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猫と私。

実家には猫がいます。
黒猫です。

ジブリは『魔女の宅急便』が一番好きな私にとって、
黒猫は、いつか喋ってくれたらいいなと思う存在。

猫といえばよく耳にする「猫は自由気ままなツンデレ」
御多分に洩れず、うちの猫もツンデレ。

いや、私にはツンツンです。


母親には
「ねぇ〜お腹の上で眠らせて〜」
と言わんばかりに甘えているのに。

私が実家に帰れば、
玄関を開けた瞬間に二階へと猛スピードで上がり、
私が二階へ上がれば、
駆け降りてくる。

(私はこんなに君のことが好きなのに…)

そんな私に、"恵み"の雨が降ってきました。

強い雨に、鳴り止まない雷。

「猫は雷が嫌いだから、お願いね、愛ちゃん。」
と言われたものの、
「いやー私のこと嫌いだから、来ないと思うよ。」

珍しく韓国ドラマを観ながら過ごしていた雨の中。
ふと気になる、二階の猫の存在。

ドアを開けて階段を見てみると、
暗闇の中に、じっとこちらを見つめる光るもの。

(あれ、やっぱり雷怖いのかな。)

猫に人気のお菓子を取り出して
「お菓子あげるから、こっちにおいで〜」
と声をかけても、
もちろん降りてくるわけがありません。

顔は見せずに「いつでもいいよー。待ってるよー。」
と声をかけつつ。

やっぱり気になるので、静かに上がってみたら。

(お!逃げない。
 これはもしかして抱っこできるかも。)


いとも簡単に、私の両腕に抱えられた猫。

初めて抱えてわかる、君の重さと温もり。

部屋に連れてきたものの、
このあとはどうしたらいいんだろうか?
おそるおそる、私の伸ばした足の間に猫を放してみると、逃げることなく、そのまま静かに屈んでいます。


よっぽど怖かったんだなぁと愛おしくなるけど、
近づきすぎて嫌われたくないので
そっと自分の足をスルスルスル…と抜いてみると

今度は、猫がズリズリ…と、私のそばに近づいてきました。


ずるいよ猫ちゃん。
可愛すぎる。

雷のおかげで、距離が近づいた、猫と私。


でもきっと、次に帰る時には、
もう忘れているんだろうな。
また逃げるところから始まるんだろうな。


私のスマホの待ち受けは、その日から
黒猫になったのでした。



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