子の為に靴下のやれつくろはむ暇ある日の嬉しきこゝろ 柳原白蓮『流轉』
この人は、時おり ぞっとするほど寂しい顔をしている。
ほっておけなくなる。そんな顔。
生まれてすぐに母から離され1才で里子に出される。
3才の時に母は病死。9才で北小路(きたこうじ)家の養女に。
父もこの年に亡くなっている。15才で結婚するも20才で離婚。
そして福岡の伊藤伝右衛門(いとうでんえもん)と見合い結婚をしたのは26才。
宮崎龍介と出会い文通が始まる。
白蓮、35才。
「魂をしつかり抱いてゝ」と言いながら
「覚悟していらつしやいまし」「いやならいやと 早く仰しやい」
詰め寄られて首に刃物をあてられているような。
去らないかをためす子どものような。
激しい手紙だと思う。
恋に生きた女性だと言われている。
確かに出てきているのは恋なのかもしれないが、
個人的には それまでの寂しさや飢餓感が体内から表出する過程のようにも
感じられる。
つづく
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