第41話「内通者と来訪者」

ノヴァン隊長から…信じられないことを、聞かされ。

「はぁ?!内通者って…どういうことですか?」

俺は、突然告げられたレンの情報に、頭が…ついていかない。

「内通者…ホワイトノーブルの手助けをしていた、ということですか?」

アザミが、大先生へ向け冷静に聞き返す。

「おう、そういうこと。

あの日…ヒマリ・プリマナが狙われた日は、彼女のチカラが発現して、たった1週間後、らしいな。

”禁色”のカラーズが発現して、たった1週間で、ホワイトノーブルが…
しかも、寒色隊の隊長、ブレイズの野郎が。

あんな王都から離れた田舎へ、タイミング良く訪れるなんて…不自然だろ?」

俺も、アザミやモモナ、ミチカを含めて、4人とも
大先生の投げかけに答えられず…ただ黙って、静かに話を聞く。

「明らかに、ホワイトノーブルへ…
直接、”禁色”に関する情報を流していた、”内通者”がいる。

ジャアナの街を、頻繁に訪れていたブレイズは…
あの辺の地域の有益な情報を、”内通者”に、定期的に報告させてたってわけだ。」

(そ、そんなことって…。)

俺は、あの…平和な日々を、思い出す。

あの日常に…

…”黒の悪魔”復活のために、平然と…人をも、殺せる
そんな、非道なことができる、ホワイトノーブルの一員が、潜んでいた…?

「そんなこんなで、”内通者”がいたってことは、間違いないね。

ま、そいつが、ホワイトノーブルの悪事を、どこまで知って協力していたかは、不明だな。

”禁色”については知ってるわけだし…深いとこまで、知ってるとは思うけど。」

(レンが…ホワイトノーブルの悪事を知っていて…

ヒマリが連れ去られるって…分かっていて、やつらに情報を…?)

「でもまあ、ホワイトノーブルは…表向きは、平和を守る”正義の味方”、だしな。

内通者…レンも、もしかしたら、
良いように嘘をつかれて、知らず知らずのうちに…悪事に協力していた可能性も、あるっちゃあるけど。」

ほんと、真っ白って、やっかいな組織だよな〜と、

大先生は”やれやれ”とでも言うように、両手を顔の横でパタパタと振った。

そして…

「さらに面倒なのが、

実際の隊員の中にも、ホワイトノーブルの”表の顔”しか、知らないやつがいるってこと。

今回ホワイトノーブルに入隊した…ヒマリみたいに。」

大先生は、座っている椅子を、後ろに傾けて。
ダラダラとした様子で言った。

「なっ!ホワイトノーブルに、入隊!?ヒマリが…?」

俺は、さらに告げられた、信じられない事実に。大声で反応する。

まだ…レンのことだって、受け入れられて、ないのに…!

「2人とも…なんで…!!

叔父さんを殺したヤツらの…仲間になんか!!!」

ーーードンっ。

俺の言葉を聞いて…

何故か、大先生が。

ダラダラと傾けていた椅子から…大げさに立ち上がり。

そのまま、椅子が…地面に、倒れた。

「なんで、かねぇ…。

……

…事情をよぉ〜く知ってるやつの、おでまし…かな。」

大先生が、そうつぶやいた、瞬間。

ーーードォォォン!!!

建物の外で…たぶん、食堂の、すぐ横あたり。

ものすごい音と、地面を伝わってくる、衝撃。

「な、なんだ…!?」

「こ、これは…!?」

「なになに!?」

「なんですの!?」

俺たち、新参者の4人は、思いがけない事態に混乱し。
それぞれが、周囲をキョロキョロと見回して叫んだ。

そんな中…1人冷静な、大先生は

「アザミ達3人は、急いで食堂から出ろ。

たぶん中央の広間に、ハナやサクヤ…どっちかは、いるはずだ。

その他、今本部にいる隊員たちと合流し、上の隊員の指示をあおげ。」

食堂の入り口を指さしながら、混乱する俺たちに向かって、淡々と命令する。

そして…

「んで…お前は、俺と一緒に来い。

来訪者に…

さっきの質問、ぶつけてやれよ。」

大先生は、俺を見て。

ニヤッと笑って、そう言った。

ーーガシャン!!

「うわぁっ!!!」

俺の返事を、待たないまま。

大先生は、軽々と俺を、腰に抱えて。
そのまま、食堂の窓ガラスを割って、外に飛び出した。

「近道近道〜。」

小脇に抱えられ、下から覗く…大先生の横顔は、嬉しそうで。

そして…

外に出て

急に明るくなった景色に、慣れるように、見えてきた…

ハッキリと、俺の視界に写った、人物…

「お、お前は…。」

真っ白の隊服が、眩しい…。そいつは…

「おや。早速会えるなんて…

…ヨウ君。お元気そうで、何よりです。」

俺の…大好きだった、笑顔で。

何一つ変わらない姿かたちのまま…

…ヒュー・ブレイズは、俺にそう、挨拶して。

俺たち2人の方へ、ゆっくりと、歩いてきた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?