見出し画像

【海外で考える日本食】だしの素vs味の素-3

今日は、味の素を使って味噌汁を作る。比較実験として、アジアンマーケットで購入しただしの素、日本から持ってきた昆布とかつおぶしを使ったあわせだしの味噌汁も作る。ほんだしを探したが見つからず、シマヤのだしの素である。成分表示を確認したところ、原材料はほぼ同じだった。

画像10

まずは、味の素の計量。前回の計算結果より、味噌汁一杯150mlあたり、味の素を150mgを使用する。

画像7

小さじに入れるとこんな感じ。これが小さじ1/20か…。

画像2

次にだしの素1g。

画像8

比較実験として、水300g、こんぶ3g、かつおぶし3gであわせ出汁をとった。水に対してこんぶとかつお1%という一般的なレシピを使ったが、正直「こんなに入れなきゃいけないの…?」という量だった。普段の3倍入れたと思う。調理方法は、水に昆布を入れ沸騰直前で取り出し、沸騰したらかつおぶしを投入、再沸騰後火からおろすという、ごく普通のだしの取り方である。

画像7

左から、お湯150gと味の素150mg、お湯150gとだしの素1g、だし150gである。さっそく、味の素とだしの素を投入。

画像7

味の素水溶液は無色、無臭。なめてみるとかすかにうま味を感じる。味の素をなめたときの強烈な味とは違い、なんか入ってるな、くらいの感覚。

だしの素水溶液はかすかに茶色、かつおの粉末が沈んでいる。かつおの香りがするが、それほど強くはない。なめてみると、だしのおいしい味。

あわせだしはきれいな黄金色。透き通っていて、浮遊物はなし。そしてかつおぶしのいい香り。なめてみると、いわゆるだしのほっとする味とかつおぶしの香り。

実は、この時点で一番おいしいと感じたのはだしの素水溶液である。理由は簡単、だしの素には塩分が含まれている。含まれている、というか、含有量が一番多い成分がNaClである。うま味だけでなく塩味も感じることで、一番おいしいと感じるのは至極当然である。だしの素、おいしい。企業努力、すごい。

そしてここにお味噌を投入した。日本から持ってきた合わせ味噌を、一般的なレシピに倣って大さじ1ずつ加えた。味噌に関しても、こんなに入れるの?という感想だった。我が家は薄味家系なのかもしれない。

画像7

画像8

ライティングのせいで左ほど明るく見える。ので近づけてみる。

画像7

見た目だけで違いを判断するのはほぼ困難である。味噌が沈殿してくると、あわせだしでは上澄みの色が濃いが、味の素とだしの素は全く一緒といって差し支えない。

そして実食。判定員は私、そして私の彼氏。彼はフィンランド人。彼には材料は伝えず、それぞれについてどう思うかを述べてもらった。

まず、味の素の味噌汁。味噌のいい香りがする。味は、生みそタイプのインスタント味噌汁に近いような気がするが、十分おいしい。彼曰く、ちょっと味がぼやけている。

次に、だしの素の味噌汁。味噌のいい香りと、かすかにかつおぶしの香りがする。味の素の味噌汁よりおいしい。彼曰く、一番おいしい。

最後に、あわせだしの味噌汁。味噌の香りとかつおぶしの香りが合わさって、私の慣れ親しんだ味噌汁はこれだ!という香り。味は、かつおぶしの味が強い。彼曰く、おいしいけど、魚のにおいが強い。

だしの素に軍配か?と思うが、だし汁に味噌だけ溶いて味噌汁と呼ぶ人はそうそういないだろう。これも日本から持ってきた乾燥わかめを、それぞれに500mgずつ加えた。

画像9

再度実食。

味の素の味噌汁。おいしいなぁ。

だしの素の味噌汁。あーおいしいなぁ。

あわせだしの味噌汁。あーすごくおいしいなぁ。

わかめの味が入ってくると、正直味の素とだしの素の味噌汁を区別するのはなかなか難しい。味の素のほうが、塩味が鋭いかな?くらいである。彼にも試食してもらったが、あわせだしのお味噌汁はすごくおいしい、他の二つは、うーん、だしの素のほうが、なんか、おいしいかな?程度で、明確に違いを説明できるほどの違いではなかった。

では、ここに豆腐を加えたら?味の強いにんじんや、香りの強いねぎを加えたら?食卓に味噌汁を出されたとき、果たして私たちは「今日はだしの素じゃなくて、味の素使ったね?」と判断できるだろうか?正直に言おう、私は、無理だ。

もちろん、あわせだしの味噌汁は断トツでおいしかった。そして、だしをとらない、という選択をするなら、味噌汁に関して言えば、だしの素でなく味の素でも十分ではないか?という気がする。好きか嫌いか、おいしいかおいしくないかは人それぞれなので、まずは試していただければ、と思う。味の素を使った味噌汁の材料は以下である。

【味の素を使った味噌汁のレシピ】
材料 一人前
水:200mL(蒸発分も加味)
味の素:150mg(小さじ1/20程度、量は上の画像を参照)
味噌:大さじ1

作り方
お湯を沸騰させる。
味の素を加える。具材がある場合はここで投入する。
すべての具材に火が通ったら、火を止めて味噌を溶かす。

繰り返しになるが、あわせだしの味噌汁が一番おいしい。しかし、味の素の可能性は十分に感じられたし、今後も私は、だしの素ではなく味の素を買うだろう。そして、あわせだしと味の素の性質を考えたときに、だしを使ったほうがいい料理と、味の素でも十分な料理、そして、味の素しか使えない料理がある。どうやって区別するのか、そして、私が考える味の素の使い方は、今後説明する。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?