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成功する社会運動の鍵:同盟戦略の正しい使い方とタイミング

 これまでの記事で、成功している市民運動や社会運動が採用してきた弱者戦略について論じてきました。その中で、特に同盟戦略が鍵となることを説明しています。

 一部の読者の方は『いつになったらステルス値上げ反対運動同盟を立ち上げてキャンペーンを始めるのか?』と疑問に思っているかもしれません。しかし、このような考え方をする人は、これまでの記事で紹介してきた様々な成功例をもう一度読み直してみてください。

 私がこれまでに解説した市民運動や社会運動の中に、最初に同盟戦略を採用したものは一つもありませんでした。そこで、本稿ではその理由と効果的な同盟戦略のあり方、そして戦略を始動するタイミングについて解説します。

 これは、noteであればフォロワー数やビュー数至上主義者が見落としてしまっている重要なポイントです。

 運動の初期段階で同盟主義や参加者募集をかけない最大の理由は、目標やメッセージがまだ明確でなく、内部の結束が十分でない場合が多いためです。まずは内部での基盤作りを優先し、それから同盟戦略に進むことで、より効果的な連携が可能となります。

 さらに、運動の趣旨を理解できていない運営者や参加者の軽はずみな言動は、反対運動組織の品格や信用、そして周囲の人々から支持が得られるかどうかといった重要な要素に大きな影響を与えます。

 分かり易い例として、環境保護活動のアクティビストが、運動の趣旨を理解せずにアディ・ギル号で捕鯨船に突撃したり、他の活動家がトマトスープを投げつけるような行為を行ったり、デモ活動を暴徒化させたり、座り込みで企業活動を妨害して逮捕されるような事態が発生すると、ほんの数名の愚かな行動により、全ての環境保護運動が野蛮人の集まりだと誤解されてしまうのです。

同盟戦略の重要性

 同盟戦略は、弱者が勢力を拡大し、影響力を持つための効果的な手段です。企業や政府に対抗するために、異なるグループとの連携を通じて影響力を拡大することで、社会運動は大きな力を得ることができます。例えば、公平貿易や遺伝子組み換え食品のラベル表示の運動では、消費者団体や環境保護団体と連携することで成功を収めてきました。

最初に同盟戦略をとらない理由

 多くの運動が最初に同盟戦略を採用しない理由は、運動の基盤が固まっていない段階で他者と連携しても、運動が分散したり目的が曖昧になる可能性があるからです。運動の初期段階では、まずその運動を支える内部の結束や共通の目標を確立することが重要です。運動が自立した基盤を持つことで、後に同盟を結んだ際にも運動の方向性がぶれることなく、効果的に進行します。

成功事例から見る手順

 成功した市民運動の多くは、まず内部での支持者を集め、具体的な目標やメッセージを共有する段階を経ています。その後、同じ目標を持つ他団体や個人と同盟を結ぶことで、運動の力を拡大していくのです。例えば、公平貿易運動では、最初に消費者教育や啓蒙活動を行い、徐々に他の団体や企業と連携することで広がりを見せました。

基盤作りの重要性

 運動の初期段階で内部の基盤を固めることは、最終的な成功に不可欠です。基盤作りには、運動の明確なビジョンを共有し、参加者の一致団結を図ることが含まれます。これができていない段階で外部と連携を図っても、運動が目標から逸れたり勢いが失われる危険性があります。

後期の同盟戦略の効果

 内部の基盤が固まった段階で同盟戦略に移行することにより、運動は大きな効果を発揮します。同盟は、運動のメッセージを広げ、より広範な支持を得るための強力な手段となります。また、他者と協力することで、運動の資源や影響力が大幅に拡大し、企業や政府に対する圧力も増大します。

 このように、成功している社会運動では、まず基盤作りが優先され、その後に同盟戦略を採用するという手順を踏んでいます。このプロセスにより、弱者であっても大きな成果を上げることができるのです。

武智倫太郎

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