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シュレーディンガーの絵しりとり

 この記事の表紙絵を観測する者は、様々な視点からその絵を解釈することができる。これは、シュレーディンガーの猫の思考実験のように、観測者によって異なる現実が同時に存在するかのような状態を示唆している。それでは、この表紙絵に対する多様な解釈の可能性を列記し、その背景や意味を掘り下げてみよう。

死体
最も直観的な解釈は、単純に『死体』として捉えることである。この場合、絵は物理的に命を失った存在を表しており、その状態や描写に注目が集まる。しかし、タイトルに『シュレーディンガーの絵しりとり』と書いてあることから、箱の中には死んだ状態と生きている状態が同時に存在しているという、量子力学的な不確定性の概念が反映されている。観測するまで、その実態は確定されないのだ。

死人
『死体』から一歩進んで、『死人』という解釈も可能である。これは死体がかつて生きていた人間であるという視点を含み、亡くなった人物の背景やストーリーが浮かび上がる。

死亡
死の過程やその結果として『死亡』を強調する解釈もある。絵が描く瞬間が死亡の瞬間を示しているのか、死後の状態を示しているのかにより、観察者の感受性は大きく変わる。

死者
『死人』と類似しているが、『死者』という言葉はその人物の社会的、文化的背景を含むことが多い。絵が宗教的な儀式や葬儀の一部である場合、この解釈が特に重要になる。

ゾンビ
一見ただの死体かと思いきや、いつの間にか目を覚まし、画面から飛び出してくる可能性がある。彼がどこから来たのか、何を求めているのかは誰にも分からない。さらには、ゾンビ役の俳優を描いた絵の可能性も考慮する必要がある。

臨終
死の瞬間に焦点を当てる『臨終』という解釈も存在する。臨終の瞬間の描写は、感情的な緊張感やドラマティックな要素を強調する。

他界
『他界』は死後の世界や来世を暗示する解釈である。絵が死後の平和や安らぎを表している場合、この視点が重視される。

殺人
絵が故意の死を示唆する場合、『殺人』という解釈が浮かび上がる。この場合、犯人や動機、方法などが観察者の興味を引く要素となる。

下手な絵
一見死体のように見えるが、実は単に下手な絵という解釈もある。この場合、絵の技術的な側面が観察者の関心を引く。

天才の描いた絵
対照的に、絵が意図的に死を表現したものであり、その描写が天才的であるという解釈も可能である。絵が持つ芸術的な価値が評価される。

教育的な図解
解剖学や医療教育のための図解としての死体の絵も考えられる。この場合、絵は学術的な価値を持つ。

歴史的記録
歴史上の事件や出来事を記録した絵として解釈される場合もある。この場合、絵はその時代の文化や出来事を反映する。

概念芸術
絵が特定の死の概念を表現する芸術作品である場合、この解釈が可能である。死の哲学的、倫理的な側面が強調される。

ミステリーの一部
死体がミステリーや探偵小説の一部として描かれている場合、この解釈が重要となる。絵が謎解きや推理の手掛かりとして機能する。

量子論的思考実験としての絵しりとり

 このように、一枚の死体の絵には多様な解釈が存在し、それぞれが異なる背景や意味を持つ。しかし、この絵しりとりのルールでは、自分が現在見ている一枚の絵は変わらないのに、前後の絵を観測するまではその絵の意味が確定しないという点が重要である。例えば、死体(したい)のように見える絵の前に案山子の絵があれば、案山子(かかし)の最後の『し』から、その絵が『し』で始まる可能性がある確率が高くなる。

 後ろの絵に椅子の絵があると、椅子(いす)の先頭の『い』である確率が高くなる。そのため、『し』で始まり『い』で終わる絵しりとりであるという条件から、『死体(したい)』である可能性が極めて高くなる。

案山子(し)⇒(し)死体(い)⇒(い)椅子(す)の絵しりとりの例

 シュレーディンガーの猫の思考実験のように、この絵は観測者の視点や文脈によって異なる現実を持つことになる。観察者がその絵を見ている限り、絵はこれらすべての解釈の可能性を同時に持ち続ける。絵画や芸術作品において、観察者の解釈の幅広さはその作品の深みや魅力を増す要素であり、この量子論的なアプローチは、観察者と作品との対話を一層豊かにするものである。

 この原理を応用して、十枚の絵しりとりの絵の組合せが無限の意味を持ち得る現象を絵しりとり量子暗号と呼び、その解読には、シリコン半導体ベースのスーパーコンピューターでは、解読に1億年掛かることもある。そこで、現在開発が急がれているのが、絵しりとり量子コンピュータである。

シュレーディンガーの思考実験シリーズ

シュレーディンガーの博多

武智倫太郎

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