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ミッションとビジョンに必要な、もう一つの「WHY」とは?

以前、NewsPicksでメイクマネーという番組を見ました。

内容は24歳以下の若き起業家たちが自分たちのビジネスをプレゼンし、勝ち残った者が賞金を手にするというもの。

その中で、ある起業家が自社サービスの内容をリリース前ということで詳細を伝えなかったことに審査員のホリエモンが噛み付きました。(動画の4分40秒付近です)

「リリース前なので、大企業に真似をされたら自分たちのビジョンが実現できない」という若手起業家に対し、

「大企業が真似をしてくれたら、大企業がビジョンを実現してくれるのでは?別にあなたがやる必要がないじゃん。結局、あなたが一番になりたいだけでしょ?」と鋭く切り込むホリエモン。

自分たちのビジョンを実現させたいだけなら、自分たちでやる必要がないという視点です。

う〜ん、まあ確かにそうですよね。

今日は最近あった実体験も交えて、ミッションとビジョンに必要な、もう一つの「WHY」についてお伝えします。


1. あるプレゼンテーションで感じた違和感


先週、ある経営者さんのビジネス・プレゼンテーションを聴いていて、先程の話と似たような違和感を感じました。

その方のプレゼンテーションでは、自社のミッションとビジョンを語られた後、いくつかの商品の説明をされていたのですが、そのすべての商品において特許が取られていたのです。

もちろん私はブランドの専門家なので、特許や商標などの知的財産を守るという視点は持ち合わせていますし、実際に弊所がブランディングのサポートをする際には知財の保護は真っ先に考えます。

事実、私自身も弊所の屋号である「AID DESIGN(エイドデザイン)」は2018年に商標登録していますし、現在は拙著【愛され続ける会社から学ぶ 応援ブランディング】の上梓に合わせて「応援ブランディング」の商標を申請しました。

※特許・実用新案、意匠、商標は、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)で簡易検索することができるので、未取得の方はぜひ確認してみてください。


しかし、その会社のミッションやビジョンを先に聞いていたので、先のホリエモンのような違和感を感じたのです。

ミッションやビジョンの内容はお伝えできませんが、「そういう未来を実現したいのであれば、あえて特許は取らず、他社に真似をしてもらった方が早く世の中に広まり、その会社が思い描く世の中がもっと早く実現するのでは」と思いました。

2. 今でも憶えている、心を打たれたビジョン


話は変わり、5年前に認定NPO法人・大阪精神医療人権センターさんからのご依頼で事業計画を考える研修のファシリテーターをしました。

大阪精神医療人権センターさんは、精神障害者の権利を擁護する活動を行い、安心してかかれる精神医療の実現を目指している団体です。

研修は、「政策」「個別相談」「病院訪問」「広報」という4つチームに分かれて、ワーク形式でおこなったのですが、その中で一人の受講者さんによるアウトプットが今でも忘れられず、心に残っています。

研修風景(マーケティングの講義も含めての研修でした)


それは「自分のビジョン(夢)は、大阪精神医療人権センターが無くなること」という内容でした。

その理由は、精神障害者の権利を擁護され、安心してかかれる精神医療が実現すれば、自分たちの団体はいらなくなる、というもの。
そんな未来を実現するため、懸命に活動されているのです。

正直、心が打たれました。

3. ミッションとビジョンに必要な、もう一つの「WHY」とは?


ミッションは、「なぜそのビジネスをしているのか?」という「WHY」を言葉にしたもの。

一方でビジョンは、そのミッションを実現するために、何を目指すのかという「WHAT」を言葉にしたものです。

加えてミッションとビジョンに必要なのは、もう一つの「WHY」。

「なぜ、それを実現するのが自分(自社)でなくてはいけないのか?」という視点です。


それが先程の大阪精神医療人権センターの受講者さんのように、自分たちだけでなく、社会全体で取り組んで達成するものであれば、もう一つの「WHY」は必要ありません。

冒頭のホリエモンの話のように、大企業に参入してもらえればいいだけの話。
自分一人(一社)でやるより遙かに効率的であり、ミッションやビションが達成する確率もグンと高まるでしょう。

ただし、そのミッションやビジョンは、あなたではなく、他人(他社)が先に達成する可能性があります。

4. まとめ


「なぜ、それ(ミッションやビジョン)を実現するのが、自分(自社)でなくてはいけないのか?」

その視点が抜け落ちていると、特許や商標などで権利を守っていることに違和感を感じられる人が少なからず出てきます。

厳しい言い方になりますが、掲げているミッションやビジョンに対し、偽善的に捉えられることもあるでしょう。

せっかく、素晴らしいミッションやビジョンを策定したとしても、それではブランドの一貫性を保つことはできません。

なぜなら、ミッション・ビジョン・バリューからコミュニケーション戦略まで一貫性を持って設計しなくては、ブランドは構築できないからです。
もちろん、その中には知財の保護も含まれます。


「知財を守る」というブランディング上、至極当たり前の行為が一貫性を阻む要因になってしまっては本末転倒であり、非常にもったいない話です。

ミッションやビジョンを策定するときは、ぜひ、もう一つの「WHY」

「なぜ、それ(ミッションやビジョン)を実現するのが、自分(自社)でなくてはいけないのか?」

を自身に問われてみてはいかがでしょうか?

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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