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風と共に去りぬ 0.1% 

「 あでぃぐぁとぅお -っ ごじゃいました~ ぁ ( 最敬礼 ) 」

いつも バスの乗降の時は、必ずこのようなごあいさつする女の子

これでもかーというくらい、とーってもゆっくり話す、
いつもほっぺがりんごのような、ぽっちゃりした女の子

これが8歳のころのわたし。

いつもほっぺが紅かったから、りんご病にかかっていたことに気づかれなかった女の子、でもあります。


わたしの通う小学校では、バスが2台あり、行きと帰りのそれぞれは

南北に向かい、また、二人のバスの運転手さんがいらっしゃいました。

わたしは、こちら方面専属の国男おじさんのバス乗って、学校に通っていました。

反対側のバスの運転手さんの個人名は、まったく憶えていないけれど
最近、ある映画を観て、強烈に記憶がよみがえりました。


その映画は、
「 風と共に去りぬ 」。

8歳の頃に初めてみた、こどもの映画ではない映画です。

テレビのお正月特番的な感じで放送していたのを、一人で夜、和室でみていました。


2024年、もう一度みてみようと思い立ち、なつかしさをかみしめながら観ていた時、突如 その瞬間が訪れました。

この映画のヒロインのスカーレットを、階段の下で熱くみつめていたレッド。

のちにスカーレットの運命の男となるレッド、初登場のシーンです。

このレッドのまなざしと、反対方向のバスの運転手さんの瞳のスタイルが、瓜二つなのです。

たれめちゃんだけど、鋭どさも兼ね備えていて、甘く潤んでいて、ちょっとわるそうだけど、ほんとはわるくなさそうで。

レッドを知った8歳の頃のわたしは、ちょっとハラハラした記憶があります。



そして、リラックスしすぎながら鑑賞していた2024年のわたしは、

8歳の頃と、同じ場面で、またもや同じ気持ちになったのです。

あの、おじさんにそっくり・・・

おじさんといっても、きっと 当時 27歳くらいだったと思います。

なんだか大人のフェロモンが、そのおじさんのまわりにはうず巻かれていました。

ソフトなお話の仕方、 にひるな笑い方、 やや小さめの声、 ひと仕事おえたあとは短いたばこを煙がしみるような目をしながら たしなまれる姿・・・

いつも真っ白なコットンジーンズのような、ずぼんを着用されていたのですが、お決まりのように、その下の青いストライプの下着の線がうつっていて、

その線の種類は、なるとの円周くらいの波線であることもわかるくらい
うつっていて、とても衝撃を受けた記憶があります。

たぶん、ぬりえできるくらい線がうつっていました。

いまでもそらで描けます。

当時、風と共に去りぬを観てからは、
反対方向のおじさんにごあいさつするとき、レッドを重ねてしまい、どぎまぎ まぎどぎして

目も合わせられず、だからといって下をむくこともできず、

あぶったいかのように身をくゆらせながら、ふらふらと手をぬいた、
早口のごあいさつをしては、疾風のごとく立ち去るのでありました。

男性のみなさまは、白いずぼんを着用されるとき、やっぱり下着は気にされるのでしょうか。

バレエダンサーのような特別な下着を用意されるのかな。

それとも、面倒だから白のずぼんは選ばないのかな。

わたし、ちょっと考えてみました。

ベージュの下着は必須、ですね・・・ きっと。


それから、それから

ある授業参観の日、いつもとんでもなく大きなお声の、
クラスメイトのお母さまの、

「 あのバスの運転手さん、ご結婚されたそう。 」との廊下での噂話が、教室まで筒抜けで聞こえてきて、

そのおかげで、あの反対方向のバスの運転手さんの結婚を、8歳のわたしは知ったのでした。

あのお母さま、芸人さんになれると思います。

まるで舞台仕込みのような、声量。

ライオンキングのテーマソングの冒頭の叫びの如く、大地に響き渡るような声質。

そのお声は、劇場の一番後ろのお客様まで  マイクなしで轟くでしょう。
いや、劇場の重い扉を通過して、インフォメーションの方や売店の方まできこえるような気がします。

M-1 グランプリの敗者復活戦の屋外ステージでも、十分たたかえるでしょう。


8歳のわたしは、「 フェロモン => なると  => 結婚 」という、
謎の式のようなものを、なんとなく焼き付けてしまったのであります。


そして

八つ子の魂百まで
2024年も、その式が感慨深く甦ったのでした。

映画の感想は、また・・・



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