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【海外で考える日本食】だしの素vs味の素-1

今日の夕食は何にしようかな、とりあえず冷蔵庫にある材料でレシピを検索してみる。もやしで節約レシピ!豆腐でヘルシー!など、在外邦人の心を折るために作られたと言っても過言ではない謳い文句たちを華麗にかわし、やっとたどり着いたレシピ。そして彼は言った。だしの素。

日本に住んでいた時、私はレシピのだしの素をもれなくだし汁に換算して、昆布とかつおぶしの合わせ出汁を使っていた。とにかく料理が好きなので、私からだしをとる機会を奪うな!という気分だった。しかしここはフィンランド。

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大型スーパーに行けば大抵、キッコーマン含め数種類のしょうゆが売られているし、大都市であればアジアンマーケットがあり、大概のものは手に入る。

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手に入るんだけど、高い。日本にいた時と同じ感覚で、昆布やかつおぶしをバンバン使おうものなら、もれなく財政破綻である。

なるほど、そう考えると、確かにだしの素はかさばらずに便利である。帰国時の買い物リストに追加しよう。しかし次の帰国は未定。私は今すぐ日本食が食べたい。レシピはだしの素と言ってくる。アジアンショップのだしの素を眺める私。

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いやでも数回使ったらなくなる粉末にこんな大金は払えない。うん。…うん?

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そう、味の素。世界のAJINOMOTO。だしの素に比べてとってもお買い得。

味の素は化学調味料だから体に悪いなどと言われて敬遠されて、そのせいでうま味調味料という名前が使われるようになったり、アメリカではわざわざグルタミン酸ナトリウム=味の素不使用!なんて表示があったり、その辺は化学教員からすれば笑止千万の一言なので割愛する。え?塩味には塩使うのに、うま味には味の素使わないの?詳しく知りたい方のために、おすすめの記事と、おすすめの料理研究家の紹介を。うま味については前の記事をどうぞ。

とにかく、様々な事情から、ほとんどのレシピにはだしの素が使われ、味の素という表記はない。在外邦人には残念なお知らせである。では、だしの素と味の素は何が違うのか?もっと言うならば、だし汁と味の素水溶液は、何が違うのか?

うま味インフォメーションセンターが提供しているうま味データベースより、昆布だし100g中に含まれるのは、グルタミン酸8.9mgと、アスパラギン酸1.88mg。もちろんこれは遊離アミノ酸のみを調べたものなので、香りの元となる成分など、他の成分も含まれていることは間違いないだろう。しかし、とりあえず味にだけ焦点を当てると、だし汁に含まれるのは、グルタミン酸とアスパラギン酸=うま味である。

つまり、昆布だしと味の素水溶液、両方ともうま味水溶液であるといって差し支えないだろう。じゃあ、だしの素は味の素で置き換えられるの?どれくらい入れればいいの?などは、次の記事で触れる。

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