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どこかの誰かに「愛がなんだ」を見てほしい

4月21日(日) 新宿テアトルにて、「愛がなんだ」を観た。
とりあえず、都合のいい女になっているひと、都合のいい男になっているひと、この関係って友情だっけ?恋だっけ?愛だっけ?という迷子のひと、そんな人は見るべきだと思う。
別に恋愛でなくても、都合良くなることを選んじゃって、どっかで自分に優しくできない人は、存分に傷つけられ、癒されてほしい。

公開3日にして、趣味嗜好が似ているな〜と思う人が、こぞって絶賛していたので、どうしても観たくなってしまった。

冒頭で主人公テルコが、いずれ片思いをするマモちゃんへの第一印象を、「ただ、手が綺麗な人だと思った」と表現していて、それだけでこの映画を好きになると確信した。
手が綺麗な男って、なんか女にだらしない気がするんだけど、私も綺麗な手には惹かれる。
それだけでグッときたりするから、気持ち悪いなあと思う。

なんと私が観た回に関しては、今泉力哉監督と主題歌を担当した、Homecomings の畳野彩加(Gt/Vo)さん、福富優樹(Gt)さんのトークイベントを実施するイベント上映だった。
上京して2年目になるが、東京に来てちょっとよかったなあと思うのは、映画の上映が早かったり、ライブの回数が多かったり、こうしたイベントの機会が不意に多いことだなあと思う。
アコースティックでの弾き語りもしていただき、それはそれは良かった。

順番がおかしいかもしれないけど、
ちょっとした東京の機会に恵まれたおかげで聞けた、トークイベントのお話から、Homecomingsの紹介をしようと思う。イベントは上映後に行われた。

Homecomings/Cakes
Homecomingsは京都在住の4ピース・バンドである。
実をいうと、私もこの映画を通して初めて知ったのだが、めちゃめちゃいい。私的には、どこか"スーパーカー"を感じるようなさわやかさと切なさがあって、ぜひライブに行こうと決意した。
とはいえ、知って日が浅い為、もっと魅力を知っている方にはぜひご教示いただきたい。

Cakes制作当初は、今泉監督からペライチ程度の指示書のようなものが送られたらしい。そこには「HomecomingsのあのMVの、あったかい感じ」とか「この曲の、このテンポの感じ」とか、何となくの監督のイメージがつづられていたとのことだ。
Gt./作詞担当の福富さんは、「当たり前なのかもしれないですけど、でも自分たちの楽曲をここまで知ってくれたうえで、制作依頼をしてくれるのは、本当にうれしいです。」といっていた。いい曲には愛が溢れています。

実際に「愛がなんだ」を鑑賞したうえで、作詞⇒作曲の順で制作されたCakes。作曲の畳野さん(Gt.Vo)は、「あったかいとか寒いとか、春っぽいとか、そういう季節感や情景をイメージできる曲作りを、常に意識しています。それで言うと、この曲は”朝方のちょっと寒い様子”をイメージして作っています。日が昇り始めて、ぼんやりしていて、ちょっと寒いそんな感じで、映画の余韻をどう表現できるかなと考えました。」と制作秘話を教えてくれた。

作詞担当の福富さんは、「登場人物の誰かの曲にはしたくない。聴く人が、ここは誰っぽいとかそれぞれが受け取れる、何かしら散りばめられたような、そんな曲にしたかった」といっていた。

結果、今泉監督からのペライチの指示書は、いい意味で無視されたらしい。
登壇していた3人が皆、納得のいく主題歌になったと誇らしげでいて
さらにこの曲が好きになった。ぜひ聞いてほしい。

なぜHomecomingsを主題歌に起用したのか?という質問に対して、
今泉監督は「Homecomingsの楽曲には、”さみしさ”や”諦め”がどこかにある感じがして、その温度感がこの映画にぴったりだと思ったから」と答えていた。
そんな温度感が詰まっているなと感じる、彼らの代表曲「HURTS」は、何となく私は初夏に聞きたい曲だなあと思う。

今泉監督が、最後にこんな話をしていた。
「昔、ある知り合いが ”ボタン一つで伝えられることは、ボタン一つで消えてしまう” と言っていて、それが僕の中ですごく印象深くって。今の時代、SNSやいいねですぐに拡散できて、その広がりはもちろんうれしいのだけれども、できれば口から、誰かの耳に伝えてほしい。その力はまた別にあると思うので。だから、あなたの知り合いに、よければ直接勧めてほしいです。」

なんていい言葉なんだろう。

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ここまで読んでいただいた方で
まだ映画を見ていないならば、一度見てほしい。
見た上で、私の感想を聞いてほしい。 可能ばらば、直接話をしたいですね。
ということで、実際に見た感想を。

改めて、映画を観ておもうのは、
この映画は登場人物の全てが優しくて、それでいて誰かにはものすごく残酷だということだ。
自分の前では嫌いって言っていたものが、誰かの前では好きになる。
相手の為、が空回りして都合良くなってしまう。
真実を正しく伝えているだけなのに、傷つける。
相手を思っているのに、まったく視線が交差しない。

みんな優しいだけなのに、なんでってことは、こんな感じで日常であふれているのだろうなあと思ってしまった。どうしようもない部分も、人間らしくてよい。

私が一度見て好きだなあと思ったシーンは、2つある。

1つめは、テルコのマモちゃんへの執着がどうしようもなくなり、ついには彼との将来をぼんやり想像してしまった上で、会社をクビになるシーンである。
誰からも悲しまれるでもなく、淡々と退社していくわけだが、最後に同僚だった若手女性と語るシーンが印象的だった。
すきかどうでもいいかの2択で、極端になってしまうテルコは、「とにかくマモちゃん以外はどうでもよくなってしまう」という。それに対して若い女性社員が、「自分も?」って返しているのが、辛辣だった。
自分を大切にしなきゃなあと思った。

2つめは、テルコと仲原が一緒にラーメンを食べに行くシーンである。
BBQでの一件を受けて、自分を見つめなおし、「葉子が寂しいときに、電話したくなる人のひとりになれればいい」ということは、どうなのだろうか?と真剣に考えた仲原。「葉子を好きだから、葉子のために忘れよう」と決めた仲原はなんていい顔をするのだ。圧巻の演技だった。若葉竜也の「幸せになりたいっすねえ」で、何度でも泣けそうである。
バーターとして、BBQに参加させられていた仲原が、「好きでいるのやめることくらい自分できめさせてほしい」と話す姿は、とってもかっこよかった。
そのあと写真展を開催する姿は、もっとかっこよかった。

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最後の最後まで、テルコはテルコだし、
マモちゃんはマモちゃんだった。
どんな形でも、好きを貫くテルコは切なくも強かった。

あまりまとまりきらなかったのだが、
とりあえず、2回目を観に行こうと思う。

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#映画 #映画ログ #愛がなんだ #コンテンツ会議

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