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現代アートギャラリーの暗部

2013年10月に茂木健一郎氏がツイッター上で行った団体展批判を受けて多くの美術クラスタ(特に現代アート系のそれ)が団体展を嘲笑するツイートを行いましたが、写実絵画の若手である某氏(東京藝大出身)はただ一人、画壇系無所属の立場から現代アート界批判の一連のツイートを行いました。現在、そのツイートは消去されていますが、当時、私はそれを全て記録しましたのでここで引用致します。

「公募展問題で、気になったこと2、3。てかムカついたこと2、3。( ̄ー ̄)日本における公募展団体のあり方は自分もクソだと思ってる。。そのこと前提ではなしますが、、あとちょっと文脈不明瞭なとこもあるから、この問題に関連づけてというより、、日頃思ってること風にツイート、、」

「まず、公募展のほうが劣っていて、現代アートこそが優れているみたいな二項対立の議論は、現代の再帰省を意識しない超幼稚な議論だとおもう。。なんでこんな変な議論でおれ含めていろいろ盛り上がっちゃってるのか不思議だが、、」

 「そんな優劣判定、視座を変えただけで容易に入れ替わるし、問題はそもそも日本が西洋現代アートのマーケットに組み込んでいけないこと、、ではなくって!そんな欧米主体のアート覇権街道になんかに連ならなくてもやっていけるだけの、表現確保のための独自な評価体系を持ち合わせていないこと。」

 「日本における公募団体のクソさをダシに「現代アートの素晴らしさ(笑)」を称揚することはできないでしょ。日本の公募団体がダメで現代アートはダメじゃないってどうやって保証できるのだろうか??」

 「「いや、現代アートは世界経済に支えられた、歴史の上の表現活動だからだ」って…(笑)それが価値の保証理由だなんて頭悪すぎ。愚の骨頂。そうした価値に沿って現代アートを称揚する人間はしょせん現代アートムラのとじたサーキットの中の人間だけ。」

「で、そういった人間がなんで「現代アート素晴らしい」になってるかと言えば、それは単にメディアがそう言っているから。操縦された結果だよ。それも再帰省の特徴。メディアがなんでそう言っているかと言えば、そこにお金を含めたコレクターや資本、財団関連の利権構造があるから。」

「閉じられたって意味では何も違いやしない。メディアが与える影響力の強い、弱いや利権構造自体の大きさ、小ささで純粋アートの価値をはかること自体矛盾があると思う。」

「で、これが「日本の現代アート」になるともっとタチ悪い。日本の現代アートなんてそもそも世界への開かれた橋頭堡なんて持ち合わせてないし、お金の回りを見ても、いわゆる画壇界隈、公募団体の安定した状況に比べれば非常に不安定だしユーザーも少ない。」

 「その不安定さゆえに所属作家の新陳代謝が早く、売れないとわかったらすぐに切り捨てるようなブラック企業化が浸透してるでも!これも知識人含めたメディアの影響が強いのか、「現代アートという本物の表現を」みたいなくだらないパターナリズムを働かすから、現代アートの方面に舵をきる学生が多い」

 「で行き着く先は世界経済に支えられた潤沢な西洋現代アートマーケット…ではなくて…メディア広告や各種イベントや一部のスターアーティストを持ち上げることによって必死にその土台の不安定さ(お金の不足、ユーザー不足、世界からの孤立)を覆い隠した日本のネオ画壇ことエセ現代アートマーケットだ」 

「これこそが問題なんだよ!政治家含めた国家の中枢と結びついてる公募団体界隈のマーケットにはお金の安定した流れが存在してる。それに対して現代アートマーケットは、最近のデパート進出を見てもわかるとおりお金の流れやコレクターを含めた購買の構造が脆弱だ。」

「しかし、、こういう変な知識人とか無責任な批評家とか一部の成功者が無条件に「現代アートの素晴らしさ」を説くから、多くの学生は現代アートの方向に流れていくんだよ!行き着く先はきっと茨の道だよ。」

「有名現代アートギャラリーの取り扱い作家になったのにもかかわらず、所属アーティスト内の熾烈な競争に追いつけず、クビになり生活の基盤を失い苦しんでる友人や先輩をオレは何人も知ってる見せかけのユートピアだ、日本の現代アートなんて。」

「知識人やバカ批評家はさ、無責任に「現代アートはすごい、歴史の最前線!」みたいなことを言ってる暇があったら、日本におけるお金の流れを現在の公募団体、デパート界隈の現状から現代アートマーケットに移すような風穴をあけてみろよ!いいからさ!」

「おばちゃん達がゴッホやフェルメールの展示じゃなくて現代アートの展示に行列を作るような状況をつくってみろよ!いいからさ!頭良いんだからできるでしょ。。」

「再帰省を無視して、ムリに価値を一元化させて、無責任な幻想作って、くだらないパターナリズム発揮させて、結果不幸になるのはオレの生徒だったりするんだよ!ふざけてる。」

「公募団体がダサくて向上心がない閉じられた団体??そんなこと団体に所属してるアーティストだってわかってるんだよ。わかってるけどしょうがない。表現を続けていくための合理性を追求した結果として、ありうる選択肢でしょ。」

「公的なアート支援や安定した現代アートのマーケットがない日本で表現活動のサステナビリティを考えたら仕方ないのでは?誰も団体展をバカにする権利なんかないと思うよ。」

「挑戦こそが、、みたいな無為な芸術家気取りで、美術手帳なんか斜め読みして現代アート方面に爆進!これこそ「飛んで火に入る夏の虫状態」。表現以前に頭がまともに働いてるかわからない。」

「こういう状況を少しでも緩和するべく、日本の状況を冷静に見た上で選択の合理性を教育によって担保するのが教授や批評家や知識人の本来のあり方じゃないの?どいつもこいつも一部の有名な現代アーティスト(村上さんとかね!)と二人羽織で「現代アートは素晴らしい」。ほんと、、バカかお前ら」

「おれ自体は公募団体には絶対所属しないし、出品もしないけど、、なんか芸大とかそうだけど、あまりに現代アート志向に偏りすぎてる気がするんだよなー、」

2013年10月当時、写実画家・某氏のツイッターより(現在は消去)

茂木健一郎氏が行った団体展批判の一連のツイートは以下のまとめサイトに所収されています。

10年前の出来事なので当時とは美術界を取り巻く環境が変わっていて書かれている内容が若干古びているかもしれませんが、そのまま引用致しました。

この一連のツイートを読んで特に気になったのは以下の部分です。
その不安定さゆえに所属作家の新陳代謝が早く、売れないとわかったらすぐに切り捨てるようなブラック企業化が浸透してる
有名現代アートギャラリーの取り扱い作家になったのにもかかわらず、所属アーティスト内の熾烈な競争に追いつけず、クビになり生活の基盤を失い苦しんでる友人や先輩をオレは何人も知ってる。

日本の現代アート界には大新聞の美術記者や『美術手帖』などが決して言及しない暗部が多々あるのでしょうが、私が特に気になっているのは上記のツイートに書かれた現代アートギャラリーにまつわる事柄です。

そこでこの記事を御覧になっている方へ要望がございます。

現代アートギャラリーの暗部(特に有名どころのそれ)について御存知でしたら情報提供をして頂けないでしょうか。

※記事に関する御意見・情報提供は連携しているツイッターアカウントのDMか、下記のメールアドレスにお願い致します。
dyi58h74@yahoo.co.jp

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