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自分にとって、KinKi Kidsの『フラワー』が心に残る名曲である理由

KinKi Kidsの楽曲でどの曲が好きかと聞かれたら、私は『フラワー』(作詞:HAL 作曲:HAL/音妃)を選びます。

この曲が発売されたのは、今から20年以上も前のことですが、前向きで明るいメロディーと、心に寄り添って励ましてくれるような歌詞がとても印象的で、今でもふと口ずさむことがあります。

※このページでは、上記のサイトから、『フラワー』の歌詞を一部引用します。

 僕らは愛の花咲そうよ 
苦しいことばっかりじゃないから
こんなにがんばってる君がいる
かなわない夢はないんだ

まだ学生だった頃、いじめに遭っていた私は、この曲に随分と救われました。

他人に傷つけられて心が痛い、辛い、苦しいと感じる経験をしたのは、あれが初めてのことだったと思います。

ほとんど思い出すこともない、遠い過去の記憶ではありますが、完全に忘れることはできない記憶です。

ここからは、KinKi Kidsの『フラワー』に救われた当時の状況を、ざっくりとまとめていきます。

仲間外れのはじまり

紫陽花が眩しい、梅雨入りの季節でした。ある日を境に、私は、仲良し三人組から仲間外れにされました。

朝、教室に入ると、二人がいつもと変わらない様子で、楽しそうに話しをしていました。

私は「おはよう」と二人に話しかけました。

すると、二人は急に会話を止め、お互いに何か目配せをして、ニヤニヤ笑い出しました。

私は、そんな二人の様子に、首筋に鳥肌が立つような、嫌な雰囲気を感じ、その場に凍りつきました。

そして、その瞬間、私は「何か嫌な感じがするけど、自分の勘違いかな」それとも、心当たりは全くありませんでしたが、「二人に何か悪いことをしたのかもしれない」と考えました。

ところが、二人はそんな私のことを一切気にする様子もなく、そのまま楽しそうに、二人だけで会話を続けました。

あの時の二人の態度と表情は、私にとって、とても冷たく感じられました。

突然の出来事に、恐怖さえ感じました。

どうして、無視するの?

どうして、仲間に入れてくれないの?

きっと、あの時の私はそんな気持ちで、心に一瞬にして深いトゲが刺さって傷ついたはずなのに、なぜか、そんな自分がとても恥ずかしい存在のように思えて、何事もなかったかのように、そのまま無言で背を向けて、二人の側から離れたのでした。

自分の殻に閉じこもる日々

あの日、あの後どうやって一日を過ごしたのかは、全く覚えていません。

ただ、あの日をきっかけに、私は学校を早退したり、休んだりすることが多くなりました。

熱もないのに学校を休む理由にならないからと、母親に病院に連れて行かれ、お医者さんからは、自律神経失調症だと言われました。

きっと、鬱っぽい感じに見えたんだと思います。

実際、どんな病気だったとしても、どんな薬を飲んでも、この心の傷が癒される訳ではないので、とにかく気持ちが辛くて、目の前がボーっとして、どんどん自分だけの殻に閉じこもっていくような感覚がありました。

当時は、家庭の事情が諸々と荒れていた時期でもありました。

そのため、両親は、私の様子がおかしいことに気づいていたとは思いますが、何があったのかについて、面と向かってじっくり話を聞いてもらう機会はありませんでした。

学校ではというと、担任の先生が、個人面談の時間を作って、最近何かあったのかと話しかけてくれました。

でも、私はその時、「友達に無視されていて辛い」「本当は学校に行きたくない」と先生にハッキリと伝えることができませんでした。

むしろ心とは裏腹に、「何でもありません」「最近体調が悪くて」とだけ言ったことを、今でもよく覚えています。

きっと、事を荒立てたくなかったのと、やはりこんな状況の自分が恥ずかしくて、必死で自分は大丈夫なんですと誤魔化したかったのだと思います。

それから先、二人が、私を再び友達として受け入れてくれることはありませんでした。

一体、私の周りで何が起こっているのか、何が原因だったのか、何も分からないままに、楽しかったはずの日々はいつの間にか消えて、暗い時間だけが過ぎていきました。

真っ黒のカレンダーに花が咲いた

そして、私は、独りで過ごすことを選びました。

家では毎日泣きながら、カレンダーの日付にバツ印を付けました。

「早くこんな日々が終わってほしい」そんな気持ちで辛い毎日にバツ印を付けていました。

おかげで、私のカレンダーは真っ黒でした。

そんな辛い時期に、私にとっての癒しはテレビを観ることくらいでした。

そして、何気なく観ていた音楽番組で流れていたのが、『フラワー』だったのです。

まるで、自分のことを励ましてくれているかのように、メロディーが心地よく耳に馴染み、歌詞が心にじんわりと響いて涙が止まりませんでした。

私はすぐにCDを買いに行って、自分の状況と重ね合わせながら、繰り返し繰り返し、曲を聴き続けました。

僕らは愛の花咲かそうよ
青空 ヒマワリのように強く
小さなことでくよくよしてた
昨日の僕にサヨナラ

『フラワー』に励まされて、勇気をもらって、私は少しずつ変わりはじめました。

自分を無視した二人のことは、友達ではなく、ただのクラスメートだと思うようになりました。

絶対に、二人とは別の進学先に合格してやると思って、とにかく勉強だけに集中するようになりました。

進学に影響が出ないように、独りぼっちでも、割り切って登校するようになりました。

なんだか、あの頃の自分の底力に、我ながら圧倒されます。

そのうち、他のクラスメートが私に声をかけてくれるようになって、私は独りではなくなりました。

いろいろあったけど、私は恵まれている、そう思えるようになりました。

ただ、二人に無視されて心が傷ついたことは、とても悔しい出来事でしたし、そのせいで、ほんの一瞬でも「死にたい」という気持ちが芽生えてしまったくらい、苦しい思いをしました。

その事実は消えないし、二人はとっくに忘れていても、私の記憶から完全に消えることはありません。

今は、その事実に苦しみ続けるのではなく、人として、人の痛みを知ることができたんだと、自分なりに過去を消化できたと思っています。

そして、当時の辛い状況から救ってくれた『フラワー』という曲を通して、音楽の力の偉大さを知ることもできました。

あの時期に、この曲と出会っていなかったら、私の人生は、また違うものになっていたのかもしれません。

それくらい、私にとっては本当に大切で、人生に大きな影響を与えてくれた曲です。

これからも、『フラワー』は、私にとって出会えて良かった、生きる勇気をくれた曲であり続けます。


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