【応援ブランディングvol.16】ブランディングでつまずく3つのパターン①
①自社ブランドの強みを絞り込めていない
まず、ひとつ目は、「ブランドの強みを絞り込めていないパターン」です。
〝強み〟と言うより〝軸〟と言ったほうが適切かもしれません。
これはブランディングではなく広告、とくにチラシを見ているとよくわかります。
「あれもできます」
「これもできます」
「さらにこんなこともできるんです!」
これだと伝えたいことが多過ぎて、結局どんな会社でどんな内容だったのかまったく記憶に残りません。
あなたにもそんな経験はないでしょうか?
これは自己紹介でも同じです。たとえば、私で言うとこんな感じになります。
「もともとは総合印刷会社でグラフィックデザイナーをしていたので、紙媒体であれば何でもデザインすることができます。
また、デザイナーの後はマーケティング事業部を任されていたので、中小企業のマーケティング戦略の立案も得意です。
さらに、ブランディングであれば、会社や商品、サービスなど事業の大小を問わずサポートした経験があります。
加えて、プロジェクト単位でウェブデザイナーや動画クリエイター、カメラマン、ライターなどのクリエイティブチームをアサインできるだけでなく、リーガル(法律)面でも国際弁理士や弁護士などのビジネスパートナーとともに、商標権や意匠権などの保護を行なっている事務所です」
いかがでしょう。
何でも屋さんみたいな印象を受けませんでしたか?
そこを、「私は応援されるブランドづくりの専門家です」と絞り込んだほうが、伝わりやすくなります。
多くの企業では伝えたいことを絞り込めていないため、下記の記事にもあったようにバラバラの記憶のコップに水を注いでしまっているのです。
経営資源が潤沢にある大企業なら、それぞれのコップに水を満たすことができるかもしれませんが、小さな会社でそんなことをしていてはすべてが中途半端に終わるだけ。
しかも、すべてのコップを満たしたとしても、確実に選ばれるとは限りません。
たとえば、あなたの大切な人が頭痛で苦しんでいたとします。
薬局に薬を買いに行った時、次の2つの選択肢があればどちらを選ぶでしょうか?
・下痢にも効いて、頭痛にも効いて、風邪にも効く薬
・頭痛専用の薬
おそらく後者の薬を選ぶはずです。
何にでも効く万能薬が売れるのは、ゲームの世界だけ。
ビジネスの世界での万能薬は、何でも屋さんみたいなものです。
本当に必要になった時、あるいは高くてもよいものを選びたい時、何でも屋さんから買うことはありません。
その業界の専門家を選びます。
「何でもできる」は「何もできない」と言っているのと同じです。
そのためブランディングでは、まず自社ブランドの強み(価値)を上位概念で絞り込み、それをひとつの軸にしてお客様に伝えていきます。
そしてその価値を知ってもらった上で、関連性の高い順に残りの価値を伝えていくのです。
応援されるようになれば細かな部分まで伝えなくても、お客様が勝手に調べてくれるようになります。
ブランディングでつまずかないためのひとつ目の方法は、お客様が自社ブランドを選ぶ時にノイズ(雑音)となるような情報を伝えないこと。
「自分が何屋なのか」「何の専門家なのか」、その1点をクリアに理解できる情報だけを届けるのです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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※マガジン内の記事は、拙著【愛され続ける会社から学ぶ 応援ブランディング】から引用しています。豊富な事例も掲載しているので、ご興味のある方はぜひご覧ください。