庭付きの平屋に住みたい
「お金があったら何がしたい?どこか行きたいところとか、欲しいものとか。何かある?」
自分は内心、またその質問かと思いながらも、一応うーんと考えてから、ボソッとこう返事をします。
「平屋かな、庭付きの。」
「平屋ね、いいよね。縁側で。」
「そう、縁側でビール飲みたい。」
我が家では、そんな会話が、ふとした時にはじまります。
そして、この会話がはじまった当初、物欲が無いタイプの自分は、欲しいものは何かと聞かれても、具体的な答えをした試しはほとんどありませんでした。
そのため、「うーん、別にないよ。」と、しばらくの間はそう答えていたのですが、そのうち何となく自分が寂しい人間のような気がしてきて、もう少し欲を出して、質問について考えてみることにしました。
たとえば新しい服が欲しいとか、テレビで紹介された人気のお取り寄せグルメが食べたいとか、海外ならここに行ってみたいとか、まあいろいろとそれっぽい答えを探してはみるのですが、何となく気持ちが乗らないというか、違う感じがして、どれも決定打に欠けるのです。
それじゃ、これならどうだろうということで、今、衣食住のなかでどれを優先してレベルを上げたいか、ということについて考えてみることにしました。
そこで、自分は迷わず住を選びました。
理由は、家で過ごす時間が大好きだからです。
まず、自分は他人と関わることがあまり得意でないし、一日中家にいても苦にならないタイプです。
それに、我が家には愛すべきもう一匹のパートナーが存在しており、この子と家で過ごす時間が、自分にとって最大の癒しと言えます。
そんなわけで、もしお金があったら、「二人と一匹で今よりももっと伸び伸びと暮らせるように、庭付きの平屋に住みたい」というのが、自分の納得いく答えとなりました。
それからというものの、もしもお金があったら対談において「平屋に住みたい」という回答が定着したわけですが、これまた一本調子の答えになりつつあったので、「縁側でビール」といった具合に、平屋に住んで叶えたいことをプラスしてみるようになりました。
「庭には芝生を植えてドッグランにする」
「虫除けを兼ねてハーブを植える。夏には自家製モヒートを作りたい。」
「それから庭にレモンの木を植えよう。」
「居間にはゆったりしたソファーを据える。」
「陽当たりのいい縁側でゴロゴロする。」
欲深く生きるは、空想の平屋。いつか実現できるその日まで。
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