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新型コロナウイルスが不動産業界に与える影響

不動産業界がコロナ以前の状態に戻るのが不可能な3つの理由について

本記事は5月27日にMediumで公開した記事の転載です。

世界中の都市が慎重にロックダウンを解除し始め、コロナ以前と比較し、不動産や都市移動の状況が大きく変化したことに気付くでしょう。新型コロナウイルスはドアやボタンなどの表面に何日も付着する可能性がある為、オフィス、バス、電車では公衆衛生上のリスクが高く、地主や地方自治体はコロナウイルスによる新世界(ニューワールド)に対処するため、早急かつ積極的な対策が求められています。ここでは、最近不動産業界で注目されている3つの大きなトレンドをご紹介します。


1. オフィス内のソーシャル・ディスタンス:

コロナウイルスの影響により、オフィススペースの利用は減少傾向にあり、多くの企業の従業員が在宅勤務への移行を始めています。 Facebook Twitterは、従業員の在宅勤務を「永遠に」認める方針を明らかにしました。一部アナリストの間では「オフィスは死んだ」との主張もありますが、弊社の考えでは、距離感や換気といった安全性を確保することができる場合、企業はオフィスに(ある程度)戻ってくると考えています。そのために重要なポイントとして、以下の2つが挙げられます。


人数カウンターによる密度管理: DensityVergeSenseのような企業は自社の独自センサーを使用して、リアルタイムで占有率を測定し、オフィスが過密状態にならないようにします。既にDensityは、米国での需要が急増していることから、前四半期比で200%以上の売上増加を記録しています。
従業員間の距離の確保: コロナウイルス以前と比べ、仕切りがないオープンオフィスのレイアウトは今後減少傾向にあると思われます。Cushman & Wakefieldのオランダチームは、強制的に社会的距離感を保つアイデアの1つとして、「6フィート・オフィス」を提案しています。


2. ハンズフリー実装による建物内の衛生確保:

今後、衛生管理に対する意識向上が不動産業界全体に浸透することで、各不動産の設備をハンズフリーにする技術の需要が高まると考えています。具体例として、以下の2つが挙げられます。


ハンズフリーのアクセスコントロールシステムの実装により、非接触型ICカードやスマートフォンを使用して、ドアハンドルに触れることなく建物への出入りが可能になります。コロナウイルス以降、この分野の製品に対する需要の高まりから、LatchOpenpathといった企業への注文が増加傾向にあります。
既存の手動ドアに後付けで実装できる自動ドアも人気が高まっています。具体的な例として、Assa AbloyBoon EdamGezeといった企業が挙げられます。


3. 利用する移動手段の大幅な変化:

公共交通機関の利用率が減少する中、マイクロモビリティの需要と選択肢が広がることが予想され、また政府が都市のの安全性を向上するための政策を更に強化すると考えます。

一部都市で自動車を減少・禁止させる傾向が強まる: パリ市長のAnne Hidalgは、コロナウイルス終息後に自動車が主流となる都市に戻ることは問題外であると強く指摘しました。既にシアトルミラノは自転車と歩行者のためのスペースを拡張しており、ロックダウンが終了しても継続すると発表しています。
他にも、市民が自家用車を使用せずに移動した際に、インセンティブを与える企業にも注目が集まっています。その一例として、Velociaがマイアミの企業や公共機関と提携することで、公共交通機関やレンタルスクーター等を組み合わせて移動した場合に、使用者がインセンティブを得られるアプリケーションを展開しており、今後東京にもそういった事例が広まるかもしれません。
公共交通機関・自家用車の減少と人気低迷により、マイクロモビリティ需要が増加: 米国ではマイクロモビリティへのシフトが進んでおり、自転車の販売台数・国内のバイクシェアサービス数が増加傾向にあります。
企業が自転車やeスクーターシェア時の衛生面を確保することで、この傾向は今後も続くと予想されます。
具体例として、サンフランシスコに拠点を置くWheelsは、Nanosepticの技術である自浄式ハンドルバーとブレーキレバーを自社製品へと導入しています。


About Us: Agya Venturesは不動産テクノロジーに特化したベンチャーアドバイザーです。不動産経営者の方向けに、ポストコロナで有望と見られるテクノロジーの案件を50以上紹介している「コロナウィルス後の世界における不動産テック」レポートも提供しています。詳しくはkunal@agyaventures.com または nobu@agyaventures.com までお問い合わせください。
また、当社ウェブサイトもご覧ください。 www.agyaventures.com

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