見出し画像

近年の石崎光瑤の新発見作品

来年度、京都文化博物館などで石崎光瑤の大回顧展が開催されることは先日、noteに書きましたが、近年の石崎光瑤の新発見作品について備忘録代わりに書いておきます。

「石崎光瑤 技研究の屛風「扇面散図・観瀑図」を初公開 福光美術館」(『北陸中日新聞Web』2021年1月24日 05時00分)

 南砺市の福光美術館は、新たに購入した福光町(現同市)出身の日本画家石崎光瑤(一八八四〜一九四七年)の作品を常設展示室で初公開した。若い時代に描いた二曲一双屛風「扇面散図・観瀑図」で、担当者は「成長の過程を知る上で貴重な資料」としている。公開は三月十五日まで。 (松村裕子)
 落款から京都で日本画の大家、竹内栖鳳に師事する前後の十代後半の作品とみられる。各一・三メートル四方の屛風に別々の絵が描かれている。観瀑図は菅原道真が左遷先の大宰府に行く途中に滝を見つけた場面を描いた歴史画。石崎は後に写実的な花鳥画で知られる画家で、風景とあわせた人物画は珍しい。
 扇面散図はいろいろな題材と技法を試みた扇をちりばめている。ツバキの水墨画や武者絵、東下りの大和絵、たらしこみのインコ、盛り上がるほど厚塗りした白菊などがあり、多様な技法を研究していたことがうかがわれる。担当者は「十代でしっかり基礎ができていたことが分かり、絵の変遷を知ることができる」と話す。
 作品は昨年、オークションに出され、美術館が美術商を介して七十万円で購入した。
 火曜休館。入館料は三百十円、高大生二百十円。

2021年1月に南砺市立福光美術館で初公開された石崎光瑤《扇面散図・観瀑図》

「石崎光瑤の大作を初公開 福光美術館 帝展出品の「笹百合」」(『北陸中日新聞Web』2021年5月14日 05時00分)

 南砺市の福光美術館は、百五十万円で新たに購入した旧福光町出身の日本画家石崎光瑤(一八八四〜一九四七年)の大作「笹百合」を、石崎作品を展示する常設展で初公開した。六月七日まで。
 一九三〇(昭和五)年の帝展に出品された二曲一隻の屛風。写生のように細かく描くのが特徴の石崎には珍しく、斜めに分断した大胆な構図と単純化したササなどのモチーフがデザイン画のように斬新で時代を先取りした感じ。当時はポスターのようだと酷評された。
 隣に展示した三一年のもう一回り大きい屛風「惜春」も、ナシの花とタケノコ、カラスを配してデザイン的。同時期の作品で、新しい表現に挑戦していたことがうかがわれる。
 入館料は三百十円、高校・大学生二百十円、中学生以下無料。十八、二十五日と六月一日は休館。(松村裕子)

2021年5月に南砺市立福光美術館で初公開された石崎光瑤《笹百合》

《笹百合》は第11回帝展出品作ですが、このクラスの作品で150万円とは随分安いですね。同世代に京都画壇で活動した土田麦僊や村上華岳の大作だったら数千万円はするでしょう。「写生のように細かく描くのが特徴の石崎には珍しく、斜めに分断した大胆な構図と単純化したササなどのモチーフがデザイン画のように斬新で時代を先取りした感じ。当時はポスターのようだと酷評された。」とありますが、昭和初期に洋画・日本画を問わず美術界を席巻したモダニズム様式の影響を受けていることが分かります。この作品は当然、来年度の大回顧展に出品されるでしょう。

※記事に関する御意見・情報提供は連携しているツイッター(X)アカウントのDMか、下記のメールアドレスにお願い致します。
dyi58h74@yahoo.co.jp

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?