見出し画像

レズの私に人生で初めて、百合漫画を私に勧めたのは父だった

15歳のとき、
父に小声で「おもしろい漫画があるから読んで。
ちょっとドキドキするからお母さんには内緒ね」と、
少年がエロ漫画を貸りるシチュエーションでオススメされた漫画。

それが、「オトメの帝国」だった。

ああ、父よ。
そんな風に漫画を勧められたのは、
小学生のとき男子に勧められた「いちご100パーセント」以来だよ。
勧めたあの男子も、女学生の私に「いちご100パーセント」なんて一体どういうつもりだったのか?

おかげで私の初恋の人は東城綾になり、
小学校の下校中に寄り道で買ったジャンプの、
見開き一面に描かれた東條綾にチューしながら歩いていたところを級友に
目撃されたのは人生最大の恥辱である。

年齢が一桁の頃から、こんなことをしている娘。
親であれば娘の女好きに気づかぬはずはない。
父はそんな娘に、ムチムチボディの女学生がエッチにいちゃつく漫画を勧めてきたのだ。

「え、なんでこれを勧めるの? こわ!!」と私の心は激しく動揺した。
雑誌を持つ手も震えていたかもしれない。
冷静に考えて、この宇宙で「オトメの帝国」を娘にオススメした男は父くらいではあるまいか? しまいには、「どうだった?」なんぞ感想まで聞いてきたものだから、「新手のセクハラか?」と我が父ながら訝しんだものである。

しかし、父は決して私が女の子に夢中でいる事を咎めたりしなかった。
むしろ、「お父さんのタイプはねえ〜」などと2人でテレビを見ながら好きな女優のタイプなどを話した事もある。

今振り返ると、いつか私に彼女ができたとしても、
「俺は受け入れるよ」というメッセージだった…と受け止めることによう。
つくづく優しい男だ。
そうでないと怖すぎる。

私に人生で初めて百合マンガをオススメしてくれたのは優しい父だった。

ちなみに、今までの話をひっくり返しかねないので、書こうか書かないか迷ったが、その他にも父がくれたもので、バイブレーションがある。
父の誕生日に職場の野郎どもがプレゼントしたらしい。
「お母さんに使えないから」と知りたくもない両親の性事情が垣間見えるコメントともに、私に譲ってくれたが…一体父はどんな気持ちで私にそれをくれたのか? 一生聞くことはないだろう。

そのバイブは、私からさらに先輩に譲られ、「彼女とのセックスがワンランクアップしたぜ!」と大層感謝された。一つのカップルの性生活を豊かにしたのであれば、バイブも本望であろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?