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令和阿房列車論~その20『鉄道無常~内田百閒と宮脇俊三を読む』(8)

前回までのおさらい

おさらいとして、前回の記事をリンクしておきます。

セクション15~誕生鉄と葬式鉄

百閒先生が、何も用事は無いのに汽車に乗ったことはかつて不要不急の外出を控えよという戦時中の文言が新型コロナウイルスの流行によって叫ばれましたが、ワクチン接種の普及によってその文言もあまり言われなくなりました。

まず、誕生鉄葬式鉄についての言葉を説明しなければならないと思います。
誕生鉄とは、新路線の開通や新しい車両や列車のデビューを祝う行為に興じる鉄道ファンのことで、これに対して葬式鉄とは、廃止される路線や引退する車両や列車に乗りに行く行為に興じる鉄道ファンのことを言います。

先生方の捉え方

百閒先生も宮脇先生もいわゆる葬式鉄としての趣味は持っておらず、むしろ忌み嫌っています。
これに対して誕生鉄としての趣味には両者とも造詣が深いようです。

百閒先生は旧制高等学校の三年生だった当時、岡山と宇野を結ぶ宇野線が開通した時の一番列車に乗りに行ったり、『春光山陽特別阿房列車』にある京都と博多を結ぶ特急「かもめ」の一番列車に乗客として乗車しています。

宮脇先生も国鉄路線全線完乗の中で只見線が全通した日の一番列車に乗ったり、若い頃には当時開通した関門トンネルを通りたくて17歳の時に行ったエピソードがあります。

私自身の誕生鉄と葬式鉄

私自身は「乗り鉄」として開通する路線よりも廃止される路線に乗車したことが多かったので葬式鉄な面があります。けれども一番列車や新路線の開通に出逢う縁が少なかったこともあるので、誕生鉄の芽は持っていると思います。
それは今年2022年5月にデビューした横浜市営地下鉄ブルーライン4000形の一番列車ではないものの、2日後の5月4日に乗ったエピソードがあり、縁があれば誕生を祝うこともあるのです。

私自身のエピソードはともかくとして、誕生であれ終焉(葬式)であれイベント事に集まるのはファンであろうとなかろうと人間の習性ではないか?と思うのです。

#鉄道無常

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