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現代美術家・愛☆まどんな氏がミヅマアートギャラリーを提訴

2023年6月17日に現代美術家の愛☆まどんな氏(本名・加藤愛)が以下のツイートをしました。

長いので、全文を引用致します。

こんなかたちで
わたしの大切な作品を発表しなくてはならないなんて…心が張り裂けそう

—-

ミヅマアートギャラリーに対する民事訴訟提起のお知らせ

愛まどんなプロダクション株式会社
代表取締役 加藤愛
愛☆まどんな(加藤愛)

愛まどんなプロダクション株式会社及び愛☆まどんな(加藤愛)は、ミヅマアートギャラリーを運営する株式会社ミヅマアートギャラリー、
同社代表取締役の倉重成忠氏、同社取締役の三潴末雄氏を被告として、東京地方裁判所に対し訴訟提起しましたので、お知らせします。

1 民事訴訟の概要

  (1)裁判所 :東京地方裁判所
  (2)提訴日 :2023 年 5 月 23 日
  (3)原告 :愛まどんなプロダクション株式会社、加藤愛
  (4)被告 :株式会社ミヅマアートギャラリー、倉重成忠、三潴末雄
  (5)事件番号:令和5 年(ワ)第70289 号
  (6)事件名:損害賠償等請求事件

2 訴状における請求の概要

訴状における請求は多岐に渡りますが、原告の主な請求は次のとおりです。

被告株式会社ミヅマアートギャラリー(被告会社)は、原告愛まどんなプロダクション株式会社(原告会社)が2022 年9 月に予定されていた愛☆まどんなの個展で展示する作品の一部として2021 年2 月から8 月にかけて引き渡した「彼女の顔が思い出せない」シリーズ新作60 点を原告会社との販売価格に関する協議もなく、個展開催前に4 名の顧客に販売し、販売委託契約に違反したことから、原告会社は、被告会社に対し、債務不履行に基づく損害賠償を求めております。

また、未公表の「彼女の顔が思い出せない」シリーズ新作60点を原告会社、愛☆まどんなの承諾なく販売する行為は、愛☆まどんなの著作者人格権としての公表権を侵害するとして、公表権侵害に基づく損害賠償の主張をしております。

さらに、原告会社と被告会社との販売委託契約はすでに原告会社から解除されていることから、愛☆まどんなをミヅマアートギャラリーの取り扱いアーティストとして掲載するウェブサイトを削除するよう求めています。

被告倉重氏、被告三潴氏に対しても、被告会社の債務不履行、不法行為に関して任務懈怠があったとして会社法429 条1 項に基づき損害賠償請求を主張しています。
なお、本訴訟で請求の対象としている「彼女の顔が思い出せない」シリーズ60点は次のとおりです。

以上

これを受けて、ツイッター上で以下のツイートがなされました。

その後、6月19日に『美術手帖ウェブ版』が「愛☆まどんながミヅマアートギャラリーを提訴。販売委託契約違反など主張」という記事をアップしました。

記事のうち、愛☆まどんな氏の上記のツイート以外の部分を一部、引用致します。

愛☆まどんなは美術手帖の取材に対し、「アート業界も例にもれず、変わらなくてはいけないタイミングが来たのだと思います。正直、自分がその矢面に立つむずかしさは痛いほど感じています。ただ、私はアーティストとして見て見ぬ振りはできません」とのコメントを寄せている。

いっぽうのミヅマアートギャラリー側は美術手帖の問い合わせに対し、訴訟については担当の弁護士と協議を始めたところとしながら、愛☆まどんなに対し適正な支払いを行なってきたと強調。アーティスト側の主張については「プライマリー界の常識を逸脱したもの」があるとしており、版画制作については「合意していた内容を覆して、売上代金の半分の支払いを要求するなど理不尽な点が多々見られる」と主張している。

これを受けて、ツイッター上で以下のツイートがなされました。

『美術手帖ウェブ版』の「愛☆まどんながミヅマアートギャラリーを提訴。販売委託契約違反など主張」をYAHOO!ニュースに転載した記事のコメント欄に以下の興味深いコメントがありました。

ミヅマって鴻池朋子からも訴えられていたはず。トラブルだらけだな。

また、ヤフコメにはこんな興味深いコメントもありました。

アート業界の者ですが、ギャラリーの取り分は50%というのが業界標準で誰もが疑わない。それは版画であろうと同じ。それを美術手帳の取材に対して『売上代金の半分の支払いを要求するなど理不尽‥』と言ってしまえるのがミズマアートギャラリーの体制を体現しているのでは。少し、話はずれるかもしれないがYouTuberの事務所UUUMのクリエーターが大量に離脱したのはUUUMの取り分が20-30%だったことが主な理由のようで、顧客と直接繋がれる今の時代に間に入る事務所型ビジネスモデルはその取り分に見合ったリターンを提供できないとかなりのスピードでシュリンクしていく。もちろんクリエーターは事務所に払う金額で自分の事務所を運営する方が効率がいいのではないかと考えるのが自然。今は遠巻きに見ている業界関係者、アーティストが大半だが裁判が進み情報が出てくると一気に大きなムーブメントになる可能性を秘めている。

ミヅマアートギャラリー(東京・市ヶ谷)といえば日本の現代アートファンには説明の必要が無い超有名な現代アートギャラリーで、エグゼクティブディレクターの三潴末雄氏は日本を代表するギャラリストの一人です。

今回、三潴末雄氏と並んで提訴されたミヅマアートギャラリー代表取締役・倉重成忠氏についてはグーグル検索しても殆ど何も情報が出てきませんでした。ただ、『今・アート最前線』(伊勢丹、1983年)という展覧会カタログの編集に携わっていることが判明し、相当古くから美術業界にいることが分かります。

以前、「現代アートギャラリーの暗部について」という記事を書きましたが、この記事を書いた時に念頭に置いていたのがミヅマアートギャラリーだったので、「やっぱりか。」という感慨を覚えました。

愛☆まどんな氏によると、この裁判の第一回口頭弁論期日は以下の日程です。

2023年7月19日(水)11時45分〜 東京地方裁判所(中目黒庁舎)309号法廷

【追記】

6月28日(水)に『Tokyo Art Beat』が「アーティストの愛☆まどんながミヅマアートギャラリーを提訴。「作品を無断販売」と賠償請求。ギャラリー側は反論」という記事をアップしました。

記事の後半部分を引用致します。

Tokyo Art Beatの取材に対し、ミヅマアートギャラリー側は次のようにコメントした。

「まだ事案として受け取ったばかりで担当の弁護士と協議を始めたところです。ただし我々は愛☆まどんなに対しお支払いなど適正に対応してきました。
彼女の主張には販売した作品代金が昨今のオークション価格と比較し安すぎるといった、プライマリー界の常識を逸脱したものや、また版画制作に関して合意していた内容を覆して、売上代金の半分の支払いを要求するなど理不尽な点が多々みられます。
いずれ裁判にて私たちに誤りのないことを立証して参ります」

アート業界において作家と契約書を交わすギャラリーはまだ少なく、様々なトラブルの温床になっているが、問題が表面化するケースは多くない。今回、愛☆まどんなは自身のウェブサイトで提訴と請求内容の概要を公表。また、自身のTwitterアカウントで「こんなかたちでわたくしの大切な作品を発表しなくてはならないなんて…心が張り裂けそう」と心情を述べている。

愛☆まどんなの代理人である弁護士の木村剛大は「本件と離れた、あくまで一般論」と断ったうえで次のように語った。

「口頭でも契約は有効だが、書面で残っていないとアーティストとギャラリーに認識の食い違いが起きやすくなる。また、当初想定しなかった事柄が起きた場合、ギャラリーが一方的な対応をすることも起こりえる。トラブルを未然に防ぎ、アーティストとギャラリー間で信頼関係を築いていくためにも契約書を交わすことは重要だ」

裁判の行方を注視したい。

この記事を御覧になっている方へ改めて要望がございます。

現代アートギャラリーの暗部(特に有名どころのそれ)について御存知でしたら情報提供をして頂けないでしょうか。

※記事に関する御意見・情報提供は連携しているツイッターアカウントのDMか、下記のメールアドレスにお願い致します。
dyi58h74@yahoo.co.jp

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