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物語創造の新手法:AI倫理のパラドックスとジレンマの活用

 AIの倫理的な開発や運用に関する議論は、医療倫理など他の応用倫理分野と同様、しばしば倫理ガイドラインや規範的な内容に焦点を当てがちです。しかし、倫理の世界はこれらの指針に限定されるものではありません。

『AI倫理専門家』を『AI反対派』と誤解する人も多いですが、これは誤りです。例えば交通法規は、自動車の使用を批判するのではなく、安全な自動車社会の発展を目指しています。AI倫理も同様であり、これらの点については、これまで多くの記事でその意義を説明してきました。

 本稿では『AI倫理そのものの考え方』ではなく、『創作活動におけるAI倫理の発想の活用法』を、新しい発想法として紹介します。

#生成AI #著作権 問題などは『AI無知倫理学入門マガジン』の以下のような記事で頻繁に取り上げているので、興味のある方はぜひお読みください。

 本稿では生成AIを創作活動に使う技術論やAI倫理上の問題点ではなく、 #AI倫理 の本質を正確に理解し、創作活動に活用することで物語に深みを加える方法について述べます。

パラドックスとジレンマ:創作における深みの源泉

 Noteの利用目的は多岐にわたりますが、Noteで創作活動を行っている方も非常に多く、本稿の読者の多くが #創作活動 を行っています。そのため、創作活動に有益な #パラドックス #ジレンマ の特集記事を何度か書いてみました。ところが、AI倫理という切り口に拒絶反応を示す方が多く、意外と人気の無いシリーズになってしまいました。

 小説やシナリオにおいて、パラドックスやジレンマは物語の重要な要素となり得ます。これらの倫理的問題は、物語のクライマックスでキャラクターが直面する際に重要な役割を果たすことがあります。しかし、それ以外の場面でも、パラドックスやジレンマは重要な影響を与えることが多いのです。創作者の視点から、パラドックスやジレンマについて深く考察すると、創作における重要なポイントが見つかるかもしれません。

作品のテーマにおけるパラドックスとジレンマの重要性

 パラドックスやジレンマをテーマにした名作は、『AI倫理学入門マガジン』の別の記事で紹介しています。これらがメインテーマではない場合でも、創作において以下のような場面で効果的に活用できます。

キャラクターの葛藤:パラドックスやジレンマはキャラクターの内面的葛藤を生み出し、その決断や行動を複雑かつ魅力的にします。

予測不可能なストーリー展開:倫理的ジレンマは予測不可能な展開を生み出し、読者や視聴者の想像力を刺激します。

テーマの探求:倫理的ジレンマは物語のテーマを深く掘り下げる機会を提供します。

創作におけるAI倫理概念の活用

 AI倫理の概念を創作に取り入れる際には、以下の点を考慮すると良いでしょう。

現実とのバランス:科学的および技術的なAIの要素と創造的な想像力を組み合わせることで、読者や視聴者に信憑性を与えることができます。このバランスが適切に保たれた場合、AIを基にしたテーマは、ハードSFやサイバーパンクSF、ディストピア小説だけでなく、ファンタジー、ヒューマンドラマ、恋愛小説、ギャグマンガ、童話など、さまざまなジャンルに適用可能です。ただし、ハードSF小説を書く場合は、実際のAIに関する深い理解が必要であり、それがなければ失敗するリスクが高まります。AI倫理ガイドラインやAI規制は、AIの潜在的リスクを多方面から検証して作成されており、AIについて学ぶ際の優れた資源です。特に、欧州AI規制法に記載されている内容を理解することは、この分野での創作において不可欠となります。

倫理的問題の多様性:単一の倫理的問題に焦点を当てるのではなく、様々な視点や問題を取り入れることで、物語に豊かさをもたらします。欧州AI規制法やAIガイドラインには、多様性の重要性についても深く議論されているので、参考にすると良いでしょう。

キャラクターの深化:キャラクターが直面する倫理的ジレンマは、その内面を深く掘り下げ、物語に深みを加える機会を提供します。

 AI倫理の概念を創作に取り入れることで、物語に新たな次元を加えることができます。パラドックスやジレンマを扱うことで、物語はより深みを持ち、キャラクターはより複雑で魅力的な存在になります。これは、創作プロセスを豊かにし、読者や視聴者に深い印象を与える方法です。

 AI倫理や創作活動の話しに関係なくても、ハッシュタグに『 #頑張る隊 』といれると何かいいことがあるかも知れないので、皆さんも試してみてください。

つづく…

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