チームビルディングとして工夫してきた取り組みと気をつけた点についてご紹介します。
チームビルディングとして目指すゴール
ゴールとして目指していたのは、仕事のことも一部プライベートなことも含めて、メンバーのことを相互に理解する、ということです。
相互理解があるということは、お互いの考え方の違いや強み・弱みを把握できている状態のため、助け合い、協力、タスクの分担などチームとしての機動力が上がります。
相互理解形成に向けてイメージしていたのは、下記のような図です。
(前職時代の代表執筆の以下の記事から引用させていただきました。)
この図の示すところは、(型にはめた自分ではなく)ありのままの自分を会社に連れて行くことが多様性につながる、ということです。
多様性、多様な考えや意見をお互いに理解し認め合うことが相互理解であり、いわゆる心理的安全性を醸成する基になると考えています。
そんなイメージを持ちながら、以下のような取り組みを実施しました。
1. オンボーディングを丁寧に
(画像は当時のオンボーディング資料)
新メンバー入社にあたりまず意識したのは、完全リモート下だからこそ「オンボーディング」を丁寧に行うことでした。具体的には、チームメンバーの顔が見えず何気ない雑談等がしづらいリモート環境下で、できるだけ早く会社や業務に慣れてもらえるようなコミュニケーションを心掛けました。
実は、私には採用の失敗体験があります。
以前勤めていた別のベンチャーで新たなデザイナーを1名迎えたのですが、その方が1週間足らずで辞めてしまったのです。要因はいくつかあったと思うのですが、「オンボーディング」が足りていなかったことが少なからず影響したのではと今になって感じています。
というのも、当時の私は大企業からベンチャーに飛び込んだばかりで右も左もわからず、中途入社の方には自力でキャッチアップしてもらうことしか頭の中になく、オンボーディングが二の次になっていたのです。
そんな経験もあり、今回はリモート環境かつ3名同日入社ということで、しっかりと準備してオンボーディングしようと心に決めました。
具体的にやったオンボーディング施策は以下の4つです。
①これまでやってきた業務の情報や利用ツール、関係部署、見るべき資料、入社したらやるべきことを社内Wikiに詳述(属人知識の共有)
②入社初日にプロダクトや組織についての最新情報、今後の動き方についてしっかりとオリエンテーションを実施
③オリエンテーション時にチームのコミュニケーションの取り方を話し合い、メンバーの案を取り入れ実施(毎日朝会を実施することに)
④日次のショート1on1で疑問点や不明点の解消
①のWikiや②のオリエンテーション資料はデザインチーム以外の部門にも共有されたりし、チーム内外のオンボーディングに貢献できました。
また、③④によって単純接触の回数が増え、リモート下でもコミュニケーションが取りやすい雰囲気が醸成されたと感じています。
2. 自然発生的に生まれた「言語交換セッション」
上記オンボーディング施策③の通り、3名の入社日以降、毎日チームで朝会を実施することになりました。各自の業務や共有事項を報告し、時には質疑によってお互いの業務の理解を深めました。
そんなデザインチームが発足して3週間ほど経った頃、関西出身のメンバーとロンドン出身のメンバーとお互いに「英語教えて」「関西弁教えて」というSlackのやりとりが交わされました。そして「言語交換セッション」するのはどうかという流れになり、毎朝会で実施することしました。
例えば、社内資料で「プロアクティブ」という言葉を見かけたことがきっかけで、「プロアクティブ/Proactive」について日本語と英語でのニュアンスの違いを話し合ったり。
また、弊社プロダクトのオプションサービス名に使われている「Elastic」という言葉の意味合いや、「いっちょかみ」とう言葉の意味(関東人にもわからなかったw)など、業務や日常会話で出てきた気になる言葉について互いに説明を交わしました。
今は言語に関する疑問は一巡したためほぼ実施しなくなりましたが、このような自然なコミュニケーションの中で新たな企画が生まれたのは、「相互理解を深める」という目標を掲げていた僕にはとても嬉しく思いました。
3. 相互理解を深めるイベント「Design Team Fridays」
Design Team Fridays とは、毎週金曜日の終業近い時間である17:30(現在は17:00)から、テーマを決めて各自何か発表する、というイベントです。
生まれた地域や経歴などが全く異なるメンバーが集まっているため、より深い相互理解につなげるべく、カジュアルに各自のこれまでの経験や特技、知識、最近考えていることなどを発表するという場として企画しました。
(前職時代に実施していたカルチャーアクティビティから着想を得ました。)
これまで、テーマとしては下記のようなものを扱いました。(なるべくデザインやUXに関係するような話題にはしています)
・思い入れのある過去プロジェクト
・好きなデザインを語る
・最近体験した Good Experience
・東京から気軽に行けるオススメ旅行先
・好きな「(物理的な)モノ」とその理由
・ポートフォリオ紹介
発表する側は準備がやや大変ですが、聞く側は発表メンバーの新たな一面が知れてメンバーへの理解が進むと同時に、毎回の発表内容自体もとても面白いです。デザインチーム発足から1年経った今でも継続しており、クリエイティブな刺激になっていると感じています。
まとめ
以上、1人目デザイナーとして入社した筆者がフルリモート環境でデザイン組織を立ち上げる際に気をつけたこととして、チーム立ち上げ時に実施した取り組みを3つご紹介しました。
チームの相互理解を深めることがチームの機動力を強化し、ひいては会社を動かすことにつながると信じています。
これからリモート下でチームを立ち上げる人にとって、少しでも参考になる情報になれば嬉しいです!