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1時間かけて丁寧と感じる人を15分で満足させられるのか?

たまたま昨日の夜にSNSに流れてきて気になった「最悪だった美容室」と言う投稿を読んで色々と考えさせられたので今日はそれに対して書いてみたい。

内容としては、いつも街中の大箱美容室に切りに行っていて、毎回丁寧に1時間かけて切ってもらっている。
だけど今回はコロナが恐かったようで、家から近所の個人店に初めて行ったところ10分で切り終わってすごい雑にされた気がした。的な内容だった
いつもはブロッキングをしっかり取って丁寧に少しずつ切り、バックからサイドに移行しながらゆっくり確実に切ってもらっていたのに今回はそれもなく大雑把な美容師だったと。

もちろんこれっていろんな見方があるし、意見があると思うんだけど、この文章を読んだ時に自分ももしかしたら「手抜きされた」と感じさせてしまうかもしれない。と素直にそう思った。

僕はどんな方であろうが、カットは10分から15分で必ず切り終える。ロングの状態からショートカットにするとしても時間は全く変わらない。
そしてそれを早いとも思ってはいない。なぜならそう教え込まれてきたから
身体は勝手に動き出してしまうし、勝手に脳は最短距離を算出してしまう

うちの店には業界を代表するカリスマ美容師がいて僕の師匠だ。テレビ出演から、ドンキホーテとコラボしてコテをプロデュースしたり、業界に技術本やDVDも沢山出していて正真正銘本物のカリスマだ
僕がアシスタントをしていた頃は15分に1人、お客様を師匠は担当していて、必ずその15分の中でカウンセリングからカットまでを100%終わらせていた。もちろん技術は言うまでもなく正確無比
似合わせから細部にいたる技術までアシスタントの僕達が惚れ惚れする仕上がりだ

だからこそ、その仕事を見て育ってきた自分にとって与えられた時間内に全ての無駄を省き、最短で最高を作る事が常に求められる環境だったのだ

よく「俺たちはお客様の時間を預かっている。無駄に待たせるのはただお客様の時間を無駄に使っているこっち都合のいい加減な仕事だ」と口酸っぱく言われていた

だからこそ、アシスタントの頃から毎日のように『無駄を省く』訓練をひたすら繰り返ししてきた
あれから10年たった今でも、働くスタンスは全く変わりない。
時間は預かっているもの。無駄な仕事をするものは一流ではない。
今も強くそれを信じてやっているのだ。

ただ今回の話はちょっと話が変わってくる。
今回のお客様の「丁寧」を感じる軸は仕事のクオリティではなく、「時間」にあった。
もちろんそれはそういう人で、合う合わないはあるよ。的な事で話は済んでしまうが、それはやはりプロとしては雑なまとめ方すぎる気がする

時間をたっぷりかけてやってもらう事が丁寧と感じ満足される方に対し、こちらの持ち時間は15分しかなかったらどうやって満足させられるだろう

ぼくの作戦は、
①説明作戦
これは、新規の方には100%でやる説明をしながら切るという事
「なぜこう切るのか」「なぜ量を減らすのか」全ての技術に意味があるからこそきちんと説明をしてハサミを入れる事により安心してもらい、かつ信頼してもらえるようにする

②圧倒的に仕上がりで見せる
結局仕上がりのクオリティは絶対に絶対に大事。15分でこんな仕上がりになるなんて!と、
相手が驚く位の仕上がりをつくる

③緩急をつける
僕は15分の配分のうち8分が全体部分だとすると、顔まわりと前髪に残りの全ての時間を使う
何でって顔まわりがやはりカットの中で一番の盛り上がり&大切ポイントなのでいきなり、
めちゃくちゃあえてここに時間を投下する
全てが早いのではなく、歌のように、ドラマのように緩急をつけるのは間違いなく丁寧に感じてもらう為に大切

④立ち振る舞いで安心させる
注射が嫌いな僕は、少しでも痛くない注射をしてもらいたいがばっかりにめちゃくちゃ注射してくれる看護婦さんを観察する
立ち振る舞いに余裕はあるか?
話し方に安心感はあるか
仕事がいちいち無駄がないかetc...
めちゃくちゃチェックしまくる。で、その人の前情報を踏まえた上で、注射を迎えるのだ。
つまり心構えの準備の大小をある程度きめてしまう

そのくらいだろうか。。
これくらいの手札ではちょっと不安はある。
あのSNSの方が、もし自分のお客様としてご来店頂いた時。

15分という限られた時間の中で価値を感じ15分でも丁寧だった。満足出来た!と、思ってもらえるのかどうか?

一度実際に切らせてもらいたいなぁ。
自信はあるよ。それはもちろん。だってこう見えてもプロだもん。


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