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遠野-花巻紀行2023_1日目 遠野


前文

いまだに、人と一緒に旅行に行っての楽しみ方がわからない。お土産屋さんにも観光名所にも興味がない。どちらかというと、NHKの「世界なんちゃら街歩き」みたいな、路地とか裏道とか歩いて「このような場所で人はどう暮らしているのか」とかを想像し、垣間見ることが心地よいのだが(かと言って、旅先で現地の人と話すわけでもない)、余人にはあまり理解されず、別行動になったりするのだ。

なので、大体に友人に、旅の内容を語ると「なにそれ?苦行?」などと言われるわけだが、今回の東北旅行は、自身のミスもあり、どう考えても「他人と行かなくて良かった旅行」となったので、本日はその内容を詳らかにして、この度の旅行の気分の上下を数値化して、そのヤバさをお伝えしようと思う。本当に一人で勝手にすごい苦行旅行だったので、「それないわ〜」って感じで楽しんでいただけたら幸いであります。最後で数字がプラスかマイナスか自分も気になるわ…。
あと、心の声を余すことなく書き殴っているので相変わらず文章がとても長い。写真だけでも見てくれたら嬉しいわ。

てんこ盛り旅のスケジュール!!

今回は東北の、岩手県は遠野、花巻を中心に2泊3日で巡った。
今回の旅の目的は主に4つある。
第一の目的は遠野市立博物館でやっている「遠野物語と呪術展」である。これを見るためだけに行くと言っても過言ではない。初めての遠野である。街を巡り、遠出にサイクリングとかできたらいいじゃない?

第二の目的は、奥州市、牛の博物館でやっている、「世界のカウベル」展である。ちょっとカウベルを調べたかった時期なので本当に幸運。
(まぁ、古のゆるめるモ!のオタクなら、行くよね←いや、行かない。)

そして、第三の目的は、宮沢賢治をもう少し深く掘り下げること。今回、ますむらひろしさんが、銀河鉄道の夜の、3回目の漫画を描いているのでその原画展と、最新の解釈を理解しに行きたかったのだ。

今回の漫画、銀河鉄道のシートをボックス席から、ロングシートに変えているのだが、この解釈だけで、色々語りたい。

第四の目的は、大沢温泉。宮沢賢治が幼い頃から通っていた宿としても有名。この、大沢温泉自炊部で、心も体も癒すのだ。(ちょうど10年前、仕事で折れた心を癒すために行ったことがある。)

さあ、そんなわけで、金曜の夜行バスで北上に向かい、朝6時にバスを降り旅が始まった。

1日目、朝 遠野(夜行バス降りてもすることってないのよね。)

北上で夜行バスを降り、遠野へ向かう。東北本線で花巻、そこから、釜石線で、遠野に到着に向かう。
花巻で乗り換えた時に、気づいた。意外なことに、雲が厚い…。湿度が高い、むちゃむちゃ暑い。朝6時台なのに…不穏

厚い雲、高い湿度。
遠野に向かう中で、徐々に朝になってゆく感じが良い。


遠野駅に着く。朝7時過ぎ。
とりあえず、広い駅前のベンチで、計画を練る。ロッカー選び放題なので、不要なものを、ロッカーに逃す。
駅前で猫たちが自由に寝ている。駅前に既にカッパの池がある。おおらかな世界だ。

夜行バスを、降りて悩むのは、街がまだ寝ていて、行動するには早すぎるのこと。そんなタイミングで、駅前を一周してみる。

独特の作りをしているな…。と思っていると、遠野には山の上に城があって、その城を守るために、通りは京都を模した碁盤の目なのに、要所要所で、角を作って、まっすぐ攻め込まれないようにしているのだ。という、説明を読んで、朝の街歩き最高となった。(勉強になったので+50点

この用水路の上に、木を張る歩道の気持ちよさと不安感。

1日目、南部神社と

朝8時半に開く、レンタサイクル屋さん…1日1070円、4時間740円。
最初朝イチで、1日借りようと思ったのだが、博物館に入り浸ったらあっという間に午後になりそうな予感がして、ここはおとなしく、歩いて博物館を目指すことに。(結果、午前まるまる博物館で使ったので、ナイス判断。kanaさんに+50点!)

駅前の道を山に向かうこと、10分。「遠野物語と呪術」テンション上がる!!9時の開館まで、若干時間があるので、山の中腹にある「南部神社」を目指す…。

延々続く階段を登り、神社でおみくじを引いたら、「吉」で、「旅はやめておけ」とでる。幸先悪すぎる涙(-30点)
あと、至る所に熊出没注意の看板があって、若干心にダメージを受ける。(-10点)
さらに神社で夫婦が喧嘩していて、心が傷む。(-30点)

ただ、南部神社の境内で手に入れた、「遠野旅手帳」がどのパンフレットよりも役に立った。ありがとう(+50点)

遠野も花巻も、至る所にあった…。
境内に置かれていた、こいつに非常に助けられた。感謝!


開館時間を過ぎたが、山の上に城跡があるらしいので登ってみることにする。こういう行き当たりばったりは、一人旅の特権。だけど…この時点で、ものすごく暑くて、ペットボトルを持ってこなかったことを後悔する。

あるけどもあるけども、山道は終わらず、

登りきった山の上は平らで、城跡には芝生が。誰もいない静寂。そして街を見下ろすと、、街区とそれを囲む田園、その周りを囲う山々。ここが、昔話と、日々の暮らしが融合した町…遠野かと。

1日目、第一の目的地、遠野博物館

さて、博物館入口のノボリだけでテンションが上がる。(+300点)

朝イチできたせいか、館内の人が、自動ドアの電源つけてなかったらしく、手で無理やり開けて入る。涙(-30点)「あら〜スイッチ入れてなかったごめんなさい」と言われる。先ほどのおみくじに偽りなしだな…汗
そして…

図録…完売…だ、と、…。(-150点)初っ端から心折られた。

さて、気を取り直して。特別展の呪術展もよかったのだが、それ以上に、遠野の歴史を描き尽くした、この市立博物館の通常展示の、層の厚さよ。
1万年以上前から、人が暮らしていて、山で金が取れ、海で魚が取れ、交易の中心であり、同時に東北の過酷な環境でもある。城下でもあり、戦もある。そんな中で、まじないや、民話が生まれていく過程が、なんとなく垣間見れた。

個人的に、どうかと思ったので、おしらさま(各家庭に祭られる2体の木製の神様)とかは、撮影していないのだけど、呪術的なものが、普通に展示されている。現在おしらさまが、たくさん、この博物館や、関連施設に寄贈されて、展示されているのって、やはり、生活が変わって。家屋が建て替わって、個人の家に神棚や神様をまつる余裕がなくなってきた結果なのかなと思うのだ。おしらさまを見ての畏怖よりも、その背景を想像して、すこし悲しい気持ちになったのだ。(←妄想です

そして、念願の遠野物語と呪術展は…。全国津々浦々の、呪術アイテムが集まっていて、感無量でした。
いや…個人的には、アレも知ってる、コレも知ってるだったのだけど。
その…なんだ。「孔雀王で見たアレ」や「霊幻道士」で見たアレが、江戸時代とか、その前の時代の文献の中で、しっかり出てくるのを見て、呪術が生活の中で生きてたのを目の当たりにできたのはとても良い経験だった。
若い人に見てもらいたい。

1日目、遠野まちなかパネル展

たまたま、早朝の街歩きの時見かけたのだが、、、実は、遠野博物館の企画と連動していて、遠野の市中の怪異の場所と逸話をパネルで紹介するという。素晴らしい企画展であった。(+70点)
博物館では品切れになっていた、呪術展のチラシも、こちらには置かれていたので、遠野博物館に行く際はぜひ合わせて寄って欲しい。

1日目、レンタル自転車に乗って、荒神神社を目指す

お昼にカレーとサイフォンコーヒーを飲んで、気分をあげ、駅前でレンタル自転車を借りる。電動機付きとかあったけど、自分の足で漕ぎたいんじゃ!!ということで普通のママチャリを。

目的地は例の「遠野旅手帖」で見かけてときめいた「荒神神社」。河童や縁結びの神とは無縁だからな…涙。俺は、俺の遠野を目指す…。

観光案内所の人に「遠いですよ。15時の電車に乗るならやめたほうが…」と年を押される。さらに、帰ってきた時ギリギリになっていることを想定して先払いにしてくれる…観光案内所のお姉さんありがとう。片道7kmで、3時間あれば行けるでしょう。

遠野を自転車で走っていた気付かされることは至る所に鳥居や、塚があることである。

道端の至る所に石塚がある。
広大な土地を見渡すと、どこかに鳥居がある。
ただただ広い

そして途中で気付かされるのだが、この土地は盆地。山に向かうにつれて、微妙な傾斜がず〜〜〜〜っと続く。辛い。何キロもうっすら登りなのだ。
そして50分かけて…きたぜ荒神様!

田んぼの中にポツンとある。
どうやったらあそこに行けるのだ?RPGっぽい…

そして、お参りをしようと思ったのだが、えぇ??…近づくことが、できない???
そう、荒神様は、田んぼの中の神社。個人の土地になるので、中に入ってお参りはできないのだ。。。ちょっと、、、まじ悲しい。。。(-100点)

消化不良のまま帰路に。
帰り道…。ただ、ひたすら直線のゆったりとした下り坂。誰もいない道を、程よいスピードで無限に下る気持ちよさ。これだけで、遠野に来てよかった…。(+50点)

下り坂効果か帰り道が楽で、予定より1時間早く遠野駅前に戻れたので、自分には無縁の恋人の聖地、卯子酉神社に行ったり、その隣の愛宕山に登って、疲れ切ったり、予約がいっぱいで取れなかった。古軒という旅館の前を通ってみたり、河童イラストをひたすら撮ってみたり、して、遠野を後にしたのである。

1日目-吉野屋旅館に泊まるべく台温泉に向かう。

遠野の古軒という旅館を取れなかった私は、花巻は台温泉の吉野屋旅館を選んだ。
吉野屋旅館は、花巻駅を降り、花巻の代名詞、花巻温泉のさらに奥地にある。そして、知られていないことだが、花巻温泉は台温泉の湯を引いてできた温泉地。台温泉こそが源泉なのである。

そして、台温泉に行くバスが…本当に無い。。。
花巻温泉でバスを降り、山の上の一本道を1.6kmほど歩くことになる。
小雨である。…今日1日で何キロ移動歩いているのだ…。

そして、山道の、途中にあるものたちのおかげで、気持ちがホラーになってくる。なにこのサイレントヒル…。。。(-50点)

かつて人が多くいた土地なのだろうことをしめす、巨大な病院跡…
絶対誰も使っていないバス停
どういう規則性で割れたのだ…?ある意味芸術的な廃屋…
そして台温泉入口の廃ホテル…屋上のサンルームが気になる…。

と、もう、小雨に濡れ、汗にまみれ、山道を登り続け、生きて帰れるのかと思った頃、たどり着いた温泉街。(椎名林檎風に)

ちなみに、お土産屋も、魚屋も、蕎麦屋ももはや存在しない。。。

1日目-吉野屋旅館

来たぜ、吉野家旅館
この吉野家旅館の2階、玄関正面右の角部屋が本日の部屋になります。

タバコOKな部屋だったせいで、タバコ臭い(…泊まってる人少なかったので、部屋を変えて貰えばよかったと後悔)(自分の不甲斐なさに-50点)

いたるところで水の音がしている。
そして、窓の外には、女郎蜘蛛の巣が5つくらいあって…思わずギャー。
ここまで上がってくる途中で散々みたのでわかっていたが、怖い(-100点)
…でもな。後で気づいたのだけど、夜、部屋の電灯にも、屋内でもほぼ虫は現れなかったのよ。。。窓の外の蜘蛛の巣が、完璧な仕事をこなしている可能性が高い。トイレも綺麗で、居心地はめっちゃ良い。。(+70点)

1日目-吉野屋旅館の温泉

宿の大将に、24時間いつでも入れる、源泉掛け流し、熱いと思うのでお水入れてもいいよ。と言われ、どろどろになって、小雨に振られてやってきた、1日の汗を落としに速攻温泉に。

かすかな温泉臭。びっくりするほど、水が澄んでいる。そしてお湯は熱い。これは…最高の温泉の気配。
一緒に入ってきたおじさんと、おしゃべりをする。その方は、温泉巡りが趣味で、youtubeで見て、やってきたらしい。このお湯だけで、ここが良い温泉だとわかる。小さいけど、清潔で贅沢なお湯でした。
翌朝聞いたけど、ここの源泉から、3つの温泉宿に、お湯が引かれていて、そこは、全て源泉掛け流しらしい。(台温泉自体いくつか源泉があるらしい)
無限に過ごしたい。(+300点)

この常に流れ続ける澄み切った熱い温泉水よ…。(飲料には適さないらしい)

1日目-吉野屋旅館のご飯。

部屋に、お茶っぱではなく、ペットボトルのお茶が置いているのは、温泉上がりに、ぐびぐび飲むためか。(+30点)

7400円一泊2食付き…、なんというボリューム。(+200点)

写真では伝えきれないボリューム
お蕎麦もつきます。
松茸の土瓶蒸しもつきます。吉野屋さんの名物であります
蓋を開けると国産豚と野菜の陶板焼
2尾のえびに、焼き魚まで加わります。

焼き魚も、海老も…食べても食べても、終わらない〜。
久々に、徹底的に、ご飯を食べた気分。
ひたすら、ゆったりして、寝る、そして、朝5時とかに起きて、一人温泉を楽しむ。最高が…すぎる。

2日目-吉野屋旅館の朝ご飯。

温泉を満喫し、朝ごはん。…。多い。だが、胃が大きくなった気がする。流石に昨日エネルギーを使いすぎたらしい、徒歩移移動換算で11kmくらいになっていた。バクバク食べれる。ご飯が美味しい。卵最高。

ぜんぶ部屋食で、食後にコーヒーまでついてくるのいたれりつくせり

また、時間ができたら、何もしないを楽しみにこの宿に来たいと思った。
バスが少なすぎて、…山道を1.6kmくらい歩くけれども。

さて、最初のバスが9時発。行きますか、2日目の旅に。バスで下る時は、怖さはなく、この鄙びた先に、幻の温泉があるのだなと感じた。
2日目の旅に続く。


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