バー ルパンの夜
(2023年2月24日 Facebookに載せた文章を再掲)
遂に行った。
こどもの頃から憧れていた、あのルパンだ。
興奮。
もっとすごく入りづらいお店だと思っていたので、あまりの盛況ぶりに驚いた。でも、誰もそんなに文豪に興味なさそうだった。
わたしはずっと、ここで飲むものを決めていた。実に35年ぐらい前から決めていた。坂口安吾が飲んでいたゴールデン・フィズだ。
文庫本は、太宰かオダサクか安吾、どれを連れて行こうかと悩んだが、安吾にした。中学生の時に胸を熱くして読んだ『堕落論』にした。
13歳の頃にお小遣いで買ったこの文庫を、あたいは遂にルパンで読んだ。
最初はすごく混んでいたので、入り口から2つ目ぐらいに座らされた。太宰の席が空いて、奥に移動したい。。と深刻な顔で話したら、移動させてくれた。この時点で、無頼派ファンであることがバレバレだった。お店の人も、ああ、あの席ね。という感じだった。
そして、目の当たりにしたあの席!!オダサクと安吾と太宰の写真を見たら、涙がぶわーーっと出た。なかなか気味の悪い客である。
な、泣いてしまいました。。とお店の人に言ったら、お店の歴史が書いてあるパンフレットとマッチをくれた。
オイルサーディンを食べ、サラミを食べ、マティーニを飲み、ブラントンをロックで飲んだ。
照明が暗いので最早本は読めない。ずっと涙目だからますます読めない。
お酒を飲みながら、太宰と安吾とオダサクのことを順繰りに考えて、また涙ぐんだりした。ここで安吾は何を考えていたのかな、などと。
いい夜だった。
#バールパン #太宰治 #織田作之助 #坂口安吾
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