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【フリーランス覚書】報酬不払~少額訴訟まで・その8

こんにちは!子育てクリエイターの中川治之です。

このシリーズも第8章まできました。
皆さん喜んでください。もうすぐ終わりです。

目次
  第1章 「発端」 出会い~業務開始
  第2章 「疑惑」 会社設立の誘い~支払遅延
  第3章 「未払」 再三の催促
  第4章 「不払 やがて音信不通
  第5章 「行動①」 法的措置開始~内容証明
  第6章 「行動②」 少額訴訟申し立て
  第7章 「行動③」 付郵便送達(?)
★ 第8章 「決着 審理当日
  第9章 「顛末」 強制執行とは
  最終章 「後書」 エピローグ・おまけ

前章では、被告のT氏が訴状の受け取りを拒否するというトラブルが起きましたが、付郵便送達という手段を用いて、何とか訴状を送ることができました。

長くなってしまいましたが、やっと審理当日です。


第8章 「決着」 審理当日

被告に訴状が送られた後は、流れ的には被告が反論を記した答弁書が裁判所に送られてくることになっています。

また、場合によっては被告が通常の訴訟への移行を要請したり、裁判をおこなう場所を被告側の管轄地に移行する要請をすることもあります。

少額訴訟は小規模なトラブルを迅速に処理する目的があるため、審理が複雑になることを避け、被告による反訴を認めていません。
そのため、被告は対抗手段として少額訴訟を通常の訴訟に変更する権利があります。

通常の訴訟になると時間も費用もさらにかかりますが、これは被告の権利なのでこちら(原告)は拒否できないようです。


ただ結局のところ、T氏から答弁書は送られず、通常の訴訟への移行要請もありませんでした。
反論がないか、どこまでも無視を決め込むつもりかのどちらかということでしょう。
…どうせ後者に決まっていますが。

いずれにしてもこちらは待つしかありませんので、粛々と準備をして審理当日を迎えました。


◆◆◆


審理当日、定刻の15分前くらいに簡易裁判所に着きました。

もしかするとT氏と鉢合わせするかな?と思いましたが、案の定おらず、待合室のようなところで時間まで待ちました。

場合によってはここでトラブルの相手と顔を合わせることもあるんだろうか、そんなことになったらこの場でつかみ合いとかにならないのかな、などと思いました。

緊張しながら待つこと15分、担当の人に呼ばれて審理する部屋に入ります。


◆開廷

映画やドラマで見るような法廷に入廷し、大学の卒業生みたいな服装の裁判官の前で宣誓したりすることを想像していましたが、実際はふつうの会議室くらいの部屋に大きな丸いテーブルが置かれているだけでした。

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これを、ラウンド法廷と呼ぶそうです。
※約1年前の記憶を頼りに描いたので、いろいろと曖昧です。

まったくの初体験なので作法もわからず座っていましたが、書記の人から、「被告が来ていないので5分待つ」と告げられました。

そして5分が経ってもT氏は来なかったため、裁判官が入廷し、被告不在のまま開廷されました。

T氏が来ないことはある程度予想していましたが、ここまで不誠実な相手を信じて数か月仕事をし、他の誠実なクライアントとの出会いのチャンスを潰していたのかと情けない気持ちになりました。


◆あっけな!

開廷すると、裁判官から少額訴訟の流れについては説明を割愛することが告げられ、2つの点について念押しで確認されました。

①僕が作成した成果物は誰に対して納品したのか

→T氏から依頼された案件はどれも孫請けで、T氏の先に最終的なクライアントが存在するものでした。

そのため、僕が納品した相手がT氏なのか、それとも最終クライアントなのかを確認しないと、誰と誰のトラブルなのかが変わってくるということのようでした。

これに対し、あくまで僕はT氏に対して納品をしたのであり、このトラブルは僕とT氏の間でのトラブルであることを説明しました。


②各案件の納品日

→不払いを被った3つの案件はそれぞれ納品日が異なるため、遅延損害金の算定開始日がいちばん最後の案件の納品日より前であったら問題があるということでした。

これは各案件の納品日を再度説明するとともに、遅延損害の開始日は、納品日がいちばん新しい案件に対する支払い期限の翌日に設定していることを説明しました。


この2点の確認はだいたい5分くらい。
短い質疑でしたが、証拠資料などをちゃんと目を通した上で質問されているという安心感はありました。

確認が終わると、裁判官がおもむろに口を開きました。

「それでは判決です。」


「ふぁっ、早!」と思わず言いそうになりました。

もう判決…?少額訴訟ってこんなに早いの?


判決は、

被告が答弁書の提出もせず、出廷もしなかったため、原告の主張をすべて認めて自白したとみなし、原告の勝訴とする

ということでした。

要するに、こちらの証拠に信憑性があるからでなく、被告が何の反論もしなかったので、原告の主張を事実と認めたと見なしたわけです。
訴訟とはそういうもののようです。

念のため相手の反論に対する反論もシミュレーションしていましたが、あまりのあっけなさに何だか拍子抜けする幕切れでした。


ともあれ被告のT氏は、不払いの報酬に加え、遅延金ならびに訴訟費用を支払うことが確定しました。

非常に疲れましたが、いちおうの決着です。

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<第8章・おわり>

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